働く人はデパートで年中行事を感じているのかもしれない。今年の節分の日、デパ地下ですごい行列になって恵方巻きを買う人がいるのを見たのは、けっこう衝撃だった。
テレビやCMで恵方巻きというものを見てもあまりピンと来なかったけれど、東京にもすっかりこの行事は入っているのだ。私はまったく恵方巻きの習慣がなかったので、お刺身コーナーが何メートル分ものり巻きのコーナーに入れ替えちゃってるのを見てビックリした。
「今日も仕事帰りにデパ地下で夕食のものを買いに来たけれど、恵方巻きの日って言うならそうしよう!」と思う人があれだけいるとは。きっとのり巻きという、簡単に食べられて美味しくて、そこそこ華がある食べ物だからかもしれない。
今までは節分といえばマスに入った煎り大豆や、でん六豆ぐらいしか売れなかったのに、豪華なのり巻きを人数分売れる機会がやってきたのだ。みんな一本食いするらしいから、切らなくてもいいので店側の手間も少ない。
スーパーやデパートにとっては嬉し過ぎるイベントだと思う。のり巻きはお寿司なので、今日中に売り切ろうとする店員さんの気迫のあるかけ声に持って行かれている感じもあった。うちは意固地なのか、やっぱり他のものを食べたけれど、いつかうちにも恵方巻きが来る時があるのかもしれない。
テレビやCMで恵方巻きというものを見てもあまりピンと来なかったけれど、東京にもすっかりこの行事は入っているのだ。私はまったく恵方巻きの習慣がなかったので、お刺身コーナーが何メートル分ものり巻きのコーナーに入れ替えちゃってるのを見てビックリした。
「今日も仕事帰りにデパ地下で夕食のものを買いに来たけれど、恵方巻きの日って言うならそうしよう!」と思う人があれだけいるとは。きっとのり巻きという、簡単に食べられて美味しくて、そこそこ華がある食べ物だからかもしれない。
今までは節分といえばマスに入った煎り大豆や、でん六豆ぐらいしか売れなかったのに、豪華なのり巻きを人数分売れる機会がやってきたのだ。みんな一本食いするらしいから、切らなくてもいいので店側の手間も少ない。
スーパーやデパートにとっては嬉し過ぎるイベントだと思う。のり巻きはお寿司なので、今日中に売り切ろうとする店員さんの気迫のあるかけ声に持って行かれている感じもあった。うちは意固地なのか、やっぱり他のものを食べたけれど、いつかうちにも恵方巻きが来る時があるのかもしれない。
●怒濤のチョコ売り場
おばさんになってもバレンタインデーの買い物は楽しい。ただ今年の買い物はバレンタインデーの前日になってしまったこともあり、デパートのバレンタインデー特設売り場はとても混んでいた。
人気のチョコ屋さんのちょうどいいサイズの詰め合わせは既に売り切れマークが貼られていたし、店員さんもお疲れの様子。私が買ったお店では、三〜四人ほどが待っていたら一人一人に待たせたことを丁寧に謝りながら売っていた。
物産展でもそうだけれど、列が出来ている時にはその列があるうちに、周囲のお客様を新たに列に引き込むのが大事なテクニックだ。人が列を作り始めたら包装も説明もより丁寧になり、お会計をさっさと済ませないのがベテランの手法みたいなのだ。
お会計がゆっくりでも、自然なように細かな説明を加えているのかもしれない。なんとなく歩いている人は、人が行列になっているところに注目するので買っている人への説明を聞く。聞いてしまうとついついよく見てしまい、欲しくなってしまい、いつの間にか並んでしまう。
いつもそううまくいくとは限らないけれど、一人二人並び始めたらこのモードに入るようだ。
バレンタイン特設売り場では、そういった流れを作り出すのに成功している場所と、いっこうに人が集まらない場所とがある。一旦行列が切れてしまうと、再び列を作るまでに間があく売り場もあるようだ。
さっきまであんなに行列でなかなか買えそうになかった売り場に、今は人がいなくなっているとかよく目にした。売り場をぐるぐるしながら人の集まり方の不思議さを観察。
●パッケージの競演でもある
この日は種類の違うチョコを四個買って、大きな紙袋にまとめる作業をする。せっかくデザインのかわいいチョコの紙袋を、百貨店の地味な通常バージョン紙袋にまとめてしまうのはなんだか残念だった。
チョコレートもチョコの形状だけでなく、ロゴデザインやパッケージ、リボンの雰囲気でイメージを演出している世界だ。そのショコラティエが何にこだわっているのかを箱のグラフィックや色彩で表現して「格」まで感じさせる工夫をしているのが素晴らしい。
一堂に集まるとそれぞれの対比で違いがより際立つ感じがする。特設売り場には箱をお重のように三段に重ねたものや、棒付きチョコを立たせたまま収納している透明ボックスなどがあった。
買ったチョコは旦那さん用、母用、自分用、みんな用の四個だ。たぶん旦那さん用のチョコの半分は私が食べるので、結局私が一番たくさん食べちゃうだろう。そんなことで糖質制限はお休み中だ。みんな用という謎の用途のものも、きっと私が味見をする。
・チョコレートのパッケージと紙袋
< >
今は義理チョコは渡す機会がないので、買うチョコの数は少ない。小さい箱とはいえ、すごい量の同じチョコを買っている人を見ると大変だなと思う。しかし自分もそうだったけれど、義理チョコであっても人に物をあげることはなんだか楽しいものだ。
義理チョコか本命チョコかの判断基準はチョコを見てだいたいわかると思うけれど、今はたとえ二、三粒でもすごく高いチョコもある。手のひらサイズの箱に収まる極上のチョコもあるので注意が必要だ。最近は有名ショコラティエの多くが東京に集まっていることもあり、チョコの高級化に驚く。
五百円のチョコか五千円のチョコなのかは、箱のサイズだけでは絶対にわからないと思うのだ。包装の雰囲気でわかる人にはわかり、箱を開けた時にわかる人、食べてもわからない人(笑)といろいろだと思う。
結局はチョコをくれた人との関係性が一番なのだけれど。
●本物ショコラティエ
チョコ売り場はラストスパートで売る気力を出している店員さんもいたし、早く帰り時間にならないかなという雰囲気の人もいた。ベルギーから来日しているという背の高いイケメンのショコラティエが直接試食を勧めているところには人だかりが出来ていた。白いコックコートがかっこいい。
最近は医者の白衣よりもコックコートの方がモテる制服という気がする。だって、コックコートを着ている人の方が圧倒的に女性と話が合うと思うからだ。とくにこの売り場でコックコートを着ていたら注目が集まることは確実だけれど、ほぼ女性ばかりの客層なので覚悟がないと辛いかもしれない。
私は職人さんから試食のチョコを受け取ると、買わないで帰る勇気はないので、遠目に見るだけだったけれど。イケメンショコラティエは箱にサインしながら売っていた。著者が本にサインするように、箱にサインのあるチョコ。たぶん自分用に買っている人が多いのかなと思った。
デパートは季節を刻む場所として機能している。日本人はコレという時にコレをやるのが好きな人たちということに間違いはない。
【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
>
高純度カカオのチョコレートは味が濃いのでたくさんは食べられない。チョコレートの糖と油を気にするなら、カカオニブというチョコの原料であるカカオ豆を砕いただけのナッツ状のものをカリカリ食べるのも(慣れると)美味しくておすすめだ。
健康志向の人の間でカカオニブは、日中につまむおやつとしても良いとされている。甘味はなくて渋さもあるけれど、香りは芳醇なチョコという不思議な食べ物だ。味は普通のチョコレートの方が圧倒的に美味しいけれど(笑)。
おばさんになってもバレンタインデーの買い物は楽しい。ただ今年の買い物はバレンタインデーの前日になってしまったこともあり、デパートのバレンタインデー特設売り場はとても混んでいた。
人気のチョコ屋さんのちょうどいいサイズの詰め合わせは既に売り切れマークが貼られていたし、店員さんもお疲れの様子。私が買ったお店では、三〜四人ほどが待っていたら一人一人に待たせたことを丁寧に謝りながら売っていた。
物産展でもそうだけれど、列が出来ている時にはその列があるうちに、周囲のお客様を新たに列に引き込むのが大事なテクニックだ。人が列を作り始めたら包装も説明もより丁寧になり、お会計をさっさと済ませないのがベテランの手法みたいなのだ。
お会計がゆっくりでも、自然なように細かな説明を加えているのかもしれない。なんとなく歩いている人は、人が行列になっているところに注目するので買っている人への説明を聞く。聞いてしまうとついついよく見てしまい、欲しくなってしまい、いつの間にか並んでしまう。
いつもそううまくいくとは限らないけれど、一人二人並び始めたらこのモードに入るようだ。
バレンタイン特設売り場では、そういった流れを作り出すのに成功している場所と、いっこうに人が集まらない場所とがある。一旦行列が切れてしまうと、再び列を作るまでに間があく売り場もあるようだ。
さっきまであんなに行列でなかなか買えそうになかった売り場に、今は人がいなくなっているとかよく目にした。売り場をぐるぐるしながら人の集まり方の不思議さを観察。
●パッケージの競演でもある
この日は種類の違うチョコを四個買って、大きな紙袋にまとめる作業をする。せっかくデザインのかわいいチョコの紙袋を、百貨店の地味な通常バージョン紙袋にまとめてしまうのはなんだか残念だった。
チョコレートもチョコの形状だけでなく、ロゴデザインやパッケージ、リボンの雰囲気でイメージを演出している世界だ。そのショコラティエが何にこだわっているのかを箱のグラフィックや色彩で表現して「格」まで感じさせる工夫をしているのが素晴らしい。
一堂に集まるとそれぞれの対比で違いがより際立つ感じがする。特設売り場には箱をお重のように三段に重ねたものや、棒付きチョコを立たせたまま収納している透明ボックスなどがあった。
買ったチョコは旦那さん用、母用、自分用、みんな用の四個だ。たぶん旦那さん用のチョコの半分は私が食べるので、結局私が一番たくさん食べちゃうだろう。そんなことで糖質制限はお休み中だ。みんな用という謎の用途のものも、きっと私が味見をする。
・チョコレートのパッケージと紙袋
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今は義理チョコは渡す機会がないので、買うチョコの数は少ない。小さい箱とはいえ、すごい量の同じチョコを買っている人を見ると大変だなと思う。しかし自分もそうだったけれど、義理チョコであっても人に物をあげることはなんだか楽しいものだ。
義理チョコか本命チョコかの判断基準はチョコを見てだいたいわかると思うけれど、今はたとえ二、三粒でもすごく高いチョコもある。手のひらサイズの箱に収まる極上のチョコもあるので注意が必要だ。最近は有名ショコラティエの多くが東京に集まっていることもあり、チョコの高級化に驚く。
五百円のチョコか五千円のチョコなのかは、箱のサイズだけでは絶対にわからないと思うのだ。包装の雰囲気でわかる人にはわかり、箱を開けた時にわかる人、食べてもわからない人(笑)といろいろだと思う。
結局はチョコをくれた人との関係性が一番なのだけれど。
●本物ショコラティエ
チョコ売り場はラストスパートで売る気力を出している店員さんもいたし、早く帰り時間にならないかなという雰囲気の人もいた。ベルギーから来日しているという背の高いイケメンのショコラティエが直接試食を勧めているところには人だかりが出来ていた。白いコックコートがかっこいい。
最近は医者の白衣よりもコックコートの方がモテる制服という気がする。だって、コックコートを着ている人の方が圧倒的に女性と話が合うと思うからだ。とくにこの売り場でコックコートを着ていたら注目が集まることは確実だけれど、ほぼ女性ばかりの客層なので覚悟がないと辛いかもしれない。
私は職人さんから試食のチョコを受け取ると、買わないで帰る勇気はないので、遠目に見るだけだったけれど。イケメンショコラティエは箱にサインしながら売っていた。著者が本にサインするように、箱にサインのあるチョコ。たぶん自分用に買っている人が多いのかなと思った。
デパートは季節を刻む場所として機能している。日本人はコレという時にコレをやるのが好きな人たちということに間違いはない。
【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/
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高純度カカオのチョコレートは味が濃いのでたくさんは食べられない。チョコレートの糖と油を気にするなら、カカオニブというチョコの原料であるカカオ豆を砕いただけのナッツ状のものをカリカリ食べるのも(慣れると)美味しくておすすめだ。
健康志向の人の間でカカオニブは、日中につまむおやつとしても良いとされている。甘味はなくて渋さもあるけれど、香りは芳醇なチョコという不思議な食べ物だ。味は普通のチョコレートの方が圧倒的に美味しいけれど(笑)。