もじもじトーク[92]新・まちもじ特集 その2 〜圧倒的存在感、ラグランパンチ〜
── 関口浩之 ──

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

秋らしい季節になりましたね。暑がり屋にとっては過ごしやすい季節ですが、僕はまだまだ、汗をかきかきしながら、毎日を過ごすフォントおじさんです。

前回に引き続き、「新・まちもじ特集 その2」をお送りします。





●中吊り広告が面白い

突然ですが、みなさん、電車の中吊り広告、好きですか? 僕は中吊り広告が大好きなんです。電車に乗った時の楽しみのひとつです。

電車に乗ってるほとんどの人が、スマホと格闘していると思います。僕は「スマホ、時々、中吊り広告」って感じです。

雑誌や週刊誌の中刷り広告の見出しから、短時間で最新情報が入手できます。また、書籍の広告に目が止まって、衝動買いすることもあります。

そして、広告をじっくり眺めると、この写真にこのフォント使うのおかしいじゃんとか、この文字の組み方は美しくないじゃんとか、このキャッチコピーだめじゃんとか、いろいろ発見があります。

あれっ、ダメ出しばっかりでした。中吊りは広告目的なので、美しいデザインというよりも、ごちゃごちゃ感のある目立つデザインが多いようです。

中吊り広告の作例がたくさん掲載されているウェブページを見つけました。
https://www.fujisan.co.jp/nakazuri/


でも、このページのテキストリンクをクリックしたら、最新号の雑誌購入ページに……。おぉ、広告ページでした。でも、中刷り広告を眺めるのは、楽しい。

●中吊り広告でラグランパンチ

先日、溜池山王駅から市ヶ谷駅まで、南北線を利用しました。

すると、目に飛び込んできた中刷り広告が、こちらです。ジャーン!
http://bit.ly/2xBSdPE


中吊り広告では、あまり見かけないフォントです。そうです。僕が大好きな「ラグランパンチ」です。

アニメ「キルラキル」や「重版出来」で使用されている、圧倒的存在感のある力強い書体です。

僕はセミナーのプレゼンテーションの表紙で使うこともあります。でも、ビジネスのプレゼンテーションでは使用しません。「こいつ、なに遊んでるのか」と怒られる可能性がありますので。

ラグランパンチは、白地に黒文字、または、黒地に赤文字で表現することが多いようです。圧倒的存在感を出すために、コントラスト比の高い構成でデザインする傾向がある書体なのです。

ところが、今回、下地が薄いベージュで、文字がグレーのようなグリーンでした。しかも、文字の濃淡を三段階で、順番に切り替えて文字を組んでいました。

本来、圧倒的存在感のあるラグランパンチが、ちょっと爽やかなイメージになっていませんか!

この書体、テレビテロップでよく見かけますが、電車の中吊り広告で、ラグランパンチが使用されているのは、僕は初めて見たような気がします。しかも、爽やかなラグランパンチ……。感動しました。

夕方のラッシュ時間帯に電車に乗ったので、撮影するのに、すごく勇気がいりました。

ラグランパンチが好きな人は、僕の周りに結構いるんです。知人が、Webフォントを活用して「キルラジェネレータ」を公開しています。
http://bit.ly/2MLp2PL


ためしに、「ナウで ヤングな 圧倒的存在感のある おじさん」と三行入力して送信ボタンを押してみてください。ラグランパンチで表示されます。いろいろ、試してみてください。

文字好きでなくても、まあまあ、楽しいでしょ。

●いろんなところに出没するフォントおじさん

最近、みんなから「関口さんって、ほんと、いろんなところに出没しますね」と言われます。褒められているのかなぁ(謎)

Facebookの過去5年間の投稿をみると、全国いたるところでセミナーに出演して、イベント記事を投稿していました。

年間30本ぐらい、セミナーに登壇しているので、計算上、5年間で約150回、セミナーや懇親会の写真を投稿しています。飲み会の写真が多いなぁ。

そんな写真が多いけど、ちゃんと仕事しています(笑) 考えてみれば、自分が登壇している時、自撮りはしないので、登壇している写真は多くないのです。

僕が登壇している時の写真を、誰かが毎回アップしてくれれば、仕事している感が、もっとアピールできるんですけどね。

年間30本のうち、都内のセミナーや自分が主催しているセミナーが半分ぐらいあるので、出張回数は年間で15回ぐらいだと思います。あれっ、思ったほど多くないじゃん。年間15回でも十分に多いよ、という声も聞こえてきますが……。

●フォントおじさん、秋の巡業始まる

ここ数か月、出張は抑え気味でした。暑かったからかもしれません……。実はそうではなかったんです。セミナーが本業じゃないので、日頃の業務が溜まりに溜まって、身動きがとれなかったんです。

しかーし、今週からいろんなところに出没します。年末まで東京開催のセミナーを含めて15か所以上のセミナーに出演します。フォントおじさん、がんばる。

向こう二週間で、登壇するセミナーの告知をさせてください。

・第36回リクリセミナー「フォントのホント リターンズ with FONTPLUS DAY」
〜フォントワークス 藤田重信さんをお迎えして〜
https://recreators.doorkeeper.jp/events/77289


三連休の初日9月22日(土)は、筑紫シリーズの書体デザイナー藤田重信さんと、大阪でフォントのお話をします。大好きな藤田さんをお招きして、大阪でWeb系セミナーに出演いただくのは初めてかもしれません。

大阪DTPの勉強部屋では、何度か、藤田さんとご一緒しましたが、そのときの参加者はDTPの方や、グラフィックデザイナーの方が中心でした。

今回、藤田さんが、WebデザイナーやWeb系エンジニアの方々と交流すると、化学反応が起きて、新しい発想の書体が誕生するかもしれませんね。

・Webデザインシンキングセミナー in 広島:YATのblog
https://yatblog.connpass.com/event/96728/


その次の日、9月23日(日)は広島です。YATのBlog主催「デザインシンキングセミナー」に出演します。「Webクリエイターボックス」のManaさん、そしてYATさんとセッションご一緒するの、すごく楽しみです。

みなさん、広島に遊びに来てね。でも遠いですよね。申込はまだまだ絶賛受付中です。会場は広島大学東千田キャンパス隣接の「いいオフィス広島」です。

あれっ、まちもじ特集のはずが、フォントおじさんがんばるの内容も多くなってしまいました。すみません。

では、二週間後に、またお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
フォントおじさん
https://event.fontplus.jp/about/hiroyuki_sekiguchi.html


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、オトナンサー等のWebメディアにて、文字に関する記事を連載中。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/