もじもじトーク[117]山口クリエイティブハント2019に参加して
── 関口浩之 ──

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

今回のもじもじトークは、「山口クリエイティブハント2019に参加して」をお送りします。10月19日(土)11:00~17:30に、山口大学・人文学部(吉田キャンパス)で開催されたクリエイターイベントに参加しました。僕は、セミナー登壇とブース出展を担当しました。





●クリエイティブハントって何?

クリエイティブハントとは、「山口県内のクリエイティブシーンをより高めるための『学べるきっかけ』『発見できるきっかけ』を創出するイベントです。真剣に知識を得たい方・楽しくみんなで勉強したい方・ベテラン・ビギナー・開拓者その他モロモロ、すべてのクリエイターにとってひらかれた学びの祭典で、無料のクリエイティブ勉強会イベントです。3つの会場で『ウェブ』『デザイン』『DTP』などさまざまなクリエイティブセッションを開催します。」とウェブサイトに書かれています。

懇意にしているイベント実行委員の皆さんから聞いた話では、「元々、山口でそれぞれ勉強会を開催していた『YWCD(やまぐち若手デザイナー勉強会)』、『WordBench山口(2年前の当時)』、『Yamaguchi DTP Bee』という3つのコミュニティがあったので、みんなで集結して、大きなイベントやってみよう」ということで開催されたようです。

第1回クリエイティブハントは2017年10月14日、第2回クリエイティブハントが2018年10月27日に、山口大学・経済学部(吉田キャンパス)で開催されました。今年の第3回クリエイティブハントは、2019年10月19日に山口大学・人文学部(吉田キャンパス)で開催されました。

のどかな風景が広がる山口大学に、150名以上のクリエイターが集まるイベント、凄いことだと思います。

このイベント、「GO HUNT!!」というサブタイトルがあります。「新たなクリエイティブをハントしよう」という趣旨だと思います。

「クリエイティブハント」で「GO HUNT!!」なので、略して、「クリゴハン」だそうです。そういう、遊び心のある企画、いいですね。秋は栗ご飯のシーズンですね。でも、栗ご飯が配布されるわけではありません(笑)

山口クリエイティブハント2019
https://creative-hunt.org/


●イベントのキーワードは「楽しい」

山口クリエイティブハントに、2年連続で参加しました。このイベントに参加して感じたことは、「主催者も登壇者も参加者も、みんな、楽しそう」ってことでした。

この「楽しい」ってキーワード、すごく大事なことだと思うのです。これらの写真をご覧ください。どの写真も楽しそうでしょ! 僕が一番、楽しそうという意見もありますが(笑)
https://bit.ly/gohunt2019-2


1枚目の写真ですが、登壇者がセッションに入る前に、控え室でルーム担当者(3トラック平行してセッション開催)と登壇者で、記念撮影していただきました。

この企画、すごく良いですね。ルーム担当者も登壇者も記念になるし、ブログ書くときのメインビジュアルで使えるし、登壇者はみんなに自慢できるし(笑)、背景ポスターがクリエイティブハントのブランディングになるし、って感じ。

イベント実行委員の皆さんは、ここ数週間、イベント準備のため寝不足で、開催当日はヘロヘロ状態だったと思います。そして、当日の急なトラブルとかでバタバタすることも少なくないと思います。ヘロヘロになりながらも、参加者や登壇者と一緒に、笑顔で運営することは、とても重要なことだと思うんです。

イベント準備は、忙しい本業の合間で行うことが多いと思います。企画で行き詰まったり、メンバー間で意見が食い違ったり、徹夜で準備したりで、しんどいと思うこともあると思います。しんどいので「来年の開催はどうしよう」と思うこともあったのではないでしょうか。

でも、参加者から「楽しかった」「参加してよかった」と言われると、その疲れは、どこかに飛んでいってしまうと思います。

懇親会で乾杯の音頭と挨拶をさせてもらったのですが、その時に、「イベントのキーワードは、参加者・登壇者・スポンサーが楽しいと感じることです。そして、主催者も楽しいと感じられるイベントであり続けてください。そして、とりあえず、10回ぐらいまでやってみてくださいね(笑)」とお話しました。

そうなんです。イベント主催者が義務感で運営したり、楽しくなかったりしたら、そのイベントは長続きしません。主催者も楽しくていいのです。いやっ、楽しくないといけないのです。

「楽しい」とは、「新しい学びがある」「次につながる気付きがある」「成長できる」ということだと思います。その学びのトリガーは、参加者や登壇者からいただくことが多いのです。失敗もたくさんします。でも、必ず次につながります。

僕も隔月で80名規模の「書体とデザイン」イベントを主催している立場なので、その気持ち、よくわかります。僕はFONTPLUS DAYセミナーを21回、開催しましたが、とりあえず、50回までがんばりたいと思います。

●クリエイティブハント実行委員からのメッセージ

この記事を書き終わった頃に、山口クリエイティブハント実行委員長の「みっちー」こと、茄子川導彦さんからのからメッセージをいただきましたので、紹介します。

〈おかげさまで、クリエイティブハントの開催は3年目となりました。また、山口県で開催するクリエイター系イベントとしては規模が大きい参加者数と、最大規模のセッション数を誇れるほどに成長させていただきました。

今年のクリエイティブハントでは、参加者様・ご登壇いただく皆様のすべての方々と、運営側の人も、全員に楽しいと思っていただけるイベントを目標として、テーマを「楽しいマナビがココにある!!」と銘打ち開催いたしました。

イベント後に皆様から「楽しかった」というお言葉を多方からいただき、このイベントにご参加いただいた皆様・関わっていただいた皆様に、スタッフ全員の思いが届いたかと思うと、イベントを開催してよかったと心から嬉しく思います。

ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいた皆さま、本当にありがとうございました。〉

おぉ、なんか、僕が書いたことと、同じようなことが書かれていました。なんか、うれしいです。

●フォントおじさん2019セッション

僕のセッション登壇は、これでした。

制作現場で役立つ! Webフォント最新事情 〜フォントおじさん2019〜
https://creative-hunt.org/session/room2-time1500/


「フォントおじさん2019」ってサブタイトルは便利ですね。来年になったら、「フォントおじさん2020」にすればいいのですから……。

そのためにも、日頃、街なかを歩く時、アンテナ感度を高めて、文字の新ネタを増やしていきたいと思います。新ネタといっても、面白いものを探すというよりも、「このサインは分かりやすいな」とか、「この文字組み素敵だな」とか、「この広告デザイン、心に染みるな」とか、そんなノリですけど。

最近の「もじもじトーク」では、Webフォントのお話、あまりしてなかったと思います。今回の45分の勉強会では、約100ページのスライドを使いました。更に50ページ増強した150ページのスライドを公開しちゃいます。ご興味のある方は、ダウンロードしてご覧くださいませ。
https://bit.ly/gohunt2019font


僕のセッションでは、単なるWebフォントの技術解説や導入効果などを説明するのではなく、文字の歴史や街中の文字ネタも仕込んでいます。

なぜなら、Webフォント(ブラウザで表示させるクラウド上のフォントのこと)は、情報伝達のひとつのインフラストラクチャであり、特別なものではないからです。

情報を正確に伝えるためのインターフェース(誰もが理解できる体系化された情報構造)である文字は、約5,000年前に誕生し、表示媒体が、「亀の甲羅(甲骨文字)」や「石(碑文)」や「粘土」から始まり、「紙」や「ディスプレイ」などに変化しました。今後は、3D空間に文字が表示されることが多くなりそうです。

文字情報の伝達方法も、物理的な設置(石碑、看板、サインなど)や配布(紙の本やチラシなど)から、インターネット(パケット)も加わりました。技術革新の変化とともに、文字を表示する解像度や色表現力も変化しています。

文字を見る環境はさまざまなので、それぞれの環境に適した「文字の表示方法」や「文字組み表現やレイアウトデザイン」や「書体の適材適所」があると思います。

スライド資料101ページの「ウェブ組版は、紙のデザインに近づいたのか?」のテーマの回答ですが、僕の意見は、「そもそも、ウェブと紙は同じ媒体ではない。頑張ればウェブでも同じことはできるが、同じである必要はない。ウェブはアクセシブルなコンテンツであり、それを忘れてはいけない。」と書きました。意見には個人差がありますが……。

紙で表現するテキストレイアウトと、ウェブにおけるテキストレイアウトは、同じである必要はないと思います。比較するのが本質的な論議ではないと思ったのです。ウェブは、誰でも、どこでも、いつでも、アクセスできる媒体であり、検索性、ブラウザ読み上げ対応などのアクセシビリティが重要であり、紙にはないメリットがあります。

ウェブにおいて、どこまでの組版要件を満たすかは、アクセシビリティを担保しつつ、バランス良く、モダンブラウザが対応するCSS(Cascading Style Sheets:Webページのスタイルを設定するコード)を適度に活用することだと思います。

「電通報」では、「アンチックセザンヌ」という書体をWebフォントで表現しつつ、文字詰め(プロポーショナルメトリクス)表現がされています。
https://dentsu-ho.com/


また、「鈴乃屋 衣のいのち」では、「筑紫明朝」という書体をWebフォントで表現しつつ、タテヨコ混在組版で、美しいパンフレットで読んでいるようなウェブコンテンツに仕上がっています。
https://www.suzunoya.com/kinu/


この二つの事例は、ウェブのメリットを生かして、美しいテキストレイアウトを実現していると思います。

●山口県、好きです

新山口駅で降りるのは、今回で2回目でした。クリエイティブハント参加のために、新山口駅前のホテルに宿泊しました。次の日の移動がしやすいように。

昨年同様、夜中に到着して発表資料の仕上げ作業で徹夜モード、当日はイベントに終日参加して、そのあと懇親会と二次会参加して、夜中にホテルに戻って寝るパターンでした。そして、翌日は、早朝の新幹線で、大阪イベント会場に移動するという2泊の日程でした。

搬入荷物があったので、新山口から山口大学までタクシーで移動しました。新幹線が停まる新山口から山口大学まで、20分ぐらい、ずっと景色を眺めていましたが、人が道を歩いていません(笑) 朝早かったからかもしれませんが、タクシーの車窓からの景色は、緑と川だけです。

30年以上、東京に住んでいるので、そんな景色をゆったり見たのは久しぶりでした。自然の多い土地を訪問するのは好きですが、観光地はそれなりに人がいますよね。群馬県の農村育ちなので、人のいない自然の風景を、しばし、まったり眺めることができたのは幸せでした。

そして、昨年に撮影した新幹線からの車窓からの景色ですが、山口の鉄道操作場がみえてラッキーでした。鉄道好きなにとっては興奮する光景でした。
https://bit.ly/gohunt2019-3


いつか、妻と、歴史ある風景が満載の山口県を、仕事を忘れて、ゆっくり旅することを夢見ています。

では、また、2週間後にお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)

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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/


Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの?
「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/