わが逃走[118]野郎3人カメラ旅の巻 その1.5
── 齋藤 浩 ──

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昨年11月に片岡氏、マニュエル君、そしてオレと三人でフィルムカメラ片手に広島県は尾道へ旅したわけだが、いざ現像してみたらマニュエルのカメラがぶっ壊れていたため、ほとんど撮れていなかった! という衝撃的事実。

※第116回『野郎3人カメラ旅の巻』
< https://bn.dgcr.com/archives/20121129140300.html
>

彼の帰国も近いことだし、同じ行程でリベンジするか! と、あたたかい友情を建前としつつ、尾道にまた行ける言い訳ができて大喜びのオレであった。

で、ひと月後同じメンバーで再び尾道に降り立ったのである。今回はそのときのレポートをじっくり書こうと思ったのだが、仕事がものすごく忙しくなってきちゃってね。

そういった関係で、概要だけ語る。よって今回のタイトルは『その2』でなく『その1.5』とする。

言うなれば半分だけUPするって感じですな。って言ってて気づいたぜ、そう、まさに半分! 今回はサブ機としてハーフサイズのオリンパス・ペンを持っていったのだ。なので今回はペンで撮った写真を見せびらかしつつ、半分くらいのボリュームで尾道を紹介いたす所存。

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尾道駅に到着すると目の前が尾道水道、対岸が向島のドック。今回はオリンパス・ペンW+FUJI NEOPAN100で撮影したのだが、やはりモノクロ時代のカメラにモノクロフィルムを詰めて撮ると、レンズががんばってくれちゃうのか、俄然イイ味わいの写真が撮れる。




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何気ない壁。どうにもオレはこんな写真ばかり何10年も撮り続けているようだ。今回もほとんど無意識で撮ってた。しかしこうして見てみると、素直ないいレンズだなあ、ズイコーW 25mm。ちなみにズイコーは瑞光と書きます。日本の風景を撮るにふさわしい良いレンズです。

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坂道のでっぱり。尾道はこういったモノの宝庫なのだが、これら規格品ではないワンオフな構造物に原始美術のような力強さを感じてしまうのだね。少なくともオレは。

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西日を浴びるごく普通の階段。カッコイイ! 何時間でも見ていたい!!
...ってオレは思うんだけどなあ。ディズニーとか好きな女にはわからんだろう。ざまーみやがれ。

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で、振り向くと月は東に陽は西に。奥のひときわ明るいところは海です。そこから光が瓦屋根を伝わってここまでやってくるのだ。
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さらに高いところに登ってみた。見下ろすと尾道水道。山陽本線の貨物列車の音が聞こえていた。

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主張する、美しい構造の地面。地面だぞー! っていう叫びが聞こえるようだ。
この先は崖なので、そういった主張も際立ってくる。そうこうしているうちに陽が沈み、飲み屋に繰り出したのであった。

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翌日。小さなY字路。左側の道が坂になっていて中央のブロックよりも高くなるところがタマラン。

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ものすごく晴れてきた。こういう日に尾道を散歩すると、一日中陽があたっていたような記憶が残る。

で、ここから先はすっかりペンのことを忘れてしまい、ずっとライカで撮っていた。ポケットに入れっぱなしだった瑞光よ、すまん。

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気がついたら汽車の時間である。ほんとは電車だけどそう表現したいからそう書いた。さよなら尾道、また来るよ。オレンジ色に染まる町並みがホントに美しかったのである。

という訳で、その1.5でした。ライカで撮影した写真と野郎3人珍道中については、その2で語ります。それではまた。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。