装飾山イバラ道[57]「温泉天国」でお湯めぐり
── 武田瑛夢 ──

投稿:  著者:


水族館の魚が泡で口の掃除をするというニュースを読んだ。自然の中では共生する魚が口の掃除をしてくれるのに、水槽ではそういう仲間がいないので泡の力を利用しているらしい。きっと、たまたま泡の出るところを通った時に気持ちよくて、クセになってるだけだと思うけれど。

・クエ、泡でお口掃除?(京都新聞)
< http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100603000047
>

この水槽の中にはクエは一匹しかいないので、今は独占しているけれど、複数のクエがいたらきっと場所の取り合いになるに違いない。この記事から、よく行っているスパにある泡風呂「バイブラバス」を思い出した。

●WEBや雑誌の口コミを必ずチェック

スパのバイブラバスもマッサージ効果があって、おばさんたちに大人気。「ジャグジー」と何が違うのかよくわからないけれど、クセになると何度でも泡にあたりたくなる。どこどこのジェットの泡は強いだの弱いだの、そんな話題は有益な情報として重宝がられるし、私も知りたいことのひとつ。

バイブラバスに入ってふと見上げると、水流ジェットの噴射ボタンのそばに、押す回数を制限する貼り紙がある。おばさんたちも独占は許されず、順番に回数を守って泡を浴びるのだ。でも、他に誰も来なかったらその回数制限も関係ないらしいので、ずーっと居座っている「主」みたいな人もいる。いつもいるので、どうも初心者は近寄りがたい。日帰り温浴施設は、どうしてもそういった常連さんの動きを基準に決まる独自のルールがあるようだ。



良い日帰り温浴施設を探すには、場所や施設の規模、料金の他に利用者層の雰囲気を知る情報もとても大事だ。WEBや雑誌の口コミを読まずに、いきなり遠出するという気にはなれない。口コミには、上記のような一回利用する程度では見えてこないルールがさらっと書いてあったり、悪いマナーを見た報告があるのでとても参考になる。最近重宝しているのが、Biglobeの「温泉天国」というiPhoneアプリだ。

・「温泉天国」
< http://travel.biglobe.ne.jp/onsen/app_iphone/
>

自分の活動エリアのサウナや温泉、岩盤浴などの温浴施設を検索することができる。GPSモードと地図モードが用意されていて、GPSモードだと感覚的に自分の近くのアイコンをクリックしていくゲーム画面のような雰囲気。ただちょっと動作が重たいので、地図で検索する方が私にはストレスなく探せた。

東京の周りでも、こんなに温泉があるのはとても嬉しい。値段も銭湯の約倍の1,000円前後で、充実した施設がたくさんある。ここ数年で施設が増えたということもあるけれど、きっと前からあっても知る方法がなかったので、地元民だけが使っていたのだと思う。普通の銭湯が減って、趣向を凝らした温浴施設が生き残っていく時代だ。

「温泉天国」アプリにぜひ加えて欲しい機能は「次の休館日」。基本的な定休日の記載はあるけれど、具体的な日にちが知りたいのだ。毎週休みがあるところは少ないので、不定休なところがほとんどだけれど、だからこそ次の休館日が記載されていると有り難い。本家のWEBへ飛んで確認しないで行けば、うっかり休みだったなんてことになる(実際失敗した経験あり)。常に情報をリフレッシュしなければならず大変だろうけれど、その機能がついたら温泉に行く前に必ず開くアプリになるはず。これはお互いにとって素晴らしいことだ。

●手探りのサービス

都会の露天風呂は作り物の竹林だったりするけれど、涼しい風と空があれば十分だ。最近はおしゃれな外観や内装にこだわる所も多いし、お客の希望をすぐに反映させているように見える。最近行ったある露天風呂では、藁で編んだらしい笠のような帽子が複数置いてあり、日差しよけに使えるようになっていた。湯船に浸かりながら笠かぁ。私が行ったのは夜だったので、使っている人はいなかったけれど。

確かにこの季節に、日中の露天風呂に入ると日に焼けてしまうのだろう。日焼け止めクリームを塗って入るわけにもいかない。笠を置かないと自分の帽子をかぶる人が出現したりしそうなので、そういう措置になったのかもしれない。これが一般的なのかどうかわからないけれど、クレームが出たら即対応をし続けると、一瞬迷走しているかのように見えることはよくある。

●男女を分けすぎないエリア設計

温浴施設の価値を決めるのは、「休憩室の充実」や「清潔感」はもちろんのこと、「男湯と女湯のエリア設計」も大きいと思う。銭湯のように最初に男湯と女湯をまっぷたつに分けてしまえば単純でいいけれど、岩盤浴や休憩室では、館内着を来ていれば男女が同じ場所を使えるようになっているところも多い。だからこそ流行の岩盤浴デートも成り立つ。

二人でお風呂と言えばかぐや姫の「神田川」の世界だけれど、昔は来た時と帰る時のみ一緒で外で女を待たせた時代。今はお揃いの館内着でソフトクリームの時代(笑)。温浴施設の中で女友達もカップルもファミリーも居心地良く存在できるのだ。

ソフトクリームと言えば食事処も大きなチェックポイント。東京近郊といっても、温泉が出るということは大きな土地をがっつり掘っているので、駅から離れているところも多い。

やっぱり近くの駅のレストランも、さほど期待できないのが実際の感想。だから、館内着のまま館内で気楽にご飯が食べられるとラクチンこの上ないのだ。食事のレベルも学食相当、ファミレス相当からかなりおいしいところまで様々だ。私はビールとおそばとソフトクリームがそこそこおいしければOK。湯上がりは水でさえおいしいのだから、まぁほとんど許せる。

私は水着を着て温泉に入るところや、遊園地風の演出のあるところは行ったことがないけれど、少し勇気を出して何でも行ってみるのもいい。家から一時間以内の場所で、運命の温泉に巡り会えたら、定期的に通ってささやかに営業を支えたいと思う。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

iPadはしばらくは買う予定はないけれど、今iPhoneでやっているゲームが細かい絵のものなので、iPadでやった方がおもしろいらしい。今年は紙のスケジュール帳をとうとう買わずに、iPhoneの「さいすけ」なので、iPadのスケジューラーだったら大きくて見やすいだろうなぁ。