こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。
みなさんは、自分が住んでいる町に「どういう歴史があるのか?」「地名にどんな由来があるのか?」、気になったことはありませんか?
●歴史を紐解くと面白い
小さい頃、修学旅行で京都・奈良を訪れたことはあるけど、当時の思い出といえば、枕投げしたことぐらいしか記憶にありません(笑)
最近、京都出張する機会がありました。観光地巡りする時間はないけど、その地域の歴史を調べたりすると、新しい発見がたくさんあるなぁと感じました。
修学旅行に行ったのは40年ぐらい前だし、インターネットで、ウィキペディアで調べるわけにはいかなかったけど、行く先々の歴史を調べることはしなかったと思います。百科事典で調べるという方法はあったかもです。
年をとったせいもあると思うけど、訪れる町の歴史を調べるのが、最近、すごく楽しかったりします。
自分が住んでる町のこと、どれだけ知っているだろうか……? 身近すぎてあまり知らなかったりしませんか?
僕は東京に40年近くになりますが、引越しは8回してます。でも、この20年間は江東区の南砂というところに住んでます。気に入っている街です。
ということで、自分が住んでいる町の歴史を紐解いてみましょう。ローカルネタですみません。
●ゼロメートル地帯とは知っていたが
こんな鉄塔を見つけました。これです。ジャーン!
http://goo.gl/0svzjJ
そうなんです。江東区と江戸川区の境を流れている荒川の、両岸地域はゼロメートル地帯なんです。
そういうエリアなのは知ってましたが、駅に向かう途中に建っている鉄塔が、この地域の特性や過去の水害の歴史を刻んでいるなんて知りませんでした。毎日、すぐ近くを歩いているのですけどね……。
上から「外郭堤防高」「大正6年台風・過去最高水位」「昭和24年・キティ台風」「大正7年地表面」「平均海面」と書いてあります。
おぉー、昭和になってから、この高さまで浸水したことがあったのかー。キティ台風を調べてみました。台風の通過が満潮時と重なったことから江東区と江戸川区のゼロメートル地帯一帯が浸水したそうです。
その水害の経験から堤防を高くする計画が立てられ、昭和32年から10年かけて、このポールが示す一番上の高さまで堤防を高くしたようです。
ついでに発見しちゃたのですが、この地域は大正7年から昭和55年までの60年間で4.75m地盤沈下したらしい……。
毎日、通勤時に目にしていたこの小さな建物は「南砂町地盤沈下観測所」だったのです! その建物の写真がこれです。
http://goo.gl/mlF5ZI
その後、工場立地の制限がかかり、この地域から大規模工場が転出したようです。でも、その後、地盤沈下は進んでないのだろうか……。気になる。
●地名の由来を調べる
地名に「砂」とつくのは、海辺に近い軟弱な低地であることを示していると聞いたことがあります。なので、「南砂町」の地名の由来は、以前は海に近くて砂地だったことからだと推測しました。
調べてみたところ、正解でした。ウィキペディアによれば、徳川家康が江戸の開発を始めた頃、江東区はほとんどが干潟や砂州、葦原などの低湿地で陸地ではなかった、と書かれていました。
また、江戸時代初頭に砂村新左衛門がこの土地を訪れ、新田開発が行われ、砂村新田とく地名になったそうです。砂村新左衛門の苗字の「砂」の一文字を地名につけたという記事も見つけました。
それから、これも江戸時代初頭の話ですが、江戸市中から出るゴミの捨て場として、この砂村新田が指定さ年れ、埋め立てが行われたようです。
そして、この地域は近郊農業地帯となり、葱をはじめとしてナス、キュウリ、スイカなどが盛んに促成栽培されたという歴史も知りました。
今では再開発がすすんで、畑を見つけることが困難ですが、江戸時代は近郊農業が盛んだったことを知って驚きました。
●地下鉄が南砂町にやってきた
東京メトロ東西線「南砂町駅」が開設されたのは1969年(昭和44年)でした。
いまから64年前のことです。
そして、この南砂町駅は、通勤時にすごく混んでいることで有名なんです。
東西線は千葉方面から都心に向けて、たくさんの人を乗せてくる路線です。朝8時台前半の電車は、南砂町着いた時点で乗車率200パーセントって感じです。乗る時間を間違えると、数回乗り過ごすさないと乗車できないこともあります。
「地下鉄 乗車率」で検索すると記事が出てきますが、東西線の木場駅〜門前仲町駅の区間がJR除く地下鉄でワースト1位なのです。
この区間は、南砂町駅から都内に向かって二つ目の駅なので、すでに南砂町駅ではドアがなかなか開かないぐらい、車両の中に人がいっぱいなのです。
そんなこともあり、最寄駅の南砂町駅はホーム改良工事が着手されました。あと5年で完成です。この記事、ソーシャルでかなり拡散されてました。
・混雑率ワースト返上なるか、東西線で進む大改良
http://goo.gl/dHYbrn
●自分の町の好きなところ
自分が住んでいる町の歴史を紐解いてみたら「水害」「地盤沈下」「ゼロメートル地帯」「昔は砂浜だった」「通勤電車か混雑」とか、暗いキーワードばっかりでした。
でも、前向きに考えれば、『過去の苦い歴史を教訓に生かして対策や改善が進んでいて、今はかなり安心な地域』と言えるかもしれません。
そして、長く住んでいるこの町が好きなのです。長所を書いてみましょう。
・比較的新しい町なので道路が混雑しない。
・新駅なので、駅の周辺がごみごみしていない。
・駅を出たところが公園なので町に静寂感がある。
・大型ショッピングモールが徒歩5分圏に二つあって便利。
・東京駅まで電車で15分なので交通の便がよい。
結構、よい町のようです!
自分の町を知ることで、万が一の際の心の準備もできるし、親しみもわきます。みなさんも、自分が住んでいる町の特性や歴史を調べてみてはどうでしょうか。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。