2010年初コラムです。今年もよろしくお願いします。
昨年の忘年会で聞いた、最近の学生の困った話。月曜に先生に見せる予定になっていたデザインの作品を仕上げてこなかった理由が、「土日に運動部の試合の応援に行ってしまって、時間がなかった」というもの。
そういうのを聞くと口がポカーンとしてしまうけれど、なんだか最近そういう温度の学生が多いと私も感じている。
どうしても重要な大会があって、応援に行かないと問題があるならば、家に帰ってきてから徹夜してでも作品を仕上げれば良いのにと思う。でも、そういった「やりたいこと」と「やらねばならないこと」を両立させるために、必死になることができない学生もいるらしい。「必死になるって〜?」という感じに近いという。なんだか残念だ。
それは自分の時間の全体量が把握できていないからでも、物事の優先順位を考えていないわけでもない。大事なことをやらないままでおくことに恐怖感がないらしい。
昨年の忘年会で聞いた、最近の学生の困った話。月曜に先生に見せる予定になっていたデザインの作品を仕上げてこなかった理由が、「土日に運動部の試合の応援に行ってしまって、時間がなかった」というもの。
そういうのを聞くと口がポカーンとしてしまうけれど、なんだか最近そういう温度の学生が多いと私も感じている。
どうしても重要な大会があって、応援に行かないと問題があるならば、家に帰ってきてから徹夜してでも作品を仕上げれば良いのにと思う。でも、そういった「やりたいこと」と「やらねばならないこと」を両立させるために、必死になることができない学生もいるらしい。「必死になるって〜?」という感じに近いという。なんだか残念だ。
それは自分の時間の全体量が把握できていないからでも、物事の優先順位を考えていないわけでもない。大事なことをやらないままでおくことに恐怖感がないらしい。
●「積荷」を受け取らない学生たち
私が学生時代の卒業制作の頃は、「作品が仕上がらなかったらどうしよう」という恐怖感で、深夜の1時2時でも夜道を歩いて学校のアトリエに忍び込んだ。といってもそこは真っ暗な訳ではなく、同じ気持ちの学生が誰かしら来ていて、冷え込む作業場でも楽しかった。
以前に、学生に課題を仕上げさせるためにハッパをかけるのが大変ということを何度か書いたけれど、課題が仕上がらなくて慌てて泣きそうになるくらいならまだかわいかったのだ。
舟の積荷が重すぎて岸につけない学生が必死にオールを漕いでいたら、何としても助けたくなるけれど、積荷も積まない舟で他の舟に押されてなんとなく流れ着くのでいいやというタイプもいる。
やることが思い浮かばないならと、いくつかのアイデアを提供するけれど、それを実現するのは大変そうだとわかると手を出さない。積荷を受け取らない。その積荷が良いものだとも思わない。これはなかなか手強い。
私を含め先生たちがなんで悩むのかと言えば、やると決めたことはやって当然と思ってきたところがあるからかもしれない。そういう人が先生にはどうしても多い。やらないままにしておく勇気はないし、やらないで平気な感覚が未知のものに思える。
●決めるのも自分、困るのも自分
もちろん、何かに逃避する感覚はよくわかるし、やり始めが遅くなるのはこのコラムだってそうなので(笑)、常に決めた通りになんてできないのは当たり前だと思う。しかし、今は事前にゴールを自分で決められない学生が多いのが現状だ。
ある先生は、学生が作品を見せながら「先生これでいいですか?」と聞くと言う。先生が決めるんじゃなくて、本人がそれで良いかどうかが一番なのに。
私が「後で困ることになるから、今準備しておきましょう」とアドバイスしても、後でも困ってくれない。必死になる理由がわからないのも、しょうがないのだろうか。
少々説教がましくなってしまったけれど、「熱意」みたいな熱い想いを学生達に持たせることができないもどかしさを、どうしたらいいんだろうかと思っている。松岡修造みたいに、大きな声とリアクションで叫んでみたら少しは熱が伝わるのだろうか。いや彼はもっと深いセオリーで熱くふるまっているのだと思うけれど。
中には努力している様子が見える熱心な学生もたくさんいるので、その熱を伝えるために中間の講評をする。他の人の熱い作品を視野に入れるとそれが刺激となってだんだん変わってくる人もいる。
誰だって本当は褒められたいし傑作を作りたい。でもそういう欲を多く持つほど、実現できなかった時のショックが大きくなるのが嫌という心理。それが物事を回避してしまう傾向を生んでいるのかもしれない。
自分で決めたゴールに自分で責任を持て! というのが結論だけれど、もっと具体的に導けるように、私自身本気で考えたいと思う今日この頃です。
【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト「デコラティブマウンテン」
< http://www.eimu.com/
>
昨年の夏の伊勢志摩旅行で行った、二見シーパラダイスのアッカンベーアザラシの夢海子ちゃんが、暮れに亡くなったというニュース。母子でがんばっていたのに、娘の方が先にいってしまうとはとても悲しい。夢海子ちゃん今までありがとう!
・伊勢旅行記(2)鳥羽水族館と二見シーパラダイス
< https://bn.dgcr.com/archives/20090825140600.html
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・さよなら「アッカンベー」 二見シーパラダイスの「夢海子」天国へ(中日新聞)
< http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009122502000158.html
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・二見シーパラダイス 「夢海子」への献花とメッセージのお礼
< http://www.futami-seaparadise.com/091228yumiko.htm
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