もじもじトーク[137]エバンジェリストという仕事
── 関口浩之 ──

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。さて、今日のテーマは「エバンジェリストという仕事」のお話です。





●エバンジェリスト(伝道師)とは?

僕は、FONTPLUSというWebフォントサービスのエバンジェリストをしています。

日本では10年ぐらい前から、IT業界を中心に、肩書きに「エバンジェリスト」と書かれた名刺を見かけるようになりました。

「エバンジェリストってどんな仕事する人?」って思った人もいるかもしれません……。

本来、エバンジェリスト(Evangelist)という言葉の意味は、キリスト教における伝道者のことで、エヴァンジェリスト、エヴァンゲリストと表現することもあります。

「なんか、エヴァンゲリオンみたいで面白い!」「変わった肩書きですね!」って言われることがよくあります(笑)

エバンジェリストの役割ですが、最新のテクノロジーなどを多くの人に分かりやすく解説したり、新しい分野の概念や楽しさの普及活動したりすることが一般的です。

とは言え、会社としての活動ですので、イベントやセミナーを通じて、その会社の製品やサービスのプレゼンテーション活動を行い、成果を出さないといけないわけです。

●活字や文字の普及活動

10年前に「Webフォント」という概念と新しい技術を使ったサービスが、日本でも誕生しました。

そのひとつのサービスが、僕が担当している「FONTPLUS」だったわけです。フォントワークスやイワタ、モトヤ、白舟といった複数のフォントメーカー書体が、ウェブサイトで使えるという画期的なサービスだったのです。

今では、Monotype、SCREEN、砧書体制作所、大日本印刷、凸版印刷、昭和書体、方正(中国語)、Yoondesign(韓国語)、Fontrix(韓国語)、Jungle SYSTEM(タイ語)も加わり、14フォントメーカー3,632書体が使える百貨店型のWebフォントサービスになり、ウェブ業界では誰でも知っているサービスになりました。

でも、サービスを開始した10年前は、「どう使ったらいいの?」「これを使ったら何がうれしいの?」など、インターネットで調べてもほとんど情報なかったので、普及活動から開始しようと思ったのです。

テレビCMや雑誌広告、インターネット広告とかで、広く宣伝するのも良いのですが、けっこうお金が掛かるのです。

そこで、全国の主要都市で開催されているウェブ系セミナー「まにまにフェスティバル」「CSS Nite」「WCAN」「リクリセミナー」などとコラボレーションさせていただき、年間30回ぐらいのセミナーを行なうようになりました。

今思えば、10年前に、アップルップル・山本一道さん、スイッチ・鷹野雅弘さん、かぷっと・川合和史さん、バスタイムフィッシュ・村岡正和さん、スワールコミュニケーションズ小山瑞穂さんをはじてとして、多くの皆さんとの出会いがあり、全国各地のセミナーイベントでご一緒させていただきました。

それらの出会いがなければ、いまの「フォントおじさん」は誕生してなかったわけで、本当にありがたい出来事でした。もじもじトークを書くきっかけになったのも、かぷっとの川合さんと濱村さん(デジクリのデスク)なのです。

●活字や文字の文化や歴史の普及活動

もともと、看板文字やロゴ、レタリングが好きだったこともあり、フォントに関する仕事をするようになってから、文字の歴史や、活字文化をさらに深く知りたくなりました。

また、文字を実際に制作するフォントデザイナーにお会いする機会が増えて、フォントの奥深さを知ることになったのです。

そんな活動をしているうちに、「フォントの新技術やサービスを説明するだけでは、何か、物足りない」と思ったのです。

Webフォントの伝道師は、「日本における文字や活字の歴史、そして、フォントの文化を伝承することまでしないと、本物の伝道師ではない」と思ったのです。

4年半前に、FONTPLUS DAYというセミナーを主催・開催することを決めて、昨日の『FONTPLUS DAYセミナー Vol. 28[欧文のお作法]』で28回目の開催になり、毎回、200名以上の方にご参加いただくようになりました。
https://fontplus.connpass.com/


●文字まちもじ特集イベント

先々週の9月25日(金)に、「FONTPLUS DAY スペシャルライブ 2020秋」という生放送番組を配信しました。10月15日(木)までの期間限定の再放送(アーカイブ)をやっていますので、もしよかったら、見てくださいね!
https://www.facebook.com/fontplus.jp/videos/388103705916844


●ポッドキャスト「Automagic」に出演

ウェブの仕事をしている人で、アンテナ感度の高い人ならご存知と思いますが、ぼくも大好きな長谷川恭久(ヤッシー)さんという方がいらっしゃいます。

今年6月に還暦を迎え、その記念に長谷川さんが行なっている「Automagic」(ポッドキャスト)という番組に出演しました。

ラジオ番組みたいなノリなので、よかったらBGMとして聞いていただけるとうれしいです。
https://automagic.fm/


では、また、お会いしましょう。


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関口浩之(フォントおじさん)

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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現SBテクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この25年間、数々の新規事業に従事。現在、活字や文字の楽しさを伝えるフォント伝道師(エバンジェリスト)、フォントおじさんとして活動。