装飾山イバラ道[70]プリン体の誘惑
── 武田瑛夢 ──

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※連載の通し番号を間違えて1回ダブっていました:編集部

毎年、箱根駅伝を見ながらおせちを詰めるのが正月の過ごし方になっている。もっと早く準備すればよいものをとも思うけれど、ギリギリまで作らないでおいた方が、正月中の鮮度が保てるという言い訳。栗きんとんだけは芋をつぶして栗の甘露煮と合体させて作り、あとはほとんど切って詰めるだけの簡単なもので楽をした。

今年のおせち作りにはひとつ困ることがあって、健康診断でだんなさんの尿酸値がちょっと高めを指摘されてしまったのだ。まだ痛風の症状が出るまでにはいっていないので、なんとか今のうちに改善せねばと思う。これから食べるものには気を配らなければならない。今までは特に問題なかったのに、私の料理のせいだと思うと罪悪感を覚える。そして私のアメリカ料理好きのせい? たぶんそれもあるので、外食も気をつけなければならない。しばらくはアメ食断ちをしている。

そして、同居してわかったのが、だんなさんがあまり水分を採らないこと。こまめに水分を採って、尿酸をどんどん水で流してしまうのも大切なことらしい。今は飲み物の量もかなり多く採るように言っている。



●プリン体カット生活

尿酸値を下げるには、食品に含まれるプリン体を少なく摂取することが大切という。だんなさんのためには、おせち料理であまり魚の玉子系は食べさせられないのかな? しかし、イクラや数の子はおせちの花形だし。数の子はお正月くらいしか食べないし、だんなさんの好物なので、ゆっくり少しづつ食べるために二回に分けて塩抜きすることに。

プリン体含量の表をネットで見て調べると、実は玉子系よりも気にするべき食品は他にあるようだ。

・食品中プリン体含量 公益財団法人痛風財団
< http://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf
>

この表を見ると、プリン体が多そうに思われる鶏卵の(0.0)ゼロというのがちょっと驚く。玉子は細胞が一個なので、ということらしい。細胞が一個?よくわからないけれど、魚の玉子もイクラ(3.7)、数の子(21.9)と、肉系が100位なのに比べて低めだ。全体的に野菜はプリン体が少ない。

プリン体とは細胞の核に含まれるDNAの主成分のことらしい。食品の細胞の数が多いと、含まれるプリン体の量も増える。最も多いのはレバー類で300位の数値がある。焼き鳥屋さんもけっこう危険ということか。肉だと血の色の濃いものがプリン体が多い印象。バラ肉などの脂が多い肉の方がプリン体は少なめ。カロリーとも比例しないので案外むずかしいのだ。

食事指導の説明を聞きに病院に行った。栄養士から話を聞くと、結局はプリン体はどの食品にもたいてい含まれるので、総量を気をつければ良いとのこと。毎日レバニラ炒めを食べているとか、焼き鳥屋に寄るとかでもない限りレバーを最大の敵とみなすこともないようだ。

栄養士は若い女性で「レバーは家で食べますか?」と聞かれ、「めんどくさいので家ではレバー料理はしません(私)」「そうですよねぇ。わかります」といった感じでなごやかに話した。「焼き鳥屋では私がレバーが好きなので、だんなさんも一緒に食べてしまいますね......」「これからはレバーは奥さんだけで。でもちょこっとならいいですよ」もっと厳格な食事指導を想像していたので拍子抜けする。

うちではビールもさほど飲まないし、アルコールは週末に少し程度だ。調べた中ではキリンの発泡酒「淡麗W」がプリン体が少ない。ただし、近所にはどこ探しても売ってないのよねー。最近ビール系飲料の種類が増えすぎているので、全ての種類を仕入れ切れないのだと思う。通販で箱買いするかな。

・KIRIN 淡麗ダブル
< http://www.kirin.co.jp/brands/tanreiw/index.html
>

●禁断のレバー料理

ホルモンを食べる女性をホルモンヌと言うらしい。女性にはレバー類の鉄分やビタミンは必要だし、食べた方が良い食品だと言われている。デジクリ読者の皆さんの平均年齢はわからないけれど、若い皆さんなら今のうちのおいしいレバー料理を堪能することもできるはず。

私のおすすめは立ち呑み屋さんの「レバテキ」だ。表面を焼いたレバーをスライスした半生のものに、ねぎだれが山盛り載っている。もつ焼きで有名な「い志井」の系列店での人気メニューだ。Googleで「レバテキ」を画像検索してみよう。今すぐにでも食べたくなる画像がいっぱい。「い志井」の系列店では新宿の「沼田」が椅子に座れて楽なのでいい。もう立ち呑みではリラックスできない年齢かもな。

実はうちのだんなさんが、沼田でいちばん好きなのがお通しのキャベツの浅漬け。この浅漬けにそっくりなものを自分でも漬けられるようになったので、よくリクエストされる。切ったキャベツに青しそかきゅうりがちょこっと入っていて塩と昆布だし程度でもめばすぐできるもの。あっさりしていて焼き物の後に食べるにはおいしい。

お通しでは出て来る量が少ないので、メニューにはのっていないけれど追加で注文もできる。「通し盛り」とオーダーしよう。普通のメニューと同じ大きさのお皿にたっぷりとキャベツ漬けがやってくると、だんなさんの目がキラキラする。ホルモン料理屋さんに来て、一番好きなのがコレって私にはもったいないように思える。草食なんだな。

本当はだんなさんの食の好みだけでやっていけば、プリン体を避けるのは簡単なのだ。問題は私だ。自分のオーダーは自分で責任を持って食べればいいということみたい。生のレバーとかハツとか、私の好みは肉食動物系なのだ。いろいろ食べたくて、皿数が多くなりそれをだんなさんと分けていたのがいけなかった。これからはだんなさんをいたわるためにも、私が野菜系をたくさん食べるようにしたいと思う。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>
だんなさんのGalaxy Tabを見慣れると、iPhoneが小さく感じる。おもしろい動画があったのでiPhoneを見せると、「小さいなぁ」といちいち言われて悔しい。私もiPadを買えばよかったかな。次の機種が出たらぜひ欲しいけれど、いつになるのだろう。