装飾山イバラ道[85]多摩動物公園へ行く時に気をつけたいこと
── 武田瑛夢 ──

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シルバーウィークに多摩動物公園へ行った。京王線沿線に長く住んでいると、動物園と言えば「多摩動物公園」、遊園地と言えば「よみうりランド」、山と言えば「高尾山」が定番。定番ということは小学校の頃から遠足の目的地に設定されがちだったりして、あまり大人になった今は行く気もしないのだった。

ところがこの夏、テレビで多摩動物公園のチーターの赤ちゃんが生まれたニュースをやっていた。それも珍しいという「キングチーター」という柄の赤ちゃんチーターも一匹いるという。なんともかわいいニュースを繰り返し見て、絶対に大きくならないうちに行こうと思っていた。結局やっぱり夏が終わった頃に、具体的にスケジュールしてやっと久しぶりの動物園に行けたのだ。

・動物園ファンのサイト TokyoZooNet
< http://www.tokyo-zoo.net/zoo/tama/index.html
>

・ニュース 雨の日はごめんなさい、チーターとユキヒョウ展示予定
< http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?link_num=19699
>



●その1:履いて行く靴に注意

昔の記憶を引っ張り出して動物園対策を考える。多摩動物公園と上野動物園は、その立地条件に大きな違いがあることを忘れてはいけない。朝早くからのデートであれば、急に思い立って行き先を上野動物園に変更しても大丈夫だろう。

でも多摩動物公園にするなら、今履いている靴が山登りに対応できる靴なのかを考えなければならない。行き先が動物園なのに靴の心配なんて無用のようだけれど、多摩動物公園は「舗装された山」だと私は思っている。

平地の上野動物園なら、女性がパンプスなどのヒール靴でも大丈夫。でも多摩動物公園の場合は、よほど若くないと足が痛くなっちゃうに違いない。それは武蔵野美術大学と多摩美術大学の違いと同じだ。平地のムサビで平気な靴が、高低差のキツいタマビで履けるわけじゃないのだ(笑)。敷地内に高低差がありまくる場合は、歩き易く疲れないペタンコ靴が必須だと思う。

そんな坂のキツい多摩動物公園だけれど、高齢者には「シャトルバス」のサービスがある。これは園内を巡回しているバスで、私たちが入り口のバス乗り場付近にいたら、運良く運転手に声をかけてもらって乗ることができた。園内の一番高いところで降ろしてもらえるので、後は下りで楽に見て回ることができる。あくまでも優先されるのはお年寄りや体の不自由な人だけれど、席が空いていたら周囲の人を乗っけてくれる印象だったので書いておく。

●その2:時間に注意

生まれて間もないデリケートな動物は、場合によって公開時間が変わるので、WEBの情報や入り口の掲示を確認した方が良い。公開時間に合わせて園内を見るルートも考えよう。

多摩動物公園についた私たちは、午前中の限られた時間だけに公開する「キングチーター」の赤ちゃんを目指して、チーターの場所までまずは歩いた。私たちの場合、入り口からこのチーターへの道が一番登りがキツかった。園内で配られるMAPには急な坂がわかるマークがついているので、坂道チェックに利用したい。何とかチーターに行き着き、ガラス越しに赤ちゃんを見ると、日陰の見づらい位置に集まっていた。

「キングチーター」は女の子なので「なでしこ」という名前がついていた。大きな望遠レンズのカメラで撮影している人が多数いた。プロなのかなぁ? と思って見ていると、チーターを見て表情がゆるんでいる人ばかりだったので単なる猫好きかもしれない。

時間の注意事項では、多摩動物公園の売りの一つでもあるガラス張りのバスに乗って、放し飼いのライオンを見る「ライオンバス」は、ライオンが活発な午前中がおすすめだ。私たちは、午前中は小さい子たちが多かったので遠慮して午後に乗ったのだけれど、午後のライオンはお昼寝モードであまりバスにかまってくれないし、午前中に響いていたライオンの吠え声も少なくてちょっとさみしかった。

●その3:季節に注意

出かける時に帽子を忘れて日傘しか持たなかった。秋の日差しはさほどキツくなく、全身をカバーできる日傘は割と使い易かった。そしてこの日傘は、思わぬ使い道があったのだった。

動物園の道で次は何を見ようかと歩いていると、お掃除のおじさんたちがほうきを持って黒いビニール袋に落ち葉を集めていた。そこで一人のおじさんの低い声がふと耳に入った。「今日は毛虫が多いな。」

無類の虫嫌いと言っていい私にとって、こんなに恐怖な言葉はない。足下を見ると一瞬絶句した「!」。たしかに指一本分くらいのサイズの毛虫が、落ち葉に混じってあちこちに落ちていた。すごく毛虫らしい毛虫だ。

「ヒャ〜、毛虫毛虫!」とだんなさんに声をかけながら、日陰なのに日傘を開いて毛虫のいない場所を選びながら移動を続けた。本当は毛虫なんて見たくもないけれど、踏まないためには見るしかない! 毛虫たちは、元気なのやら踏まれたのやらいろいろだった。だんなさんもさすがに毛虫は嫌いなので、二人で慌ててヤツらのいない場所まで逃げた。

辛かったので長く感じたけれど、実際はせいぜい20メートル位の範囲で「毛虫地帯」になっていたと思う。大きな木が一本毛虫にたかられていて、その下だけがそうなっている感じだった。全体からすれば、毛虫のいない道の方が多いのでご安心を。

豊かな自然を利用して作られたタイプの動物園だから、これもしょうがないのかもしれない。私たちはMAPを見ながら毛虫地帯は迂回できるなら迂回することを決め、気をつけて歩くようにした。季節的に秋が悪いわけではなく、春には春の、夏には夏の、虫がいると思う。あきらめよう。

虫といえば、多摩動物公園には「昆虫園」という世界中の虫を集めたゾーンもある。私はいつもは怖かったこの「昆虫園」も、今回の毛虫地帯を体験したおかげか、あまり恐れることなく楽しむことができた。「昆虫園」は虫除けスプレーをつけた人は入ることができないと看板があったので注意。そういえばそうだと思う。

世界のゴキブリやハキリアリなどがいたけれど、すべてガラスケース内にいてこちらの空気とは遮断されているので安心だ。蝶が屋内に放し飼いになっているところは、まるで天国みたいで綺麗だった。

●その4:ユキヒョウを忘れずに

ユキヒョウにも赤ちゃんが生まれていて、これが一番かわいかった。ネコ科最強のかわいさと言っていいかもしれない。赤ちゃんといっても、もう大きくなっていて柴犬くらいのサイズはあった。太くてフワフワの足であちこちを駆け回って、金網をよじ上ったり、兄弟でケンカしたりと見ている人全員がデレデレした視線になっていた。多摩動物公園ではユキヒョウを見忘れてはいけない。

・ユキヒョウ
太い足< http://www.eimu.com/col/images/yuk1 >
カメラ目線< http://www.eimu.com/col/images/yuk2 >

初秋だったので毛色がベージュっぽかったけれど、ユキヒョウの冬毛は真っ白でフワフワだったのを覚えている。長くて立派な尻尾を絶対に地面につけずに悠然を歩くのだ。今年の冬にはチビのユキヒョウがはじめての冬毛になるので、また多摩へ行ってみようかと思う。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>

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