こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。
九州出張から戻ってきました。あれっ、前回のもじもじトーク配信日も、鹿児島に出張中でした。なぜか、メルマガ配信の前日は、出張中か、出張から戻ってくる日、もしくは主催イベントがある日の確率が、ほぼ100%なんです。
●悲報か朗報か?
昨日、東京駅に到着して、新幹線ホームを歩いていたら、頭の後ろを、何かがかすめた気がしました。
恐る恐る、髪の毛を触ってみると、手にねっとりしたものが……。
そうです。鳥の糞です。しかも大量に……。大漁ともいいます(笑) しかも、スーツケースの上に積んでいたビジネスバックにも、大量のケチャップのようなものが……。オムライス二人前ぐらいのケチャップの量でした。
なんか嫌な予感がしたので、新幹線ホームでYシャツを脱いでしまいました。つまり、上半身は肌着一枚。
予感が的中しました。Yシャツの背中にもたっぷり付着していました。そして、肌着にも鳥の糞が染み込んでいる模様。
すぐにトイレに駆け込んで、頭を洗って、鞄をきれいに拭いて、まずは一次対応完了。幸いなことに、着ていない予備のTシャツが一枚、スーツケースの中に入っていたので、上半身裸で帰宅しなくても済ました。
かみさんにはメールで事情を説明しておいたので、帰宅したらすぐに、一時間ぐらいかけて、鞄を特殊な布やブラシで除菌したり漂白してくれました。ありがとう!
乾燥したら臭いは消えるだろうと期待してましたが、乾いたら、まだ鳥の糞の臭いがほのかに感じるではありませんか! いやっ、ほのかではない……。
諦めてゴミ捨場へ持っていきました。お気に入りの鞄だったので、同じ型の鞄の予備を買っていたので、それを明日から使用することにしよう!
急ぎの仕事は溜まっているし、メルマガ原稿の入稿もあるし、2時間のロスは痛かった。さて、気持ちを入れ替えて、もじもじトークを仕上げましょう。
大惨事でしたが、良く考えてみたら、「大当たりを引いた」「うんがついた」と考えることにしました。ということで、悲報じゃなくて、朗報だね!
でも、大型の鳥かな? 鷲とか鷹とか? そうじゃないよね。大型のカラスかな? 謎は残りました。
気持ちを切り替えて本題に入りましょう。今日は、久しぶりに、「まちもじ」特集です。
●この中に入る文字は何?
まずは、この写真をご覧ください。
https://goo.gl/orW7tG
みなさんが、毎日、目にする道路標識のひとつですよね。この逆三角形の赤い標識の中に何が書かれていますか?
「文字の色は?」
「何が書かれているか?」
「それは漢字か平仮名か?」
「その書体は何?」
を瞬時に答えられますか?
これを、先週のもじもじ勉強会ツアー(鹿児島・博多・佐賀・広島・東京)で、参加者に質問してみました。
最初の反応としては、
「たしか、ゴシック体だよね」
「止の一文字かな?」
「んっ、止まれの三文字だよね」
「色は白だよね」
って感じでした。思ったよりも自信満々の人は少なかったです。
なので、下記の三パターンのサンプルを見せました。
https://goo.gl/gYuWwN
一番は明朝体です。何か違うよね。この書体は、エヴァンゲリオンで使用されている「マティスEB」です。
二番目はゴシック体です。近いようで、でも、何か違う。ヒラギノ角ゴシック体です。
三番目は、古印体です。なぜか、会場の皆さんから笑い声が聞こえてきました。「何か怖くて立ち止まるよね」「やばいと思って急ブレーキを踏みそう」「お化けが出てきそう」という意見が多かったです。
正解はこちらです。
https://goo.gl/TM12BW
丸ゴシック体だったのです。この二枚の写真は、福岡で撮影したものと、自宅近所の東京の人形町で撮影したものです。
日本全国、津々浦々の「止まれ」の標識を調べたわけはありませんが、丸ゴシックである可能性は99%以上ではないでしょうか。
なぜ、丸ゴシックになったかは、手書き看板職人が製作していた時代、丸ゴシックは角ゴシックよりも2〜3割早く、書き上げることができたからのようです。その字形が現在にも引き継がれているのです。
あと、気になるのは、「止」の横画が斜め上を向いている点です。この理由は、わかりませんでした。その理由を知っている方がいれば、ぜひ、教えて下さい!
●コメダ珈琲店のドアに注目!
この三枚の写真をご覧ください。
https://goo.gl/r15pBC
ドアの「引」「PULL」と「押」「PUSH」のラベルの文字が古印体ですよね。でも、それを見たときに笑ってしまうということはないと思います。
そもそも、コメダ珈琲店の「押」と「引」の書体に目がいくことは、普通の人はあまりないかもしれませんね。
コメダ珈琲店の看板の書体がとても特徴的で、おどろおどろしているので、古印体に違和感をあまり感じないのだと思います。
古印体は、印鑑でも使用することがある書体です。古印体の捺印をみて、笑う人はないですよね。
つまり、書体には適材適所があり、使われている場所や風景、そのシーンにおける背景などにより、同じ書体が使われていても違和感を感じる場合とそうでない場合があるのです。
人間の脳は0.1秒で、目の前にしたものが何であるか、そして、それが好きか嫌いかを判断しているといわれています。
正しく情報を伝えること、そして、その情報の重み付け、また、感情を伝えるために、文字や書体が重要な役割を果たしているのです。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。