グラフィック薄氷大魔王[214]回転式ドローイング台とCintiqライブストリーミング
── 吉井 宏 ──

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Wacom Cintiq 12WX DTZ-1200W/G01月に究極のアナログ作業であるところの「フィギュアの色塗り」をやってた反動で、「ドローイングを含め、あらゆる制作をデジタルに戻すぞ!」って決めました。それで、長いことしまいっぱなしだった液晶タブレットWACOM Cintiq12インチを引っぱり出し、先週書いたように、液晶面の摩擦の調整の素材を物色したりしてたのです。

液晶タブレットは走り書きというか、ものすごいスピードでラクガキするにはいいのですが、形を吟味しながらじっくり腰を据えて描くには向かないんです(少なくとも僕には)。輪郭線をきっちり描く清書のような作業では、ペン先とカーソルの視差が気になってしまって集中できない。

やはり、線画スケッチを描くにはペラ紙かなあと、描きやすい下敷きや台を工夫していたところ、結果的に回転式ドローイング台を作ることになってしまいました。昔のCintiq15インチの傾斜スタンドに板をネジ止めし、テレビを載せる用の小型のターンテーブルを強力両面テープで貼り付け、さらにプラスチック版を貼り付けてあります。

写真1 < http://www.yoshii.com/dgcr/drawingtable1 >
写真2 < http://www.yoshii.com/dgcr/drawingtable2 >



低粘着の両面テープでA5の紙を固定し、プラスチック版の端を持ってグルグル回しながら描きます。これがやけに描きやすい! 海外のアニメーターが使うターンテーブル式のドローイングテーブルにあこがれてましたが、こいつは小型で机の上に手軽に置けて、A5の紙にドローイングするのにちょうどいい。

調子に乗って、A5の紙に何十枚も描いてたのですが(僕の場合都合が良くて、1枚の紙に1つのキャラクターのスケッチみたいに、キリのいい描き方)、そのうちA5を二つに切ったA6の紙(ポストカードサイズ)に描いてみたところ、手が動く範囲の関係なのか、またまたスピードアップ。

そうやって描いた数百枚のスケッチをスキャナで取り込み、Photoshopで一枚の大きな画像にコピペ編集。液晶タブレットで修正したり加筆したりしてるうちに、「特に紙に描かなくてもこうやって液晶タブレットでも十分イケるじゃん」という気分に。

それで、僕としてはめずらしく、どんどん増やして描いていけるノリノリの状態になったのです。その様子をストリーミング・録画したのがこれです。
< http://www.ustream.tv/recorded/5156132
>

いつもこんな描き方してるわけじゃないです。きっちり描けない液晶タブレットな上に、ストリーミングをTwitter経由で数十人から見られているという緊張感と興奮のため、上ずって落ち着きのない描き方してます。また、手が止まってると見てる人がつまらないんじゃないかと、やたらと画面を拡大縮小回転スクロールさせたり、ムダに線を描いたり消したり目まぐるしく動かしたりしてます。

上のはたまたま録画しましたが、その後録画せずに普通の板タブレットを使ってのドローイングもストリーミングしましたが、その時はじっくり落ち着いてていねいに描いてました。次にやるときもそうしようと思います。

1個のキャラクタースケッチのサイズは200〜400ピクセル程度と小さめです。たくさん描いて狭くなったら隙間を詰めたり用紙サイズをだんだん拡げていき、最終的に11181×7015ピクセルのサイズになりました。ここからスケッチを切り出したところ、719点にもなりました。同じような描き方は今までにもしていますが、たいてい100点止まりなので、今回は例外的に大規模でした(そうやって描いた何千点のスケッチが、TDW作品の元ネタになってるわけです)。

ところで、回転ドローイング台にCintiq12インチを載せて描いてみたら(滑り止めを底面に貼り付けてある)、これまた描きやすい。21インチなど大型のCintiqには画面を回せる機構がありますが、12インチでそれが可能に。傾斜角度も自由自在です。

写真3 < http://www.yoshii.com/dgcr/drawingtable3 >

【吉井 宏/イラストレーター】
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