もじもじトークの関口浩之です。あっという間のゴールデンウィークでしたね。僕はこの数週間、いろいろありました。
今、おふくろを天国に送りとどけるため、群馬に帰省してます。
母は持病がいくつかあったので、ここ10年ぐらいは決して丈夫というわけではなかったですが、数週間前までは庭で草むしりしたり、畑で野菜を作ったりしてました。なので、急だったと言えば急でした。
でも、84才なので大往生といってもいいかもしれません。
2週間前、母が体調を崩して入院したと聞いて、ゴールデンウィークに帰省して病院にお見舞いにいきました。
あってみたら思ったより元気だったので、おふくろとたわいない話をたくさんしました。
母はここ10年ぐらいの間に、骨折して入院したり、大病もいくつかしたのですが、リハビリを毎回がんばって、畑仕事ができるまで回復を遂げてきたおふくろだったんです。
だけど、今回入院した際、理由は分からないけど、なんか胸さわぎがして、すぐに帰省して母に会いたくなったのです。
そして、東京に戻り、ゴールデンウィーク明けの出勤日の初日、原因不明の腹痛になりました。体中から汗がふきだし2時間ぐらい伏せってました。病院に行って調べてもらったけど、特に明確な原因はわからず......。
そして、その日の深夜に実家から連絡があり、おふくろが亡くなりました。不思議なものですね。僕の不調とつながっていたのです。
たくさん苦労した人なんですが、それを一切、顔に出さず、いつもニコニコしながら「ありがとね」と屈託なく言える母、すごく尊敬してました。
というか、いま改めて、そう痛感しました。
母も父も84年の生涯でした。四年前に父が他界し、四つ違いのおふくろがオヤジのところに、いま向かおうとしている。仲良しだよね。
親元離れて30年、年に一回帰省すればいいほうでした。いまになって思えばもっともっと顔出しておけばよかったと思う......。
専業農家だった父と母は二人三脚でずっと野菜を作ってて、ほとんど群馬から外に出たことがない二人でした。
一時期(社会人でいえば、定年むかえた60才ぐらいの頃)、二人で海外旅行にたびたび行った時もあるみたいだけど、農家って休みとると野菜が元気でなくなるので、あまり家を空けませんね。
だから、東京に来たことはほとんどなかったのです。
僕は大学生になる時に、群馬から東京に上京しました。今からだいたい30年前ですね。その時、実家の2トントラックで両親が引越しを手伝ってくれました。両親が東京に来たのは、その時ぐらいしかないんじゃないかな......。
病院で、おふくろといろいろ話した時に「東京はたくさん人がいて悪い人もいるから、だまされないようにしなさいよ」と真面目な顔して諭されたのが、なんかすごくうれしかった。
このフレーズ、いままで、おふくろから何十回も言われたことだけど、親が子に対する最高の愛情表現だと思う......。
僕が「子供じゃないんだから大丈夫だよ。でも気をつけるよ」と言うと「そっか〜、安心した〜」とニコニコしてた......。
おふくろの気質なのか、群馬気質なのかは不明ですが、基本、我が家はなにかと不防備です。性善説なんです。そして楽天的なんです。
だから自戒を込めて「だまされないようにする」が大事なんです。
そんなおふくろだから、家族みんなで笑顔で感謝して送りだそうと思う。
息子って母親に対してなかなか素直になれないところがあると思う。照れくさいので素直になれないのかもしれない。
でも若い頃に比べれば、ここ10年ぐらいはかなり素直になんでも話すようにはなっていたと思う。
良い意味で、僕も年をとったということなのだろう......。
でも、もっとたくさん話をしたかった......。
いまさらだけど、言います。
「おふくろ、いままで本当にありがとう。感謝してます」
「おつかれさまでした」
「ありがとね」
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。