わが逃走[123]板橋区立美術館付近の地形がスゴイ の巻/齋藤 浩

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先日、板橋区立美術館にて『狩野派以外も大にぎわい』なる展示を見てきた。作品はもちろん、企画も展示の仕方もイイ。

解説もわかりやすく、しかもノリノリで書かれており実に楽しい!!図録のデザインもイイし値段も安い。しかも入場無料だ。参った。

久々に送り手側の心意気を感じた展覧会だった。創意工夫のセンスが絶妙なのだ。

この美術館はどの駅からも遠く、めんどくさがって今までほとんど行かなかったのだが、今回その心意気に惚れた。これからはこまめに行ってみようと思う。

さて、惚れた理由はもうひとつある。このあたりの地形が美しいのだ。

成増駅から美術館へ向かった際、運良く道に迷ったせいか、突然現れたナイスな地形に感動したオレなのである。

調べてみたらここは赤塚川の谷とよばれる地域で、この付近の階段道はけっこう有名だった。

東京とサイタマに40年近く住んでいるにもかかわらず、県境の地形に見向きもしなかった今までの生活を深く反省いたす次第。

さて今回は、そのときに撮った写真で、地形やそれに伴う造形の面白さをちょっとだけ紹介する。

初めての地で舞い上がってしまったというのもあり、説明的な写真が多いが、今後このあたりを地道に散歩しつつ、さらにわかりやすく、美しく撮影することを目標としたいと思うオレであります。

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垂直に交わる階段。面がツライチになってるところがなんとも美しい。ミニマルアートのようだ。



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赤塚川の暗渠を見下ろす。階段道はやはり気持ちいい。

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飾る美しさではなく、本質の美しさ。階段のある生活は心も豊かになる。

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ちょっとした小階段にも個性があって楽しい。スロープ部分の微妙な曲面が秀逸である。

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見事な曲線を描く美しい階段。スロープの中央部が階段状に削られているような構造だが...。

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頂上付近ではスロープよりも階段が高くなる戯曲的構造! スロープの三次曲面もうねるぜ!

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真ん中にマンホールがある直線階段。カワイイ!

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こうしてみると腕時計のようだ。

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住宅と住宅の間からすっと伸びてくる細い階段。スロープ天面のラインが左右で異なるのが個性的。

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地形を感じながら暮らせる幸せ。

オレは幼い頃から坂道や階段道が大好きなのだが、写真に撮るとその魅力が半減してしまうことにずっと悩んでいた。というか、今も悩んでいる。

つまり、ファインダーから見える立体的で美しい坂道が、撮った途端、平面になってしまうのだ。

でも『立体的な地形のうねりを感じさせる』って死ぬまで写真を撮り続けるのにちょうどいい目標かもしれない。

いわゆるライフワークってやつになりそうだなあ。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。