久しぶりに映画館へ行って来た。これまでも見たい映画はあったはずなのに、それらは回転寿司のように目の前を通り過ぎて、タイミングを失ってしまっていた。
ただ、「レ・ミゼラブル」は公開からだいぶ経ってしまったけれど、なんだか見た方がよさそうだと思った。ミュージカル映画は好みもあるけれど、私は「オペラ座の怪人」にハマって、映画館で4回も見たことがあるので大丈夫だろう。
※以下は映画のネタバレを含む可能性があります。
・映画『レ・ミゼラブル』公式サイト
< http://lesmiserables-movie.jp/
>
ただ、「レ・ミゼラブル」は公開からだいぶ経ってしまったけれど、なんだか見た方がよさそうだと思った。ミュージカル映画は好みもあるけれど、私は「オペラ座の怪人」にハマって、映画館で4回も見たことがあるので大丈夫だろう。
※以下は映画のネタバレを含む可能性があります。
・映画『レ・ミゼラブル』公式サイト
< http://lesmiserables-movie.jp/
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●私の"無情"な勘違い
日本語版の「ああ無情」の本は、今までの人生の中で何度も推奨図書として薦められて来たと思う本のひとつだ。学校でしつこいくらいにあんまり言われるから、きっと一回は読んだことがあると思う。ただ、私はその内容をまるっきり覚えていない。イメージ的には「すっごく悲しくて報われない話」だと勘違いしていた。
たぶん、児童用にわかりやすくはしょられた話の挿絵本を、読んだふりでもした程度だろう。いい加減ですみません。名作と言われるものって、全文だととても長くて読む気力もなかっただろうし、短くまとめられても本来の物語を知ることができないというもどかしさがある。
しかし、人生にはそんないい加減さが生きる時が来るということも、今回は教えてもらった。場所は六本木TOHOシネマズのスクリーンの真ん中程の、ちょうど良い座席。
こんな完璧な環境で「レ・ミゼラブル」という話を、私は「初めて知った」のだ。自分が好きなミュージカル映画の形で見られたのも良かったと思う。原作者のビクトル・ユーゴーってすごいですね(笑)。大人なのに今更すぎて恥ずかしいかぎりだ。
この映画は当初ミュージカル版を原作としていて、予告編ではユーゴーの名前さえ出ていなかったという。公開後に「作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク、原作:ヴィクトル・ユゴー」の表記に改められたそうだ。
ミュージカルの舞台を元に映画化をしている作品ということで、場面を象徴する楽曲を俳優が「歌って演じる」スタイルだ。表現のほとんどがその楽曲や歌詞をベースにしているので、ミュージカル作品の素晴らしさをなぞる形だと言ってもいいのだと思う。ミュージカル作品が先にある映画の場合、比較を元に批評されるのはしょうがないことだ。
●原作+舞台+映画
重厚で複雑な原作は、舞台のミュージカル作品になった時点で登場人物の心情が「歌」という形にわかりやすく分解された。歌詞はメロディに乗って見る人の耳に届き、心にストレートに染み込んでくる。舞台という広さや時間の制約のある中で、場面構成も吟味されたのだろう。
そして、さらに今回は映画ならではの手法が加えられている。激しい嵐の海がダイナミックに撮影されたり、一人の長い人生を同じ俳優が時間をかけて体型を変化させることでリアルに実現しているのだ。
時代背景を感じさせるための広大なセットやCG、俳優たちのアップの表情なども映画だからこその表現だったと思う。舞台では不可能な広さや時間の制約を、映画は飛び越えられたのだ。
既に作られた作品の良さを、新しい技術や新しい人が何度も再構築するというのは芸術の基本かもしれない。人々の創造力が幾重にも重なって新しいものになる。
主人公のジャン・ヴァルジャン役のヒュー・ジャックマンは、文句なくカッコいい。汚さすら美しかった。ラッセル・クロウのジャベール警部の迫力も良かったし、ファンティーヌ役のアン・ハサウェイの演技や歌も熱が入っていた。ガブローシュという男の子役の、ダニエル・ハトルストーン君のけなげさも素晴らしい。
皆あんなに感動的な場面を演じながら、大声で歌えるなんてすごいコントロール力だと思う。歌唱力ではエポニーヌ役のサマンサ・バークスと、マリウス役のエディ・レッドメインが抜群に上手かった。この二人はミュージカルの舞台版にも他の役で出ている役者なので、歌の上手さも納得だ。
悪でしかないようなことが善にも転び、善のように見えたものが間違いだったりもする。何度もリピートで映画を見に行っている人もいるらしいし、舞台版のファンの人も見るたびに違う発見があるのだろうと思う。
ラストシーンで私が感じたのは、「ただただ幸せ」だったということ。「レ・ミゼラブル」は私の思っていた「すっごく悲しくて報われない話」ではなかった。人生の途中で悲しいことがあっても、自分次第でどうにでもなるよ! ということが心からわかる話。
どんな作品も、きっと見た方が良い時には自分でわかるのかもしれない。子供時代の私も「今この話を味わうにはまだ早い」ということがわかっていたのだろう。
また、何年後かに新しい手法で表現される「レ・ミゼラブル」もきっとよいので、今は若過ぎる人はそれを待つもよし、今作を今味わえる範囲で味わうもよしだと思う。泣く人はきっと滝のように泣くので、ハンカチのご用意をお忘れなく。
【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
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久しぶりに歯科医院に行くと、マイクロスコープとか、いくつかの周辺機器が増えている。そういう新しい機器がわりと好きな先生みたいで、今日は麻酔の注射器がバイブレーションしていた。調べてみたら痛がりの人には良い方法みたいで、確かに振動で刺す痛みが和らいでいたかな。でも怖さは倍増。