シックスセンスを求めて[新連載:01]ハリウッドのユーザーインターフェース創造力
── 若林健一 / kwaka1208 ──

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初めましてm(_"_)m

このたび、ご縁あってデジクリに寄稿させていただくことになりました若林と申します。自分は"一介のソフトウェアエンジニア"で"クリエイター"みたいなカッコいい者ではありませんが、せっかくのご縁ですので一日でも長く続けられるように頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。m(_"_)m

●映画のなかの印象的なユーザーインターフェース

さて、今回のテーマ「ハリウッドのユーザーインターフェース創造力」ですが、先日公開された「スタートレック イントゥダークネス」の中で印象的なユーザーインターフェースに出会いました。

映画を観た方でないとわかりにくいのですが、ある人物が逮捕・留されるシーンで「未来の牢屋」が登場します。「未来の牢屋」は格子ではなく透明の壁に円形の機械が一つあるだけで、出入り口はありません。

そこへドクターがやってきて中の人の採血を行うのですが、円形の機械を壁の上を滑らせるように動かし、それを拡げて出来た穴から腕を出させ、採血が済むと円形の機械を閉じ、壁の上を滑らせるように弾いて壁の隅へ追いやる。わずか10秒程度のシーンでした。

(映画の公式サイトにそのシーンの写真がありますが、この写真にはこの「装置」は写っていません)
< http://www.startrek-movie.jp/images/gallery/gallery6 >




●ユーザーインターフェースが産み出すリアリティ

自分にはこのシーンがとても印象的でした。

「あの壁は天井から床に向かってバリアが張られてるんだな」
「あの機械はそのバリアを吸収する機能があるんだ」
「だからあの機械を広げるとそこだけ空洞になるんだ」
「あの機械は外からしか操作できないんだ。だから壁に付きっぱなしでも大丈夫なんだ」

そんなことが一瞬の間に頭の中を駆け巡って行き、そのメカニズムがすっきり納得できて、リアリティを感じることが出来たのです。

その一方で「なぜあんなものをわざわざ考えたのだろう?」とも考えました。

もっと簡単に「手をかざすとそこに空間が出来る」でもよかったのかもしれません。しかし、そうだとすれば「透明の壁に空間が出来るメカニズム」をイメージすることが出来ず、この時感じたようなリアリティは感じられなかったことでしょう。

日本のロボットアニメで、ライフルや刀のような武器を手に持ったロボットを、二つのレバーだけで操作して戦うものがあります。

レバーの操作だけで複雑な動きをしているのを見ると「それってどないなっとんねん?」と思いますが、ハリウッド映画のそういった一つ一つの小さなリアリティが、映画の世界全体を支え作品の質を高めているのではないでしょうか。

●ジェスチャー操作で機器を操作可能にするデバイス

とはいえ、新しいアイデアを出すのは簡単なことではありません。「マイノリティ・リポート」のように、主人公の動きが映画の特徴の一つになっているのならともかく、もしかすると見過ごされてしまうかもしれないような短いシーンにも手を抜かない、ハリウッドのこだわりと創造力を感じた瞬間でした。

もちろん作品全体も素晴らしいものですので、まだご覧になっていない方はぜひ映画館にお出かけください。

そうそう、それで思い出しましたが「マイノリティ・リポート」のようなジェスチャー操作で機器を操作可能にするデバイスが、普通に買えるようになりました。Leap Motionです。もしかすると、透明の壁もいつかは普通の家でに出現するのかもしれませんね。;-)

Leap Motion
< https://www.leapmotion.com
>

手のジェスチャーでPC操作「Leap Motion Controller」レビュー[CNET Japan]
< http://japan.cnet.com/news/commentary/35035350/
>

【若林健一 / kwaka1208】 kwaka1208@pote2.net
< http://kwaka1208.net/
>
< http://pote2.net/kenichi/
>

四半世紀、職業人としてソフトウェア開発に関わって来た"一介のエンジニア"でございます。常日頃「安心して使えるもの」「ワクワクするもの」を産み出したいと考えていることから、このデジクリでも五感以外で感じる安心感とかワクワク感を感じられるものを追求したいという想いを込めて「シックスセンスを求めて」というタイトルにしました。

そういう方向で何かをお伝えしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。