グラフィック薄氷大魔王[402] 有機溶剤の臭いをさせずに立体制作/吉井 宏

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実家制作に行く時間が取れないのに、展覧会用の立体制作がしたくてたまらなくなってしまった。なんとか東京の部屋でできないものか? の記。


●部屋で溶剤が使えない問題

実家に作業に行く理由の大半は、東京の自宅兼仕事場の部屋でシンナーなど有機溶剤やポリエステルパテの臭いを出す作業ができないことと、スプレー塗料やエアブラシが使えないこと。FRP作業なんてとんでもない。

今回作るのは高さ約25cmほど。フィギュアとしてはちょっと大きめ。従来の作り方はこのような手順。

・インダストリアルクレイで大まかな一次原型を作る
    ↓
・石膏型でポリエステルパテに置き換えて二次原型を仕上げ
    ↓
・シリコン型の作成
    ↓
・レジンキャストで複製
    ↓
・ラッカーで塗装

このうち、臭いがしないのは石膏型とシリコン型の作業。塗装も、強度がかなり落ちるもののプラモデル用の水性塗料(溶剤というよりアルコールっぽい臭いがする)が使えないこともない。

インダストリアルクレイは常温では臭くないのだが、ドライヤーで熱風を吹き付けて軟らかくする際、かなり強烈な臭いが部屋中に充満する。原型を作るにはポリエステルパテを使わないわけにいかない。エポキシパテは臭いがほぼないものの、大きな立体を作るには高価すぎるのだ。

石粉粘土や紙粘土などで作る方法もあるんだけど、盛った粘土を削る状態にまで乾燥させるのに数日から一週間くらいかかっちゃうこともあるのです。せっかちの僕には不向き。

●どうやって臭いをさせずに作るか?

一次原型には水粘土を使う。水粘土とは、油粘土に対しての水粘土。つまり、陶芸用の普通の粘土。乾燥にさえ気をつければ、激安だし量は使えるし、最高な素材。

僕のキャラクターをマネキンにした会社が、マネキン人形の原型を作るのに水粘土を使ってるのを知り、そのうち使ってみようと思っていた。かなり大ざっぱにしか作れないものだと思ってたら、インダストリアルと同じ程度まで作り込みできた。

二次原型への置き換え作業に使う石膏は臭いがしないので問題なし。二次原型の素材をどうするか? これが今回の無臭制作が実現した最重要ポイント。ポリパテに比べれば無臭も同然のエポキシパテはたいてい高価なのだが、20kgで6万5千円という激安パテを発見! この安さなら一次原型なしでいきなりエポキシパテで作り始めても大丈夫。

さすがに20kgは必要ないので、割高ではあるけど小分けされたものを3kg購入。硬化はややゆっくりだけど、数時間で削れる程度には硬くなる。彫刻刀で削った感触は軟らかい木のようで非常に心地よい。

壱番パテ < http://www.c-wood.com/SHOP/67035/94785/list.html >

二次原型の表面を仕上げるサーフェイサーのスプレーは、リキテックスのジェッソで代用。細部用のパテ代わりには、やはりリキテックスのモデリングペーストを使用。そりゃ本格的ツルツル仕上げは無理だけど、分厚く塗ってサンドペーパーをかければ、そこそこの表面には仕上げられる。

で、複製について。通常、展覧会用の作品は一点あれば済むわけで、複製を考えに入れないで作るのもアリだなと。もしかして展覧会で作品が売れちゃったら手元に何も残らないのも残念なので、完成した時点でシリコンで型を取っておけば後で複製も一応可能、という割り切り。とにかく一点完成させちゃえばいいんだから、気がラク。

塗装はプラモデル用の水性塗料かリキテックスの筆塗り。トップコートも水性。これで、終始臭いなしで立体制作が可能なのだ〜!

余談。今回のためにプラモデル用の水性塗料、「クレオス・水性ホビーカラー」「タミヤカラー・アクリル」を買い込んだ後で、クレオスが環境に配慮して新開発したという「新水性カラー・アクリジョン」がずいぶん高性能なことが判明した。

期待通りなら、「強度が弱く、下地の色が溶けやすく、マスキングしにくい水性塗料」を油性ラッカーの代用として使うのではなく、堂々のメイン塗料として使えるかもしれない! そのうちテストしてみよう。

途中までだけど、制作途中の写真をFlickrにアップしました。
< https://www.flickr.com/photos/hiroshi_yoshii/sets/72157647266468062/ >

●わざわざ手で作る理由

なぜ3Dプリンタを使わないのか? の件について。昨年夏から今年春にかけて3D切削の発泡スチロールを芯にした大型作品を作ったときの経験から、自分の手で作る場合はなるべくアナログで行こうと思ったのです。

3D切削や3Dプリントでは、形状自体は切削物が到着した時点で完成してるので、その後の作業は過去の自分が作った形を何か月もかけて仕上げていく作業になる。それがめちゃくちゃ苦痛だったのです。

せめて、形状を作る苦労を、仕上げる自分と共有したい。って、この理屈、誰にもわかんないだろうな〜。

手早く仕上げられるようになれば、3Dプリンタも活用したいと思ってます。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

出た! その1。iWatchじゃなくApple Watchか〜。意外に普通の外観なことにビックリ。従来の腕時計から逸脱しないことにこだわったっぽい。その上で腕時計っていうもののあちこちを、新しくデザインし直してるのはさすが。動く画面は自分でも作ってみたいな。

でも腕時計つけたくないなあ。っていうか、一日中部屋にいるから腕時計使わない。一日中外の人は便利なのかも。あと、Apple Watchしか持ってなかったらいろんなアプリは便利だと思うけど、これを買う人はiPhoneと二つ持ちになる可能性大。その時々によってどちらを使う? って、めちゃくちゃ大きいストレスになるぞ?

時計関連と通知のみに機能絞ればよかったのに。とはいえ、通知もiPhoneで足りてるから、単に腕時計でいいや。あ、腕時計はケータイで足りてるから、腕時計つけなくなったんだったw 最近はストップウォッチを時計モードにしてバッグにぶら下げてます。

iPhone6、5.5インチのはイイ! けど、iPhone5cにしてまだ9か月。まだ機種変更しないぞ。5cのグリーン、めちゃくちゃ気に入ってるもん。

出た! その2。WACOMが新しくiPad用のペンを3種類もリリース。細いペン先から静電気を出すタイプのペン2種と、ペン先が従来のゴム球からSu-Penのような導電繊維に変更されたもの1種。Adobeからも静電気タイプのペンが出るらしく、いよいよ各社競い合ってiPadのペンが充実してきた模様。早く使いたい!

で、間もなく出るらしい新iPadが、標準で筆圧ペンが使えるようになってたりしたら、みんなズコーッとかw

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii >
・ハイウェイ島の大冒険 < http://kids.e-nexco.co.jp >
・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63 >