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デジクリは8月1日から夏休み。僕の連載はあと一回あるけど、8月末では賞味期限切れになりそうなネタの駆け込み特集。
●「ロン・ミュエック」展
日帰り以上の遠出が苦手で、なるべくなら出かけたくない。暑いし。でも、これだけは見ておきたい。と言ったら、金沢21世紀美術館が開館したときから行きたがっていたうちの奥さんに「夏休み前の今がチャンス」と、速攻で飛行機と宿を予約されてしまったー。
デジクリは8月1日から夏休み。僕の連載はあと一回あるけど、8月末では賞味期限切れになりそうなネタの駆け込み特集。
●「ロン・ミュエック」展
日帰り以上の遠出が苦手で、なるべくなら出かけたくない。暑いし。でも、これだけは見ておきたい。と言ったら、金沢21世紀美術館が開館したときから行きたがっていたうちの奥さんに「夏休み前の今がチャンス」と、速攻で飛行機と宿を予約されてしまったー。
< http://www.kanazawa21.jp/exhibit/mueck/index.html
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超巨大なかがんだ少年の作品(の写真)で知って以来、実物を見てみたかった。目の当たりにすると、おもわず笑いがこみ上げてきてしまう。巨大赤ちゃんや極小カップル、視界の縮尺が変になってグラグラめまい状態。皮膚の厚みや柔らかさ、透明感まで再現されたディテールも圧巻で、うわ、人間ってこんなだよ。って感じ。作り物という感じがぜんぜんしない。単に人間を拡大・縮小したもの。動いたら、泣くね。
これ以上わかりやすいアートもないだろう。ミュエックはもともとTVや広告向けの造形物のプロだったそうだ。表現技術そのものは大道具か特撮セットみたいなもんだろうけど、こういう形で提示されてしまうと、ぐうの音も出ないほど圧倒されてしまう。「座るヒゲ男のおしりの尾てい骨あたりに三角形状に生えた薄い毛」がツボにはまってしまい、ゲラゲラ笑い続けてました。
近いうちにFRPかなんかで等身大・特大サイズのフィギュアというか彫刻作品をやりたいと考えてるので、その面でも勉強になりました。あと、「レアンドロのプール」。快晴の昼過ぎに行ったので光の具合が最高でした。
プールの写真
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●「崖の上のポニョ」の宣伝文句
見てない映画の中身には触れません。この作品、「CGに頼らず手書き」を売り文句にしているのがとてもヤダ。非人間的なCGを使わず手書きなので、いい作品、なんですか? CGを過剰にありがたがる風潮もようやく収まったところなのに、前時代の偏見を墓場から掘り起こすつもりなのか? それを信じちゃった人たちはCG技術を軽蔑するようになるぞ。
CGの可能性を信じて道を切り開く者、あるいは時代の要請からデジタルツールに移行せざるを得なかった者。それぞれ映像に命を吹き込もうと必死で戦っている全アニメ制作関係者に、非常に失礼なのではないか。少なくとも僕は憤慨した。そもそも、この時代に全て手書きで映画を一本作る、ってのは「金にモノを言わせる」のと同義なのではないかと。
「CGは一切使用しておりません」を売りにしたいがために、しなくて済んだはずの肉体労働をスタッフに課した可能性も。それも、動画の原画作成にCGは使ってないかもしれないけど、彩色や編集にはデジタル技術を駆使してるはずなのに。
CGやデジタル技術は、手書きやアナログの限界を技術的にもコスト的にも拡張するものであって、正しく使えば皆が幸せになるのだ。手を抜いたり、予算や技量が足りなければ、ろくでもないものが出来るのはアナログも同じ。わかりきった「手書き=あたたかい」を売りにするよりも、「信じられますか? このあたたかさ、すべてデジタルなんですよ!」のほうがまだマシだと思う。もっと言えば、そんな裏方の話など持ち出さないほうが上だ。
●私的録音録画補償金と歌唱印税
著作権団体によれば、「私的録音録画補償金制度がなければ文化は守れない」とのことだけど、実際のところ、アーチストは補償金分を年に何万円くらいもらえることになるの? 保証金をもらえば転職しないで文化を作り続けられるの? 廃業した人には払う必要がないって理屈に見えるけど、いいの?
田代まさしの出所インタビュー。同情とか擁護とかするつもりはないけど、「収入はラッツ&スターの歌唱印税が年間3000円だけ」って、びっくりした。あれほどメジャーだったグループのメンバーで3000円かー。カラオケで歌ってる人もいるだろうに。そりゃ、作詞作曲のほうに印税の大部分が行ってしまうんだろうけど、あんまりだ。ラッツ&スターでこれじゃあ、過去の作品の印税でやっていける人って、ほぼいないんじゃないの? 少なくとも、雀の涙ほどであろう保証金が、あってもなくても文化を守ることには全く関係ないと思う。
●MobileMe同期
「.MacからMobileMeへ移行の際の障害」と「プッシュの更新のタイムラグが15分くらいかかってしまう、即時更新されるようになるまでプッシュとは呼びません」ってことでAppleからおわびメールが来た。まあ、即座に更新されるとは思ってなかったけど、プッシュとはとても言えないんだろうな。
でも、同期を初めて「自動/プッシュ」にしてみたところ、知らないうちにiPod touchとMac2台の情報が、Wi-Fi経由で同期されてて非常に便利。先週いろいろ不満を書きましたが、Wi-Fi普及途上の現時点ではこの仕組みは非常に良いです(iCalのToDoとMail.appのメモが、iPod touchで表示できないのが惜しい)。
ただ、同期でいちばんこわいのは、破損したファイルや間違って削除した状態のまま、全デバイスが同期されてしまうこと。とりあえず、まめにMailフォルダやiCalデータをzip圧縮してバックアップしておけば、ちょっとは安心?あるいは、GoogleノートブックやGoogleカレンダーにときどき移しておくとか。MobileMeサーバーのほうで、半年分くらいの同期データをバックアップするサービスがあるといいな。あ、それがTimeMachineの役割か〜。
【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com
iPhone/iPod touchのアプリをいくつか入れてみた中で、飛び抜けて出来のいいものが一つ。またレポートします。
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