グラフィック薄氷大魔王[161]Photoshop CS4トライアル版ハイライト
── 吉井 宏 ──

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Photoshop  CS4 日本語版 MAC Upgrede版Photoshop CS4トライアル版がダウンロード可になったので、さっそく入手。
僕的ハイライトを書き出してみます。

Photoshop CS4新機能紹介
< http://www.adobe.com/jp/joc/pscs4/whatsnew/
>



●Painter的機能の追加その1「画面の回転」

待ってました! 「回転ビューツール」が搭載されました〜。Painterでいうところの「用紙(キャンバス)回転ツール」。紙を描きやすい角度に回しながら描くように、画像を回転しながら作業できるようになった。Adobe CS4へのアップグレード、この機能追加がなかったら申し込まなかったかもしれない。

僕はPhotoshopのブラシをPainter風にカスタマイズして使っているので、これで描画的にPhotoshopとPainterが同等になってしまった。とはいえ、手のひらツールのように一時的に回転ビューツールに切り替わるようなショートカットキーが用意されていないので、頻繁にグルグル回しながら描くには向かなそう。

●Painter的機能の追加その2「ブラシサイズのショートカットキー」

これまたPainterで便利な「ブラシサイズ変更のショートカットキー」がPhotoshopでもできるようになった。従来は右クリックでマスター直径サイズをスライダで変更しなくちゃならなかった。それが面倒で、サイズ違いのブラシをたくさん登録しておいたほどだ。Photoshopでの描画がかなりラクになる。

●慣性スクロール

手のひらツールでスクロールすると、動かした速さに応じてビヨ〜〜ンとしばらくスクロールし続ける(クリックすると止まる)。最初は面食らったけど、たしかにこのほうが便利。大きな画像の一部を表示して作業していると、延々手のひらツールでスクロールし続けなくちゃならないことがあり、疲れるのだ。ジャマだったら環境設定「フリックパン」でオフにできる。

●ブラシの筆圧最適化

Photoshop7で現在のブラシになって以来ほとんど進化がなかったのだが、どうやらタブレットの筆圧感知の最適化が進んだようだ。筆圧で線幅が変化するブラシでよくわかる。CS3まではストロークの抜き部分で途切れたり急激に変化しがちだったが、CS4では気のせいではないことがわかる程度には筆圧変化をしっかり表現できるようになった。スッときれいに抜ける。

●3D機能の進化(Extendedバージョンのみ)

3Dモデルを読み込んで配置する機能がCS3で加わったが、いくつか機能が追加された。

UV編集済みの3DモデルをOBJ形式で読み込むと、関連づけてあるテクスチャ画像も同時に読み込まれる。視点の回転が僕が慣れてる3Dソフトと逆方向なのが気持ち悪い。オブジェクト自体を回転させれば違和感はないけど、後でモデルごと書き出すと角度が変わっちゃうでしょうね。

ブラシ(B)とモデル回転(K)のショートカットキーを使いながら描いてみると、割と普通に3Dペイントできてしまうのでちょっと驚いた。Option(Alt)キーで一時的にスポイトツールに切り替えるのも有効だけど、「照明なしテクスチャ」表示にしておかないと、影の色を拾ってしまうので注意。

拡散(色のこと)や光沢、バンプマップ、反射や発光など、一般的なマテリアル設定も、それぞれのマップ画像を追加・編集したり、ブラシでペイントできる。ブラシはバンプや光沢などどのテクスチャ画像にペイントするかを選べ、描画結果はリアルタイムに表示される。複数のマップ画像を同時にペイントできれば完璧だったのになあ。

ライティングも詳細に設定できる。無限遠・ポイント・スポットなどの各種ライトを追加・編集が可能。ソフトシャドウの具合やライトの色、スポットライトの角度、アンビエントライトまで設定できてしまう。

変なところ発見。3Dレンダリング設定の「面のスタイル」で、「標準」にするとモデルは虹色になる。これは「標準」と訳しちゃダメで、ここは「ノーマル(バンプマップの一種)」とすべきでしょうね。

最終レンダリングはめちゃくちゃ遅い。レイトレーシングをオンにすると、シンプルなキャラクターモデルでも600pixel程度のレンダリングに5分くらいかかってしまう(8コアMacProなのに)。同程度の設定なら数秒でレンダリングしてしまう、専用の3Dソフトとは比較にならない。そうそう、ポリゴンにサブディビジョンをかけられないので、サブディビジョンなしで最終結果な3Dモデルを使う必要がある。

まあ、当然ながら専用の3Dソフトを使うほうがラクに決まってるんだけど、Photoshop自体にこれほどの3D機能を搭載したことはすごいことに違いない。需要がどれほどあるか知らないけどね。本当に自在にペイントするには、きちんとUV展開しなきゃならないし。でも、BodyPaintやmodoやZBrushなど「3Dオブジェクトに直接ペイント」できるソフトを持ってない3Dソフトユーザーには、Photoshop CS4 Extendedは本格的に実用になると思います。

STRATA LIVE 3D [in] J for MacOSXなお、STRATA LIVE 3D[in]をインストールしてみましたが、使えるようです。ただし、ちょっと試してみた範囲では、CS3でやってたようなきれいなPDF3D書き出しができない〜。やはりDesign[in]が必須なのかな。

●「コンテンツに応じて拡大・縮小」機能

ぐわっ! こんなことが許されていいのかっ!

●おまけ Adobe Bridge CS4

なんかすごく動作が速くなったような気がする。これなら常時起動しておいてFinder代わりに使ってもいいな。

………以上、また何かおもしろいことを見つけたら書きます。

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com

Wがつく前から疑問だった、チキンラーメンの「Wたまごポケット」。冷蔵庫から出してきた玉子をたまごポケットに割り入れる。確かに黄身も白身もポケットにピッタリ入る。お湯をかけて3分待って出来上がり。しかし、白身が接触する広い範囲の麺が硬いままである。いいのかそれで? 3分待ってから玉子を入れるほうがいいのではないか? 液体スープやレトルトの具は後で入れろとクドいほど書かれてあるではないか。熱量保存の法則からいっても、ラーメンの全体の温度は先入れでも後入れでも最終的に同じだが、温度にムラがあれば麺の硬さに影響する。先入れ派は、お湯がかかって暖かく白く変色しかかった玉子の素晴らしさを主張するのだろうが、後入れ派の僕的には冷たい黄身が熱い麺に絡む絶妙なおいしさは譲れないのである。

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