グラフィック薄氷大魔王[117]デジタル回帰/吉井 宏

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●メモパッド

手帳を使わないことにしたが、外出時や緊急のメモは紙に書くのが便利。A6ペラ紙のカードの束をメモ兼用とするのもいいんだけど、ササッとメモるためのツールといえば、なんといっても「RHODIA」だろう! 革のカバーつきのカッコイイのがあるのだ。

さっそく伊東屋へ。ポストカードくらいのサイズのメモパッドを気に入っていじってみたところ、問題が。新品のメモパッドが装着された状態では、文庫本くらいの段差がある。段差はダメだ。また、印刷してある罫線が濃すぎて好みじゃない。革のケースはすごいカッコイイので迷ったのだが、これは僕的に使いやすいとは言えなそう。大判のポストイットをメモパッドとして使うホルダーも良さそうなんだけど、高い。

同じところに置いてあった伊東屋オリジナルのメモパッドホルダー「伊東屋リーガルパッド」の小さい方。ビニール製で安価(注1)。これの新品メモパッドは薄く、新品は三冊組。それに、黄色い紙だ! 前にも書いたけど、「高橋幸宏氏は黄色いメモ用紙一枚でレコーディングスケジュールをすべてコントロールする」ってのを昔読んで以来、黄色いメモ用紙はあこがれだったのだ。


二週間くらい使っているが、なかなか良い。用事が済んだメモは必ず捨てる。必要なものはiCalやMail.appのメモへ書き写す。これでメモやToDoにはポケット一個ルールが完全に適用されることに。メモの一元化は、GoogleノートブックやGoogleカレンダーを使う習慣をつければ最強だろうけど(注2)。

●iPod touchとの連携

書くのはメモパッド。では過去のメモは外出先でどうやって見る? Mail.appのメモとiPod touchを同期できればこれ以上ないほどベストなのだが、どういうわけか今のところ標準では同期できない。アドレスブックとiCalが同期できてメールはWi-Fiで読めるのに、メモ閲覧機能さえないってのもPDAとしては変だから、そのうちアップデートされると期待。

あと、従来のiPodにはテキストデータを入れておけば画面で読むことができるフォルダがあるのだが、iPod touchは外付けディスクとして使えないのでその手が使えない。逆に、指スクロールと画面サイズの利点を捨てれば、むしろ普通のiPodのほうが便利かも。

アドレスブックのメモ欄を利用してメモを同期できるソフトもあるようだけど、日々の実用から言えば、iCalを使う方法がいいと思う。空いている時間帯(午前0時〜9時くらいまで)にメモや記録などをコピペする。かなりの長文も入れられるので日記的にも使える。スケジュールに付随するメモ等はiCal内にあるのが自然だ。残念ながら検索機能がないけど、こちらも機能追加されるだろう。

まあ、現在でもiPod touch「監獄破り」ハッキングでメモどころかいろんなアプリやゲームソフトを入れる技があるらしいけど、僕はiPod touchに関してはなるべくシンプルに使いたいので、そういうのをやるつもりはない。っていうか、来年になればiPod touch・iPhone用のApple公認のサードパーティ製アプリケーションがどっと出てくるだろうから、PDA的な機能が不足しているのは現在だけかもしれない。

というわけで、メモを記入するのはメモパッドの一枚のみ。過去のメモはiCal内、iPod touchで携帯可能。というシンプルなスタイルに落ち着きつつあるところ。そして、気が向いたときにGoogleノートブックにコピペ。「手帳のメモをiCalに書き写さなきゃ」「抜けなく手帳につけなきゃ」という変なプレッシャーがなくなって、非常に爽快です。

●デジタル回帰

一方、アイディアスケッチの紙の話の続き。スケッチなどを紙のまま「立派に」ファイリングすることをあきらめ、A5、A6や不定形の小さな紙片に描く方法。しばらくやってみたところ、小さすぎる紙だと机の上に広げるのに手間がかかるし、普段は束ねているため一覧性が劣ることがわかった。また、アイディア出しの最初の段階で一枚に一個ずつ描くと、横方向のアイディアの拡がりに難があるようだ。A5に二〜三個あるい小さいサムネールをたくさん描くほうが、今思いついた形の類似発展形を大量に考えるには向いているらしい。

で、使い物になりそうなスケッチをデジタル化するわけなのだが、スキャンするのが面倒なときはいきなりPhotoshop上にタブレットでサムネールを見ながら描いてしまったりする。もちろん何も見ずにPhotoshopで延々スケッチすることも(注3)。

実は、来年早々にでもここで書くつもりなんだけど、鉛筆・ペンの持ち方を変えてみたら絵を描くのが非常にラクになったのだ。プラス、最近タブレットのコツについて書いたけど、それを実践することでタブレットで描くのと鉛筆で描くことの差がほとんどなくなってきた。つまり、わざわざ紙にドローイングする必要があまりなくなってきちゃったのだ。

ここ数週間は、8割くらいをデジタルでドローイングするようになってきてる。紙に描くのは、気が向いたときや出先で時間が空いたときなど。スキャン済みの紙はテキトーに束ねてあるだけ。スキャンしてからPhotoshopで描き足したり修正するので、元の絵にはほとんど抜け殻的な思い入れしかない。まあ、過去のスケッチブックを本棚に並べて「この中にオレのすべてが詰まってる」と悦に入る楽しみはなくなるけど、デジタル者としては、これが本来のやり方なんだろうな。

(注1)設計ミスかと思うのだが、内側のペンホルダーの位置が変だ。鉛筆やボールペンを差すと、表紙が閉じられなってしまう。表紙をギュッと片方へずらせば閉じられないこともないけど、無理がある。しょうがないのでカッターで切除した。この部分がないと表紙を後へ回して机の上に置いたときに平らになるので具合がいい。

(注2)久しぶりにGoogleノートブックを開いてみたところ、個々のメモにラベルやコメントがつけられるようになってる。複数のノートに自由に入れ替え可能だし、Webページの切り抜きをメモとして保存もできる。Googleだからノート内の検索もしっかりできるし。ちょっと使い込んでみよう。表計算やワープロもあって、Google内でMS Officeみたいなことがほとんどできるようになってるんですね。Gmailも使い始めて丸二年。GoogleカレンダーにはiCalデータもインポートできるし使い勝手も良くなってるので、どこにいても常時無線接続ができるようになったらGoogleに全面移行するかも。

(注3)なんでPainterじゃなくてPhotoshopばっかりなの? というと、Photoshopの「ゆがみフィルタ」がスケッチには必須なのです。Painterにも「イメージワープ」という同様の機能があるが(以前はこっちが必須だった)、ダイアログ内でUNDOができないのと操作画面が小さいので。

【吉井 宏/イラストレーター】hiroshi@yoshii.com

iPod touchにモールスキンのページのスキャン画像を入れてみたら、面白い!!ページをめくるのも楽しい。こういうデジタルノートがあったらいいんだけどな、と、またタブレットPCやUMPCに興味が行っちゃうのかもしれない。五年かかってひとまわりかな? ところで114回の『「どこでもMy Mac」は「Leopardだけインストールした空っぽのMacでいいんだよね。あっ! 来年頭に出てくると噂のゼロスピンドル超軽量モバイルMacって、「どこでもMy Mac」を踏まえたものなのかも!』と書きましたが、NECからそういう製品が出てくるらしい。「250グラムのモバイル機でVista搭載ホームサーバPCを遠隔操作」だって!10インチ液晶とキーボードを備えた650gのノートPC型は、ストレージなしで中身空っぽ。これだ。
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