グラフィック薄氷大魔王[693]苦手なマスキングを克服したい
── 吉井 宏 ──

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マスキングが苦手。段差がイヤ。マスキングテープの断面近くに絵具が溜まって、厚みが変わるのが許せない。ヘタクソな筆塗りの塗り分けのほうが、「味わいがある」と言えるだけマシ。

あと、マスキング切り抜きは一発勝負すぎる。筆塗りなら何度も塗り分けを整えつつ、完璧なカーブにできるのだが、マスキングだと切り抜きのチャンスは一回限り。不器用にギザギザっぽくなってしまう。マスキングを剥がした後は段差があるから、修正すると見苦しくなるし。

とはいえ、面倒な塗り分けをハズキルーペ越しに全部筆描きするのはめちゃくちゃしんどいし、時間かかりすぎる。塗装を「イヤな作業」と思いたくない。

とりあえず、段差を見えなくするには、ニスを厚く塗る手がある。不器用なギザギザは、ゆっくりやれば何とかなる。マスキングに不向きなリキテックスで、マスキング塗装が鑑賞に耐えるものになるのか、テストしてみた。

・厚紙にマスキングして塗り分けテスト
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右はリキテックスの保護ニス「ハイグロスバーニッシュ」を一度塗っただけ。左、ファレホのバーニッシュを何度も塗って分厚くしたら、確かに段差が消える! バーニッシュの表面で光が反射するので、下の絵具の反射が目立たなくなる。トップコートを分厚く吹けば大丈夫かも。

・次に、立体に試してみる。普通にマスキングして、リキテックス塗り分け(雑w)。
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境界に絵具がたまらないように多少は気をつけても、やはり段差が目立つ。で、細かいスポンジサンドペーパーで、境界の段差を中心に軽く磨いてみると……段差がほとんど気にならなくなった!

リキテックスは粘り気が強くて削りにくいけど、アクリルガッシュを混ぜれば削りやすい。磨いた部分が擦れて白っぽくなってたりするけど、トップコートすれば平気。

以前、ラッカーで同じように段差削りを試したことあったけど、塗膜が薄くてすぐ下地が出てしまい、まったくダメだった。リキテックスの場合、塗膜が分厚いから削っても下地が出ない。もし削りすぎても、ザッと上塗りすればいいし。

・トップコートを吹いてみた。
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段差、ほとんど消えた。水性プレミアムトップコートスプレーを、7回くらい吹いた。4回くらいだと、マスキング段差がちょっと浮く。ピンク部分の紫色の汚れは、サンドペーパーした粉を拭き取ったときに染まったもの。本番では修正上塗りするから問題ない。

イケそうだ。

突然、何を始めたのかというと、立体をどんどん作りたいのに、時間がかかりすぎるのが苦痛。筆で塗り分けするこだわりを捨てて、マスキングを取り入れたら、1週間かかる下地作り〜塗装を2〜3日でできるようになるんじゃないか? っていう期待。

他にもいろいろ材料を取り寄せ中。リキテックスの新製品や、画期的なニスなど。


【吉井 宏/イラストレーター】
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ニスとバーニッシュって、どう違うんだろ? ……Wikipediaによれば、「英語の『Varnish』が日本語に移入される際に『ワニス』と訛り、さらにその語を短縮して『ニス』と呼ばれるようになった。」!!

バーニッシュとワニスとニスは、同じだった!

ワニスは絵画修復で剥がしてたりする油絵を保護するやつで、ニスが工作に使う安いやつ、バーニッシュはその高級なやつ、というイメージだった。知らんかった〜!w

「トップコート」も同じく表面保護の透明塗料。検索すると、主にマニキュアやネイルの上塗り材として出てくる。

○吉井宏デザインのスワロフスキー

・十二支(丑年)OX
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