よく言われることだけれど、夢を実現するためには目標を文字に書くことがとても良いらしい。私も同感。言葉や文章を文字で書くだけでなく、映像として頭に思い浮かべることも良いと思っている。
そして、やはり私のように絵を描く人は、作品の構想もまず頭の中に描く。頭から紙へとイメージを移すことが、制作の始まりなのだ。
もちろん、絵の具や粘土などを手で動かしながら、出てきた色やテクスチャを使って作品をダイレクトに作っていく人もいるだろう。下絵なし、あらかじめ決めたことなしで制作するタイプの人だ。
私の場合は、絵を描く時には思い巡らせた構想をスケッチに描き出していく。それはごく小さなメモ書きのようなサイズの時もあれば、大きく描く時もある。
アイデアを頭の中にあるだけで終わらせてしまうと、次々にやってくる別のイメージに押し流されてしまうことになる。良い思い付きは、一回出しておくということがとても大切で、必要なことなのだ。
例えば作曲家は良いメロディが思い浮かんだら、iPhoneやボイスメモに録音するだろう。お笑いの人たちも面白いことを思いついたら、ネタ帳に書き溜めて蓄積していると思う。
私にとってのスケッチブックはノートだ。これは私のネタ帳でもある。
最近は絵の横に文字を書くことも多く、それは自分の忘備録だったり、自分への指示だったりする。「この辺を力強く」とか、「背景に埋もれないように」とかの言葉だ。
何日までという締め切りも大切。自分が決めた小さな締め切りに追われることになるけれど、だからこそ決めるのだ。
●天地左右を区切る
そして、幾つかのデッサンやスケッチを見ている時に、絵としての完成形が思い浮かぶこともある。絵としての形を決めるのに大切なのは、構図だ。もちろん横構図なのか、縦構図なのか、正方形なのかという四角形の形も決める。
その縦横比率が絵の印象をかなり決定づける。私にはこの、四角い天・地・左・右を線で区切った「枠」がとても大切だ。スケッチブックにも、4本の線がビシビシと引かれていく。
この枠内に収めされた部分は、絵として必要なものが収められた領域。必要ないものは入れない聖域だ。ガーッと勢いで描いたノートの線。
4本の線の中に描き込んだり、消したりして制作していくうちに、構図がかなり変わってしまうこともある。
しかし、いざMacで完成した作品を見ると、その構図は最初にノートに簡単に描いた線に一番近い時がある。ひょろひょろっと手書きした線。最初に頭の中から地面に着地した線だ。
こういう時は途中の迷いは、何だったんだろうと思う。途中の迷いに使った時間は、それが間違いだと気づくための時間ということか。
●文章量が増えてくる時
私は自分のネタ帳(スケッチブック)に、やたら文章が増えてくる時がある。こうなるとスケッチブック的ではなくなるので、文章用のノートを分けてみた。
しかし文章で書き溜めていくと、今度はそこに絵が入ってくる。基本的に絵のことを文章で書くので、絵を入れないと意味が通じないことがあるのだ。
これは自分のためのノートなので、別にいいのだけれど。まとまってないし、脈絡もない。自由なのだ。ダ・ヴィンチのノートみたいにカッコ良ければ、文字が多くなってもいいのかもしれない。
今回のこの文章も、ネタ帳の一部でも画像で載せればわかりやすいと思うけれど、発表するのは作品だけが良いと思っているので、下絵類は載せることができない。
おそらく作曲家も芸人も、メモを発表することはしたがらないものだと思う。人によるのだろうか。
私の場合は、自分から最初に出したものは、見られることを想定していないからこそ、自由に出てくると思うのだ。
●Macでは
私はMacintoshを使って絵を描いているのに、今回はスケッチブックの話しかしていない。最近はMacの画面と、紙のノートの両方を見ながら作業することが多い。
おそらく絵の進み具合による履歴を、紙に残していくスタイルが心地よいからだと思う。データ上ではファイルが残っていくだけだからだ。仕掛り中の作業のメモをノートに書きながら、Macに向かうと目も休ませることができる。
Macの画面上でパーツを動かしながら構図を決めることももちろんあるけれど、やはり紙の上に目を落とす時間が重要に感じられる。
そして、ノートの良いところはページが増えていくところ。冊数も増えていくので作業の蓄積を体感することが出来る。
私の場合は、イメージは頭の中に生まれ、スケッチで紙に着地し、Macで描き込まれ、紙へとプリントされる。
その紙の絵を見る人が、頭の中で何を思うのかが楽しみなのだ。
【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/
ディズニー映画のアラジンを見ました。とても楽しかったし、歌も良かった。ウィル・スミスのシーンは、動きが激しいので見るのが忙しい感じ。彼の瞳の中の優しさは、素晴らしいですね。