装飾山イバラ道[124]世界水泳シンクロで想うこと
── 武田瑛夢 ──

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世界水泳が始まっていて、最初の競技であるシンクロナイズドスイミングを見ていた。この競技は日本がメダルを取れなくなってからだいぶ経つような気がして残念だ。日本が打倒ロシアなんて言っていたのも遠い昔、今回も金メダルを当たり前のように掴み取って行くのはロシアだ。

何年かの間にスペインが、そのスタイルの良さと芸術性でメダルの座がほぼ安定した。そして今回、3位争いは過去には上位にいなかったウクライナがグイグイと存在感を見せつけてきた。

ウクライナの実力にショックを受けたのは、選手たちも見ているファンも一緒だと思う。リフトやジャンプの高さは数年前とは比較にならないほど技術を伸ばしている。そこに中国もいるのだから、日本が5位だという現状も認めざるを得ない。




●デュエットの魅力を再認識

チーム演技は人数が多いので華があって見ていて楽しい。一人で演じるソロはアップのシーンも多くて、きめ細かい表現まで味わうことができて優雅だ。

そして、今回見ていて一番楽しめたのはデュエット、二人のパフォーマンスだ。チームと違って二人と少ないので、隊列を組んだり輪っかになったりは出来ない。しかしソロとは違って相方がいるおかげで、水中で身体を持ち上げてもらうリフトや迫力のあるジャンプが出来る。そしてこの競技の要とも言える「synchronize=同期」が可能な最小単位が二人競技のデュエットなのだ。

たった二人でも水の中で完全に動きが一致しているのは、見ていて気持ちがいいし不思議と圧倒される。リフトやジャンプの支えは水の中に一人しかいないはずなのに、それで十分と思えるほど勢いや高さもある。

どうしてこんなに引き込まれるのかなーと思っていたら、チームだと人数が多すぎて全員の動きのすべてを視界に収めるのは大変だ。デュエットの動きは画面に収まりも良く、水しぶきもうるさすぎず、二人が同調していることが素人目に見てもわかりやすいのだ。

今回のデュエットでロシアがラインストーンのモヒカンヘアで、前衛的なパフォーマンスを見せていたのが素晴らしかった。ロシアを見た後だと、それまで演じた他の国が急に古くさく思えてしまう。

番組スタート当初は、チームパフォーマンスの各国選手のヘンテコな登場の仕方も、ハデすぎるコスチュームも、髪飾りを留めてるヘアピンが目立って見えすぎていることも、化粧が顔から浮いていることも、シンクロにありがちなお約束として勝手に優しく受け入れて見ていた。

しかしチームロシアが登場して、華麗で自然な登場スタイル、ゴージャスで高級感のある繊細なコスチューム、独自性があり美しく整えられた髪型、ビシっと全員揃えられた化粧などを見せつけられた。

「やっぱり変だったんだ普通のシンクロって!」という思い。全体を引っ張る存在というのは、残酷にも他者の未熟さを強調してしまうことがある。

そして今回のロシアのデュエットは登場の仕方からコスチューム、ヘアスタイルに至るまで、スポーンと王道路線からは外して見せつけて来た。このデュエットのパフォーマンス中は、体型から何から二人が同じ人間に見える瞬間が何度もあった(二人が同じ名前のスベトラーナなのは、この地方で大流行している女性の名前だかららしい)。

以下の動画は今年の別の大会のもので、同じプログラムの演技。

・Svetlana Kolesnichenko/Svetlana Romashina (RUS) Free Duet Final,
Savona European Champions Cup 2013
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なんとも突き抜けているロックな感じのシンクロで、カッコイイと思う。もちろん演技の難易度は高い上にミスはなく、余裕でその冒険を楽しんでいるかのようだった。細かいリズムや大きくて激しい動きのプログラムは、基本が出来ていないとこなせない。

●日本はどこを目指せばいいのか

リードする存在のロシアは見た事のないことに挑戦し、2番手を狙うスペインは王道の美しさを目指していたような印象だった。誰が見ても綺麗であることの最高を目指すには、そのスタイルの良さは武器になる。

では日本はどこを目指せばいいのか。日本の和を強調する路線の曲や衣装も強さが出せて武器にはなると思う。技術も見栄えも最高の構成で仕上げられていれば、今後の大会でメダルに食い込む希望もまだあると思いたい。真面目な日本人のキッチリとした技術は伝統だったはずなのだ。

そして日本のライバル国が日本人コーチで力を伸ばしているのは事実だ。日本の競技団体が、指導者との関係を築くのがヘタというのが致命的でもある。選手の力を直接引き出すのはコーチなのだから、優秀なコーチが大事でしょうに。

これは他のスポーツの競技団体でも問題になっているので、日本人が苦手とする部分なのかもしれない。団体のエラい人が競技の本質をどれだけ大切にしているのか、疑問に思うようなことがアチコチで起きているのはご存知の通りだ。スポ魂と組織力の共存は難しいのだろうか。強い国と何が違うのかをよく研究する必要があるように思う。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
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前回アイスの「ピノ」の中に1コだけ星形のピノが入っていたと話題にしたけれど、今度はだんなさんのガリガリ君に当たりが出た。何年か食べてきて初めての当たりに感動していたけれど、嬉しすぎて新しいの一本と交換したくないと言う。というかコンビニのカウンターで当たり棒を差し出す勇気がない(笑)のか?