わが逃走[273]気がつけば師走も半ばである。の巻
── 斎藤 浩 ──

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気がつけば師走も半ばである。

年末だから掃除したりとか、年内になんとか仕事を終わらせるとか。すがすがしい気持ちで新年を迎えるための行動というのは、概ね体に悪い。

なので最近はとくに普段と変わらぬ生活をしている。

普通に生活していても、慌ただしく生活していても、実際、結果はあまりかわらないものだ。

むしろ、慌ただしく過ごすとその分のツケがまわってくる。それで倒れでもしたら、大損である。





こういう話は、昔から上司なんかが飲みながら語るものと決まっているが、いつの世も若いモンは、人ごととしか思わない。

で、実際にそういう目にあって初めて実感するのである。どうか手遅れになる前に気づいて欲しいと願う今日この頃。

そもそも前世紀から受け継がれた「俺がやらなきゃ誰がやる」という考えは誤りで、あんたがやらなきゃ誰かがやるし、あんたが死んでもわりとなんとかなるものである。

とくに48歳から60歳までの12年が危ない。と、オレ統計値が語る。つまりオレの周囲でそういう人が多くいる。倒れるか死ぬか、死にそうになる可能性がとても高いのだ。

宝くじは当たらないが、これは当たる。当たるから、気をつけなくてはならない。

さて、仮にだが。新しいライカを買ったとしよう。

あと50年生きれば50年分楽しめるが、10年で死んだら実質1/5の価値しかないものをつかまされたことになる。それはクヤシイ。なので、ますます健康に気をつけるようになるだろう。

そう考えると、「ライカは体にいい。」と言える。

この気づきこそ、今年最も価値のあるものだったかもしれない。思えば、2020年もライカを買う理由ばかり考えていた。

「ライカは体にいい」。

書き初めのお題はこれに決まった。

2021年は、「Leica M10 monochrome」の購入を真面目に検討しなければならない。

単に良い写真を撮りたいとか、クリエイティブの質を上げたいとか、そんな目先の理由ではない。あくまでも健康のために!


【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。