もじもじトーク[62]パルラムネって知ってる? 食べ物じゃないよ、書体だよ/関口浩之

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

あっという間にゴールデンウィークが過ぎ去りました。久しぶりに休暇とったら、体が怠惰モードに入り、風邪をひいて3日間寝込んでしまいました。3日間で40時間以上寝ました(笑 そういう休暇も悪くないです。

ゴールデンウィーク後半は、生まれ故郷の群馬に帰省しました。母の三回忌法要したり、パスタのまち高崎の「シャンゴ」で美味しいイタリアンを楽しんだり、充実の連休でした。

さて、今回のテーマですが、「パルラムネ」です。





●パルラムネって知ってる?

パルラムネって、聞いたことありますか? 食べ物だと思った人が多いのではないでしょうか? パルラムネはこちらです。じゃーん!
https://goo.gl/eUtGxN

パルラムネは書体の名前でした。とてもゆるくて可愛らしい書体ですよねー。いわゆる「ゆるかわいい」系フォントです。フォントワークスの2017年の新書体です。

●パルラムネは誰が作ったの?

フォントワークスの書体デザイナー越智亜紀子さんが制作しました。

・越智さんのプロフィール
https://goo.gl/LPNkP2

・越智さんのTwitterアカウント
https://goo.gl/o9GVeI

・若手書体デザイナーと藤田さんの対談スナップ写真
https://goo.gl/7tfCE0

僕はさまざまなフォントメーカーの、書体デザイナーとお会いしてきました。もちろん、越智さんも4年前から存じ上げてました。

プロフィールみると、フォントワークスに2012年入社って書いてありました。そっか、大学卒業してすぐの頃にお会いしてたんですねー!

●NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演

越智さんの師匠(上司)は、筑紫書体の生みの親、書体デザイナー藤田重信さんです。「もじもじトーク」にたびたび登場する、僕の大好きな書体デザイナーの藤田さんです。

▽NHK 仕事の流儀〜書体デザイナー・藤田重信〜
https://goo.gl/qYbBLb

2016年6月13日にNHKで放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀 〜書体デザイナー・藤田重信〜」ご覧になった方、いる思いますが、この番組内に越智さんも登場していたのです!

取材カメラが回っていたのが2016年4月頃のはずなので、パルラムネの開発が佳境だった頃だと思います。

番組の中で、新書体のチラ見せがあったのですが、「この書体、すごく気になる」とずっと思ってました。もちろん、放送時には書体名も決まってません。

越智さんが英数字のデザインで迷っていたら、藤田さんから「何案かデザインして社員からアンケートとったら?」とツッコミを受けていた様子が印象的でした。

そして、今年3月に新書体「パルラムネ」の発表、先月4月下旬にリリースされたのです。

●パルラムネ、どんな書体なの?

大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生」展示と講演というイベントが、2017年4月14日(金)〜16日(日)に開催されました。

▽大阪DTPの勉強部屋「書体の誕生」展示と講演
https://goo.gl/dI8oIX
もじもじトーク[61]「書体の誕生」展で動く写植機に感動!
http://bn.dgcr.com/archives/20170420110100.html

そのイベントで「若手書体デザイナー本多さんと越智さん×藤田さんトークセッション」がありました。

越智さんのトークセッションのスライドから、何枚か掲載許可をいただきましたので、紹介します。こちらです。じゃーん!
https://goo.gl/lq9iMR

どのようなコンセプトでパルラムネを開発したのか、どんなところで苦労があったのかをお聞きしました。とくに気になったフレーズを列記しますね。

・あたまを大きく
・ちょこんと置くように
・もっとかわいい表情に
・足を短くして「可愛らしさ」をアピール
・下に流すことで「やる気ありません」をアピール
・大好きな某キャラクターの二頭身のように

これだけ読むと、「なんのこっちゃ?」ですよね。でも、実際にパルラムネで組んだ見本をみると、越智さんは、ぶれない書体コンセプトを描き、情熱と愛情をもって、書体開発に取り組んでいることがよく理解できます。

●なぜ、パルラムネという名前にしたのか?

もじもじトーク[58]で、藤田さんが手掛ける「筑紫書体の魅力」について書きました。
http://bn.dgcr.com/archives/20170309140100.html

そこで紹介した筑紫書体シリーズは、現在15種類以上あります。今後もまだ増えるようです。

▽筑紫シリーズのいろいろ
https://goo.gl/0d36X2

書体シリーズを展開する上で、「筑紫○○」のようなネーミングは、とても分かりやすいですね。

「藤田さんといえば筑紫書体だよね」というように、「越智さんといえばパル書体だよね」というブランディングがされるのです。

ということは、こんな素敵なパルラムネ以外にも越智さんが作る「パル○○○」というキャッチ・ポップ系書体がどんどん増えるということですね? とても楽しみです。

先月、お会いした際、「越智さんが手掛ける明朝体やゴシックの構想もあるんですか?」の質問に対して、「あると思います。でも、その時はパルシリーズではなくて、筑紫○○のような、かっこいい書体シリーズ名にしたいと思います」と回答してました。

おぉ、なんとも頼もしい回答ですね。パルシリーズ(キャッチ・ポップ系)と○○シリーズ(明朝やゴシック)の二系統ラインアップが完成するかもです。こちらも楽しみです。

一書体作るのには、構想から始めて数年掛かると言われてますので、長ーい目で応援したいと思います。

●パル(pal)ってどういう意味?

英語のpal(パル)は「仲間」(主に男性が使う)という意味で使用します。気の知れた仲の良い友達というニュアンスです。女性でも親しみを込めてpalを使うケースもあるようです。

文通仲間を「ペンパル」と呼びますよね。死語だったりして(笑 僕は高校の時、ペンパルがいました。

今は、LINEやメッセンジャーがあるので文通している人は少ないと思います。時間と手間が掛かりますが、手紙のやりとり、僕は嫌いじゃないです。

ちなみに「ラムネ」の意味は? の疑問ですが、「夏らしさ」ということのようです。

おぉ、これも、素敵な発想ですね! 書体のネーミングにおいても、女性ならではの、きめ細かい心くばりがあります。

●パルラムネ、早くも流行の兆しが…

コンセプトが明確なキャッチ・ポップ系書体は、テレビのテロップや広告のキャッチコピー、商品のパッケージなどで使われることが多いです。

このパルラムネ、テレビテロップで流行すること、間違いないと思います。

実はパルラムネは、先月下旬にリリースされたばかりの新書体です。なので、デザイナーでもパルラムネをパソコンにインストールして制作している人はまだ少ないと思います。

ちなみに、パルラムネはフォントワークスの年間定額サービス「LETS」に収録されています。

このパルラムネ、同人誌でも人気がでるのではないでしょうか。と思って、Twitterで検索したら、Kaoru(@KmGraph)さんが、同じような意見を書かれてました。組み見本が掲載されていましたのでご紹介します。

▽Kaoru(@KmGraph)さんのツイート
https://goo.gl/A0Sxp5

4月25日のツイートが、5月11日時点で「12,702いいね」「6463リツイート」になっています。すごい反響ですね。

知り合いの若手書体デザイナーがオリジナル書体を手掛けて、全国放送のNHKに出演して、素敵な新書体を発表して……。自分のことようにうれしく思いました。

文字ハンターとしては「パルラムネが、この番組のテロップで使われてますよ」って一番乗りでSNS発信したいと思ってます。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。