グラフィック薄氷大魔王[162]オトダスト2と音楽ガジェット
── 吉井 宏 ──

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モバイルDTMイベント「オトダスト2」にポッドマン(ユニット名? っていうか同名のイベントをやってた仲間)の3人で行ってきた。「オトダスト」とは、NINTENDO「KORG DS-10」、KORG「KAOSSILATOR」、YAMAHA「TENORI-ON」、学研大人の科学シンセ「SX-150」など最近増えてきた「モバイル楽器ガジェット」で楽しむ音楽イベント。Youtubeやニコニコ動画を「OTODUST」で検索するといっぱい出てきます。詳しくはリンク先で。

オトダスト
< http://remoto.818nc.jp/otodust.php
>

今年9月に第一回オトダストが開かれ、そのムービーをYoutubeで見て、ぜひ次回は行きたいと思ってたのです。いろんな音楽ガジェットを使った10組ほどのライブ演奏や開発者のトーク、飛び入り音楽ガジェット品評会などなど。



今回はTENORI-ONがほぼ主役。たった一台であれだけ豊かな演奏ができるのかと驚かされた。鍵盤の代わりに16×16のボタンでコントロールしてトラックを重ねていくのですが、メロディをきちんと弾く以外の音楽的要素は、単純なピコピコから壮大なオーケストラまですべてカバーできるんじゃないかな。出演者の一人RUBYORLA氏は、もう一台のTENORI-ONでVJ映像まで操ってました。まあ、TENORI-ONは値段も機能もガジェットと呼ぶにはちょっと高級すぎる感もありますけどね。

YAMAHA TENORI-ON
< http://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on/
>

僕的に一番ツボだったのはL-eye氏のDS-10ライブ。その場で作りながら演奏するミニマルテクノ(?)は圧巻でした。リズムトラックを鳴らしっぱなしにしておいて、2つのシンセトラックでフレーズと音色を作りながら、交互にミキサーでフェードイン・アウトするスタイル。二つのトラックが交差するところなんか、普通にテクノのDJプレイみたいで実にカッコよかったです。

まあ、たしかにステージパフォーマンス的には「小さなDSをのぞき込んでスタイラスペンで突っついて演奏」は見栄えするはずもないんだけどね。でも普段はイヤホンつけて個人的にやってることが、ステージのライブ空間と連続で繋がってるってことが新鮮でした。

17時から23時半までの長丁場、途中で食事に出たりして全部は見れてないんだけど、とても楽しかったです。次回があれば今度は出演してみたいです。

ガジェットといえば、スタイロフォンの復刻版が出たんですね。25年も前、クラフトワークのライブのアンコールで「デンタク」をこれで演奏してたのを覚えてます。コード付きペンで鍵盤風の金属板に触れると音が出ますがシンセでも何でもなく、チープな電子音が出るだけのただのオモチャです。3580円。でも楽器ガジェット好きとしてはタマラン。これで「イパネマの娘」を演奏してる動画がニコ動にありますね。僕としては「デンタクを弾くためのオモチャ」で十分!

Stylophone
< http://www.originalstylophone.com/
>

iPhone/iPod touch用の音楽アプリもすごい勢いで増えてます。気になるものは無料・有料にかかわらず、片端から全部入手してます。一部を除いてデモ版(無料バージョン)が用意されてないから、使ってみるには買うしかない、でもたいてい115円とかなのでまあいいか、と。でも、今まで買い放題で入手したもの約30本、合わせても6000円くらい。安い娯楽だな〜。最近のお気に入りは、本家が出したスタイロフォン「iStylophone」。単純ゆえにちゃんと演奏できる「Hang Drum」と「FingerSound」。あのブッダマシーンがiPhoneアプリになった「Buddha Machine」もいいよ。

●先週の「Photoshop CS4 トライアル版」の補足

マニュアル見れば書いてあるんだろうけど、一時的に画面の回転とズームが使えるショートカットキーを発見。option(Alt)キーとF13〜F16の同時押しでできます。

なるほど便利だな〜と思ってたら、ああっバカ! 画面回転のショートカットキーの「R」を押してるときだけ「回転ビューツール」に切り替わるじゃん〜〜!

よく考えられてるな〜と思ってたら、ガ〜ン!! 画面回転の「R」だけじゃなく、なげなわでも消しゴムでも、たいていのツールのショートカットキーで「別のツールを使ってるときに一時的に切替え」できるのだった。新しい3D機能の回転にも使える。長年Photoshop使ってきたのに知らんかった〜。

もうひとつ。ブラシを使ってるときに「手のひらツール(スペースキー)」で慣性スクロール、止めるにはクリックと書いたけど、微妙に間違い。ブラシでクリックすると、点が描かれちゃいますね。これは単純にスペースキーをもう一度押すことで安全に止まります。手が覚えるのを待つしかない。

あと、手のひらツールのスペースバーと、ツールのショートカットが設定されているキーの同時押しで、「一時的に画面全体と現在の表示範囲枠を表示し、ナビゲーター機能のように移動」ができる。特大のナビゲーターを瞬時に使えるわけで、非常に便利です。

●「JPC定例セミナー『表現力を高めトラブルをなくすイラストレーション作成法』第6回 仕事を広げるアニメーション&3Dにトライ」

………に出ます。「Painterで2Dイラストだけやっていた僕が、3DCGを始めたことでアニメーションから立体制作まで、仕事の幅が拡がっていった話」を中心に、多数の作例やムービーをお見せしながら語る、といった内容になる予定です。非公開アニメーションやフィギュアの実物も見れますよ。

「3Dキャラクターから動画&立体への展開」15:50〜16:50(60分)
 イラストレーター 吉井宏 < http://www.yoshii.com/
>
・3DCGでキャラクターを作るきっかけと動機・3Dアニメーションへの展開
・バーチャルからリアルへ 〜フィギュア制作の足がかり
< http://www.jpc.gr.jp/jpc/seminar/081225.html
>

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com

今年春、TENORI-ONを入手できなかった腹いせにローランドのSP-555を買ったのに、あまり使わないで売っちゃったりしたのですが、それで何かわかってきました。ガジェットって基本的にオモチャなんで、ちょっと遊んで飽きたら売っちゃえばいいんです。現役の製品なら3割〜半額くらいで売れるんで、そしたらまた別のを買って遊べばいいんです。要するに、売っちゃうこと込みなら、ガジェットの値段は定価の半分くらいと見てそう間違いじゃないわけです。迷ってる時間があったら買って遊ぼう。
ところで、「デンタク」の入ってるクラフトワークの「コンピューター・ワールド」の黄色のジャケットって、KAOSSILATORっぽいな。そうそう、限定版のピンクバージョンが出るそうですよ。

HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>