グラフィック薄氷大魔王[200]連載200回記念「今までとこれから」
── 吉井 宏 ──

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第1回目の後記↓

『仕事がきつい時ほど掲示板やブログに書きまくるのは人類共通の習性。特にブログは後で振り返ると「なんであのクソ忙しい時にこんな長文を必死に書いてたんだろ?」と首をかしげることも多い。そんな時に勢い余って、久しぶりにお会いした柴田さんに「あっ、あっ、僕も連載したいですっ」と口走ってしまいました。毎週書きますのでよろしく。タイトルは、「薄氷の〜」とか「薄氷を踏(履)む」って言葉の緊迫感がもともと好き+現在の心境+花粉症が奇跡的(笑)に結晶したものです。』

2005年の3月26日、品川で行われたデジクリのイベント[Creator's Table 2005]第2回「オンデマンド海津ヨシノリ」で、柴田さんに調子こいて「僕も連載したいです」と言ってしまったことから始まったのがこの連載、今回で200回目。まだたった4年半ですが、初期のものを読み返してみると、かなり恥ずかしかったりする。うわ、そんなこと考えてたんだ〜とか。

当時もデジクリの連載陣がいつも好きなこと書いていて楽しそうでうらやましく、僕も何か書きたいと思ってました。すでに、ブログ書きにも夢中だったのですが、たいしたアクセス数は得られておらず、1万数千人のデジクリ読者に向けて書いたら楽しそうだなあとワクワクしました。



柴田さんからの案内は、「内容はまったくご自由、文章量もご自由、でもコラムは1,500字くらいがいいと「超」文章術の先生もいってます」でした。書くことはいくらでもありました。今までの基本的なテーマとしては、仕事環境としてのグラフィックソフトやパソコン・デジタルガジェットの話、Webやクリエイティブやアートに関わる話を中心に、実際使ってみて(経験してみて)どうだったか的レポートを書いてきたつもりです。ポリシーとしては自分のブログと同じく、プライベートすぎることは書かない、くらいかな。

毎回のテーマは、その時に「これは書かなくちゃ!」って強く思ってるものが多く、ネタに困ることはあまりないです。最近はEverNoteに思いついたネタの断片を書き散らかしてるので、在庫過剰って感じです。ただ、やはりタイミングを逃して書きにくくなってるネタもたくさんあります。そういうのをまとめて、時々在庫整理で放出しようと思ってます。

今までに書いたテーマ別の統計を取ってみようと途中までやってみたのですが、テーマが重なってるものが多いので分類が面倒で断念しました。最も多いテーマは、やはりApple関連とグラフィックアプリやタブレットの話、続いてスケジュール管理やノートの話とフィギュア制作関連の話が多いようです。

自分が楽しいからとか共感してほしいって理由だけで書いてるのではないですよ。一応、書くことでほんの少しでも(僕が)住みやすい世界に変えられたらなあ、とも思って書いてる回もあったりするのです。反響はほとんどないですけどね。毎週書くメリットもあります。人様に読んでいただく前提なので、とりあえず間違った情報は書くわけにいかない。なので確認のためにテーマについて調べたりするので、ちょっと詳しくなったりします(ほとんどWeb検索ですけどね)。ネタになりそうなことに目ざとくなりますし。

200回やってみた反省&要改善点(妖怪全店と変換された)はいくつもありますが、まず、内容を盛り込みすぎて長くなってしまうのをなんとかしたいと思ってます。何かムリにまとめようとしたり、説得力を増そうとしたり、オチをつけようとするとムダに長くなってしまいます。全部読んだ人を納得させられるかもしれないけど、長すぎたらそもそも読まないですもんね。僕だってデジクリの全部を読んでるわけじゃないですし。これからは、1200字程度を目指します。

僕の連載の〆切は火曜で、たいてい火曜の朝9時から12時くらいの3時間くらいかかって書いてます。ところが、余裕があるときに日曜くらいから書き始めると、結局ダラダラと火曜の昼くらいまでいじり続けてしまうことが多い。そういうときは必ず、書いてる途中で思いついたことをいくつも追加してしまい、流れを整えたり唐突感を消そうと前後の文章を際限なく修正するようなことになってしまう。書くのは好きなのですが、そうやって蟻地獄にハマってしまうのは避けたい。

と、ここまでで1800字を超えてます。「きれいにまとめず書きっぱなしで放り出す勇気」が必要かなと。では、201回以降もよろしくお願いします。

【吉井 宏/イラストレーター】

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「自分たちが権利を持つ書籍をGoogleが全ページスキャンし、勝手に商売される」ことに反対する意見はわかるけど、検索して出てこなくなるってことは、この世界から消滅したも同然。自ら進んで「Google八分」になるようなもの。それでいいのか? ちなみに僕の5冊の著書のうち3冊はブック検索で出てくるものの、3冊ともプレビューできない。他のいろんなPainter本がプレビューできるとしたら、僕の本だけ蚊帳の外。そんな本など存在しなかったってこと。絶版本がお金になるチャンスかもしれないってことよりも、ネット上にずっと存在し続けてくれるってほうがうれしい。現在流通している本や雑誌の数と、絶版状態になってる数とくらべたら、絶版のほうが何百倍も多いだろう。そんな本たちが息を吹き返すんだもん。これから出版社は大半が絶滅すると思われるけど、権利者のいなくなった本は、Googleブックスに載っていなければ、そのまま消えるだけだ。

GoogleブックスでLife誌の1935年〜1972年の全号が閲覧可能になったのを見てクラクラした。全部が検索可能なんだよ! スゴすぎる。これこそ、失われたアレクサンドリア図書館の大復活。今回の和解では英米圏以外の本がGoogleブックスから除外されることになったそうだけど、日本を含む多くの国の本や雑誌の文化は、英米圏の人にとって、存在しなかったことになる。将来、日本でも電子ブックが盛り上がってきて、やっぱり仲間に入れてーって言うことになるのかな。恥ずかしい。っていうか、その時点になったら向こうの要求を全部飲まないといけなくなるぞ。もうちょっと上手い和解の着地点はなかったのかな。とか言いながら、結局全部で2700字も書くヤツ。

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。
TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。