crossroads[67]プログラミング授業の現場にて/若林健一

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こんにちは、若林です。

2019年6月26日、畿央大学教育学部2年生の教育方法・技術論の授業を見学させていただきました。教育学部の授業なので、参加されている学生さんの多くは、将来何らかの「先生」になる学生さんたちです。

この授業では、2020年から小学校で始まるプログラミングの授業を見据え、もっとも使われる可能性が高い「Scratch」を扱ってみるというもので「シューティングゲーム」をテーマに、それぞれがプログラミングに取組んでいました。

当日は、作品はある程度できていて、グループ内で発表しあうという内容でしたので、私も冒頭に自己紹介した後、講義室の中を回って各グループの作品を見させていただきました。

質問や相談をくださる学生さんがいらしたので、どんなプログラムにしたいのかをヒアリングしながら、どう作ったら実現できそうかをアドバイスしながら一緒に楽しんだ感じです。





○大学で勉強するたくさんのことの中のひとつでしかない

授業に参加してみてわかったことは、学生さんにとってプログラミングというのは、大学で勉強するたくさんのことの中の一つでしかないということでした。

考えてみれば当たり前なんですけどね。わたしは熱心にやってる子供たちを普段から見ているので、なんとなくそのイメージでいたのですが、大学の方は全員が全員熱心にやっているわけではありません。

あくまでも学校の授業です。レポートは面倒だし、早く終わって遊びに行きたいわけです。毎日のようにプログラミング教育のニュースに触れている、僕らみたいな人種とは、テンションが違います。

もちろん、楽しんで作っている学生さんもたくさんいらっしゃいますが、教室全体を見渡した時に特別のものはなかった、他の授業と何も変わらないんだということがわかったということです。

学生さんや大学の先生にとっては、何の不思議もないことだと思いますが、私にとっては新しい発見でした。

○女子学生のコミュニケーション能力の高さ

見学させていただいた授業は2コマで、それぞれ100人ずつ、合計200人の授業。その中で、プログラムの作り方について質問・相談をしてくれたのは、ひとりを除いて女子学生さんばかりでした。

元々、女子学生が多い大学なので(約7割が女子だそうです)比率的に考えれば、これも当たり前なのかもしれません。男子学生のみなさんもちゃんと作ってたし、分からないことがなかったわけではないと思いますが、こういうところで自分から質問できる、しようとする力は、女性の方が強いのです。

自分で言うのもなんですが、私は一応ソフトウェアの世界ではプロですし、Scratchも子どもたちとそこそこ使っています。

そういう人間にアドバイスを求めるのはめったにないことでしょうし、そういった機会をちゃんとモノにするというのは重要なことです。今回に限らず、色んなシーンで、女性の方がチャンスをモノにしているんじゃないかな。

女子学生の方がコミュニケーションの能力が高いというのを、何かの記事で読んだことがありますが、コミュニケーション力って、そんなに大げさなものじゃなくて、ちょっとしたことなんじゃないか。でも、それってやっぱり重要だなということを、実感しました。

○アドバイスする上での難しさ

プログラミングというのは、唯一の正解がない世界です。それぞれが作りたいもののイメージや難しさもさまざまで、質問・相談内容の詳細度もじつにさまざまです。

やりたいことが具体的にブレークダウンされていて、質問内容が具体的であれば、こちらも具体的なアドバイスになります。

具体化されていなければ、まずは作りたいもののイメージをブレークダウンするところから入っていきますので、アドバイスの内容もプログラミングという作業レベルからは、やや遠いものになります。

しかし、学生さんたちの中に「サクっとやり方教えてくれよ」と思ってる方もいるでしょうから(実際そう言われたわけではありません)自分と他の人で対応が違うと「えこひいき」していると感じられるかもしれません。

その場でも「この話はどのように受け止められているのかな」ということを感じながら、学生さんたちに説明をしていました。

これは、プログラミング以外の授業でも起こりえることとは思いますが、プログラミングのように奥行の広い取り組みでは、なおさら起こりやすいと思われます。

私はプロの教育者ではありませんので、もしかすると先生方はこういうことについての対応方法を身につけておられるのかもしれませんが、これもまた授業の現場に来たからこそ感じられるものだと思います。

○視野を広く持とう

2020年に向けて「プログラミング教育とは」といった議論がいまだに続いていますが、プログラミングの中身以外にも教育の現場には考えなければならないことがある、ということを感じるいい機会でした。

学校の先生はもちろんですが、対象の学年となるお子さんをお持ちの保護者の方も、もっと視野を広く持つ必要があると思います。

今まではプログラミングの中身について伝えることを中心にやってきましたが、今回私が感じた現場感も、保護者の方に伝えていきたいと思います。


【若林健一 / kwaka1208】
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