グラフィック薄氷大魔王[183]ゆるキャラじゃないもの、不便なカタカナ英語
── 吉井 宏 ──

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●ゆるキャラじゃないもの

「ゆるキャラ」って、《地域の団体などがシンボルキャラクターを作ろうとしたけど、思い入れが先走りすぎたのかトンデモなキャラクターになってしまった。しかし、そういった出来損ないのキャラクターたちは結果的にイイ味を出してるという、みうらじゅん氏によって発見された鑑賞方法で見た、キャラクターたち》だと思ってました。大げさに言えば「超芸術トマソン」のような、別の見方・楽しみ方の発見というアートみたいなもんかな。

なので、専門家によってデザインされた「はばタン」「ひこにゃん」「ニャンまげ」「せんとくん」等は、ゆるキャラとは呼びにくいなあ。でも最近は、そういった前提など関係なく、なごみ系のマスコットキャラクターは即、ゆるキャラと呼ばれちゃってるようですね。また、ゆるキャラという見方ありきで、ウケ狙いでわざと変なマスコットを作るところも出てきてるようです。

呼び方は定着しちゃったら何でもいいですけどね。親しみを持って呼ばれてるんだし。



●不便なカタカナ英語

先日、ある発表会で「デジカメで撮らなきゃ!」という貴重な機会があった。撮ろうとしたら、液晶に「ライトプロテクト」ってカタカナの注意メッセージが出て、シャッターが切れない。焦った。デジカメ的にライトプロテクトって「Light Protect」だと思いますよね、っていうか思っちゃったんだけど。光量とかホワイトバランスとかフラッシュライトなど照明系の機能がロックされてるんだろう、って。全部初期設定に戻すとかやってもダメ。メッセージはどうしても消えない。

数分後、ハッと気がついた。「ライト」って書くほうの「write」じゃないか。つまり「書き込みプロテクト」といえば、SDカードだ。確認してみると、SDカードの書き込み防止スイッチがロック側になっていた。差し込んだときに動かしてしまったらしい。とりあえず、撮影には成功。

しかし、「ライトプロテクト」って、日本語的に意味わからんでしょう。Write Protectって英語で書いてあればたいていの人はわかるだろうし、日本語で「SDカードが書き込みロックされています」と表示すればいいと思うんだけど。文章を端折らなければメモリや表示解像度が足りない、って時代じゃないし。

あと、ドトールとかで注文するときコーヒーのサイズを「S、M、L」って不便だと思う。「エス、エム、エル」って、三つとも最初が「エ」で、次の音の母音は全部同じ。口を大きく動かさずに発音すれば、三つとも「エウ」。区別がつきにくい発音なのだ。僕の声は通らないので「エス、エスーッ!」と何度も繰り返さなきゃならない。なので、「小さいの」「真ん中のサイズ」「大きいの」と言うことにしている。一発で通じる。

SMLって「Small、Medium、Large」なんだろうけど、英語圏ではエスとかエムとか略さずに「スモール」とか「ラージ」とか言って注文してるんじゃないかなあ(知らないけど)。スターバックスでは「S、T、G、V」と略号はあるものの、「ショート、トール」って略さずに言いますよね。まあ、こちらもサイズ自体がわかりにくいけど。

【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com
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お昼だ。カップ麺でも食べよう。ペリペリとフタを開ける。フタの裏に大きな字で「ハズレ」と書いてある。………なんか落胆する。くじ引きなんか申込んだ覚えはないぞ! ほっといてくれ〜。変なところでガッカリ気分を差込んでくるな〜。まあ、「当たり」だったら思わず喜んじゃうのかも知れんけどね。