はぐれだから断れんのですよ。だってボクに何か頼み事をするっていうのは、「もう切羽詰まってどないもならん」というシチュエーションしか思いつかないではないですか。
この一連の作文を強引にねじ込んだ編集長は、「切羽詰まって」というよりは、ただ単に面白がってるだけかもしれませんが。これだって最初はかなり抵抗したんですよ。でも気がついたら不定期連載扱いになってるし。というか、そう宣言しちゃったから編集長が。逃げられへんやん…(- -;)
まぁ、色々お世話にもなっているので、しゃあなしと言えばしゃあなしなんですが。
はぐれというのは基本、社会一般的な常識・概念・価値観・倫理観から遠く離れた思考と行動をする。少なくともボクはそう。まぁ表に出さないようには気をつけてますが、それでもやっぱり出るもんは出る。
いわゆる「危ない人」にカテゴライズされても、ボクはなんとも思わないのですが、知ってて頼んでくるというのは、やはりどう考えても尋常じゃないシチュエーションなワケですよ。
ちなみにお仕事も、たいてい尋常じゃないスケジュールとか、どうやっても絵になりそうにないと、編集さんが弱り切った案件がボクのところにはよく来るのですが、これはもうそういう特殊なエカキと割り切っているし、大抵のことならどうにでもなるから、別にボクが困ることはないのですよ。強いて言うなら、「普通にお仕事させて」くらいでしょうかね。
尋常じゃなくなるシチュエーションに至るには、さまざまなプロセスが当然あるわけで、それが頼む人自身のせいなら断ります。ただ、こういう手合いは、ボクのようは「危ない人」ではなく「弱い人」につけいるから質が悪い。
こんな連中の頼み事なんぞ、まともに聞いてたらそれこそ骨までしゃぶられそうなので断固拒否するのですが、色んなアクシデントだのハプニングで、どないもならんというシチュエーションもあるわけで、こういう場合は普通「頼りになる人」に頼むはず。なのにボクの所に鉢がまわることもあるわけで、こうなるともう断れなくなる。
断っておきますが、優しいわけではないのです。単なる自己満足と断言してもいい。
にっちもさっちも行かない状況にもかかわらず、「危ない人」であるボクに頼るというのは、彼(彼女)が切羽詰まっているだけでなく、頼れる人がボクしか思いつかないという、もう最低の状態になっているとしか思えんのです。最底辺を通り越して、鬼や悪魔に頼み事をするようなもんで(!)こうなると引き受けなしゃぁない。
で、大抵金にならん。いや100%金にならんな。その他、得になることも何もない。損な役回りだということは百も承知しているのですが、どうしても断り切れない。さすがに本物の鬼や悪魔のように非情な行動は出来ないので(近いことはしょっちゅうやってるけど)折れる。
それでも、若い頃なら蹴っていたようなことも、最近は何となく引き受けたりしている。歳のせいもあるとは思うのだが、やはりプロセスを想像できるようになったというのは大きいと思う。
若い頃は訳も聞かずに、「こっちに持ってくんな!」とばっさり切り捨てていたような案件も、なんとなく引き受けてる。全部が全部じゃないですがね。そこまで人は良くないし、できればややこしいことはしたくない。それでなくても人嫌いなのに。
そもそもボクが「人嫌い」というところで、間口は極端に狭くなるはずだし、会話を聞いているふりをして、すべて右から左なんてのはザラなので(そもそも会話の内容があまりにつまらなすぎる)口に出すのは「ああ」とか「ほぉ」と、適当極まりない相槌を打っているだけである。これでほぼ9割9分9厘は排除できる。
ボクが聞いていないことに気がつくタイプは、絶対にボクに頼み事をしない。当たり前だ。信用できないことこの上ないではないか。聞いていないことに気がついていないタイプは、ボクが「こいつアホや」と判断してしまうのでさっさとボクから遠ざかる。
日常会話の段階でボクと話があう人なんてのは、もう本当に稀で(まぁ日常会話じゃない、特殊な会話という意見も大いにあるのだが)、一般的な日常会話の内容は、ボクにとってはほとんどがつまらなかったりする。というか、内容がないからね。話したり聞いたりするだけエネルギーの無駄遣い、と思ってしまうのだ。
が、一般的にはこのような内容皆無の会話でコミュニケーションをとる、という方法論がまかり通っているし、それで彼らが円満に人間関係を築けるのなら、ボクがとやかく言う問題ではない。問題はむしろボクにあるのだから。
それでも昔に比べれば付き合えるようになった方ですよ。
昔から比較的まともに話をしたり聞いたりできるのは老人か女性、小さい子だけで、それ以外となるともうほとんどダメ。特に男はあかん。今でも年齢関係なく、男の人でそれなりに話ができるのはめちゃめちゃ少ない。しかも大抵なにか特殊(!)な人だったりするので、一般的な尺度からは明らかに外れてる。そのへん、女の人は気楽なんですがね。特殊性も考慮にないし。
では断れない話をボクのところに持ち込んでくるのは女性かというと、これはもうほとんどない。ナゼなら、彼女たちはボクのダメさ加減をよく分かっているので(ちなみに分かっていない人も稀にいるが、こういう人とは女性でも話さない)相談事を持ちかけること自体あり得ない。
もしかしたら何らかのサインを送っているのかもしれないが、この辺ボクはとことん鈍感なので、気づかずスルーしているケースがあるかもしれない。これはあくまでも推測です。だって、ボクが気がついてないんだもん。分かるわけないやん。
そもそもボクが「頼る」ことはあっても、「頼られる」ということとは縁遠いのだ。生まれや育ち、もちろん性格もあるだろうが、そうなってしまっているのだからどうしようもない。
おねえちゃんやももちにすら、ボクは頼られる存在として認識されていないはずだ。そっち方面は全部奧さんに投げ出して(!)、彼女たちとはひたすら遊ぶばかりなので、どう考えても頼られる存在にはなっていない。彼女たちにとっての「頼れる」に近いボクの存在意義は、「甘えられる」だろうな。とにかく甘いからなぁ…
ボクを頼るというのはここまで狭き門なのですよ、本来は。
それでもボクには絵を描くことと、偏っているにも程がある知識ぐらいしか取り柄といえるものはないので、当然のことながら「もっとちゃんとした人に相談した方がいい」としか言えないのだ。しつこいようですが、ここの作文は本当に特例中の特例です。本来ならあり得ない。
それでもどうしようもないことがあったりするから、結局一肌脱がざるを得なくなる。ここまで自分でハードル高くしておいて引き受けるのだから、ボク的にはもう一仕事どころの話ではなくなるのですが、もう仕方がない。
厄介なのはボク自身に限度というヤツがないところで、とことん付き合うのでエネルギーの消耗っぷりだって半端じゃないのだ。てきとーな所で突き放すなり、自助努力に賭けるなりできればいいのですが、一度ちゃんと付き合い出すと、今度はボクが心配の塊になってしまうので、なかなか「これで行ってこ〜い」とは言えなくなってしまうからだ。それでも、最終的にはその人次第でしかないので線は切りますが、この線切りがなかなかできなくて。
上述したように色んな事情があるにしろ、ボクが引き受けるのはあくまでも自己満足に過ぎない。「頼られる」という事態そのものが、本来あり得ないのだから。マジメに付き合いますが、それでも突き詰めれば自己満足でしかない。
本来あり得ないことが目の前で起こったら、普通の反応はできないじゃないですか。まずめちゃめちゃ驚く。で、困惑する。困惑程度じゃすまんかボクの場合。完全にパニクってるな。
で、少し落ち着いて「ボクでエエんか?」と疑問を抱く。さらに「ボクで大丈夫なんか?」と不安になる。ここまで自己猜疑心が強い人も珍しいのかもしれないが、それでも腑に落ちた時は自己満足のためにしかならない。
「頼られた」と「なんとか解決に導く」という二つの項目をクリアしようとする動機はボクの場合、自己満足以外のなにものでもない。おまけに滅多にないことなのだ。なかなか断れないのですよ、ここまで来ると。
そもそも自己満足というのは、自分の中だけで完結できるケースの方が多いのではないだろうか? 敢えて疑問を呈したのは、ボクが自分の中だけで完結できるほど、自信家でもなんでもないからだ。目に見える形で結果が出ないと満足できない。絵ですらやれることはやっているが、完璧にできたと、描き終わった時に思うことはほとんどない。
本業の場合、編集さんが「バッチリです」と言ってくれるまでは、不安で仕方がない。ここまで他力本願なのも正直どうかと思うが、自分が一番信用できないのだ。
不安を不安のまま放置しておくほどの度胸もないから、また色々描く。描いても描いても不安は減らないし、自信にすらならない。気休めみたいなもんなのだ。当然「これでいい」と落ち着くことはまったくない。むしろ「どこかに見落としがあるのではないか?」と自分で不安を煽るようなことまでしでかす。本業ですらこれである。自己満足とは縁遠いどころか接点すらない。
できることはやっているので、それなりの「達成感」は確かにあるが、それと「自己満足」はボクの場合、まったく次元が異なる価値観で、上述したようにすぐにまた不安が頭をもたげるのだ。
そういう意味では、頼み事をどうにかこうにか落とすところに落とせた、というのは分かりやすいし、ひどい話しょせんは他人事なので(!)ボクは一人で勝手に自己満足に浸っていればよろしい。まぁ、さすがに無責任なことはしませんが。
もう少し素直な生き方ができなかったもんかなぁ、などということは微塵も思っていないので質の悪さは更に倍である。はぐれなんてこんなもんだ、呵々♪
ちなみに、ここの作文は自己満足などというものとは無縁である。とにかくやけくそなので、書けること書いて(しかも無茶苦茶な内容と文章)さっさと編集長に送って、さくっと何もなかったことにしている。
もちろん、これを読んでいる奇特な皆様を満足させようという殊勝な心構えすらない。作文じゃどうやっても無理だし。だから後は、ぜぇ〜んぶ編集長任せなのだ。
【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com