昨年10月の第406回で、MODOで使えるレンダーファームの存在を知ったことを書いた。
「ネットを通して何百台のマシンでレンダリングを請け負うレンダーファーム。知り合いのMODOユーザーが普通に使っていて、急に興味がわいた。数年前に調べたときけっこうコストが高く、よほど緊急でないと使えないなあと思ってた。調べてみたら、安くてびっくり。」
しかし、アカウント作成やアプリのインストール、あと有料なのもハードルになっていて、試すところまでは行かなかった。先週、ようやく実際に使ってみたレポートです。
「ネットを通して何百台のマシンでレンダリングを請け負うレンダーファーム。知り合いのMODOユーザーが普通に使っていて、急に興味がわいた。数年前に調べたときけっこうコストが高く、よほど緊急でないと使えないなあと思ってた。調べてみたら、安くてびっくり。」
しかし、アカウント作成やアプリのインストール、あと有料なのもハードルになっていて、試すところまでは行かなかった。先週、ようやく実際に使ってみたレポートです。
●Mac Proをどうにかやめたいw
ずっと「MacBook Proだけで仕事したい!」とか「 持ち運べないのはパソコンじゃない」って言ってた僕にとってのMac Proの存在意義は、「デュアルXeonがそこそこ速い」ってことだけ。あとは「デカい」「重い」「ジャマ」「作動音がする」等々、マイナス点しかない。それでもタワー型Macを使い続けてきたのは、いざという時のレンダリングの速さ故。
そもそも、ほとんどの仕事はMacBook Proでも十分すぎるのに、年に数回しかしない巨大サイズのレンダリングや、せいぜい数百フレームのアニメーションレンダリングのために、Mac Proを保有し続けるムダ感。
1月に机を新調したこともあって、床置きのMac Proとのたうつケーブル類がにわかにウザく感じられるようになった。そうだ! レンダーファームが本当に仕事に使えるかどうか試してみよう!
●RebusFarmをお試しで使ってみた
使ってみたのはRebusFarm。「レンダリング専用のXeon(CPU)を3000台をご用意」だそう。MODOはもちろん代表的な3Dソフトに対応している。サイトは日本語も選べるのでわかりやすい。
< https://www.rebusfarm.net/ja/
>
アカウント作成とアプリの設定を済ませ、MODOからレンダーファームを使うテストをやってみた。お試しポイントが使えるのでまだ無料。MODOからRebusFarmを選ぶとRebusManagerへファイルが転送される。
複数のフレームをレンダリングしようとすると、「frame to frame mode enbled」という警告が出る。MODOのIrradiance Cashingをオフにするとその警告は出なくなるけど、今度は「Bruteforce mode enbled」という警告が出る。
これをどうやってもオフにできない〜。とりあえず、そのままでレンダリングしてみた。Irradiance Cashingがオフなので、ザラザラにレンダリングされちゃう。
お試し記念画像 < http://t.co/Lzq4OrKANO
>
今度は警告を無視してそのままレンダリングしてみたら、ありゃ? 普通にレンダリングできちゃった。警告は設定を再確認させるためのもので、レンダリングできないってわけじゃないらしい。
[1000pixel正方形30フレームのアニメーション]をレンダリングしてみた。ファイルアップロードしてスタートボタンクリック。すぐにレンダリングが始まり、30フレームが1分かからず終了。画像のダウンロードのほうが時間かかる。合計5分くらい。tgaのFinal color outputと、同じくtgaのalphaがそれぞれ30枚出力された。
[11000pixel正方形の静止画]1枚のレンダリングにも成功! レンダリングは一瞬でも、レンダリングが終わってからダウンロード終了まで15分くらいかかった。MacBook Proだけでレンダリングすれば1時間程度はかかるので、まあ、マシでしょう。
もう大丈夫。使える!!
レンダーファームの混み具合によって待ち時間が発生すると聞いてたけど、安い「エコノミー」設定でもほとんど待たなくて済んだ。っていうか、実は「8500フレーム待ち」って表示があったので「うわ〜何時間も待つのか〜」と思ったら、あっさりレンダリングスタート。
お試しで「速いじゃん!」って思わせて有料に導く作戦かもw 待ち行列に入っちゃうとイライラするんだろうけど、ちょっと高めの「ビジネス」設定を選ぶと順位が優先されるのだ。
●有料で使ってみた!
RebusFarm、お試しを卒業し、ちゃんとポイントを購入して[1200pixelで10フレームのアニメーション]のレンダリングをしてみた。「エコノミー」設定だけど待ち時間はほとんどなく、レンダリングは一瞬。でもやはり、ダウンロードに時間がかかる。この程度だとマシン内でレンダリングするほうがぜんぜん速い。
続けて、[2400pixel角の10フレームのアニメーション]のレンダリング。う〜ん、やはりダウンロードに時間かかるなあ。100フレーム以上になればレンダーファームのありがたみがはっきりと出てくるかな?
レンダーファームを活用すれば、フレーム数が多かったり大きい重いレンダリングが気持ちの大きな壁になるのは防げる。MacBook ProやAirでも十分。
ところが逆に、速いMac Proで「レンダーファームに転送する手間無しに直接レンダリングできちゃう」ってのが便利に思えてくるのも確かw 少なくとも自分でマシン複数台用意して、ネットワークレンダリングするよりは遙かに速くてカンタンだけど。
奥の手というか切り札というか伝家の宝刀的に、いざというときに利用するのでもいいんだろうな。「オレにはRebusFarmという強い助っ人がいる」的な。
●レンダリングコスト安っ!
1ポイントが1ユーロ。さっきのレンダリング[2400pixel正方形を10フレームのアニメーション]はエコノミー設定で、0.2ポイント=26円くらい。100ポイント購入したので同じレンダリングがあと499回できる計算。[11000pixel正方形の静止画]のコストは57円。安い!
「2400pixel正方形を10フレーム=0.2ポイント」とすると、100ユーロ(100ポイント)でレンダリングできるはずの5000フレームの合計面積は、今までレンダリングしたアニメーション全部をも上回るのは確実。最高スペックのマシンを何台も用意する代わりに、ポイントを買う方がめちゃくちゃお得と思われるw
●無尽蔵のパワーがこの手に!
XeonのCPUが2個搭載されたMac Pro1台をジャマとか文句言ってたのが今までの僕。これからは、どんなヘボいノートパソコンからもXeonが3000個使い放題になるのだ!
ゴツい双発機から三千発機のセスナに乗り換え。いや例えがちがうな。二頭立ての馬車から三千頭立てに。これも違う。強力なエンジンのダンプカーがせいぜいだったのが、乗り換えた軽自動車にサターンV型のロケットエンジンを取り付けたみたいなもんだ。
う〜ん、ピンと来ないw ......要するに、ちょっと前のピクサーやドリームワークスの自前のレンダーファームを格安で使えるようなもの。
「I've got the POWER!!!」って雄たけびを上げたい気分w
っていうか、SNSでレンダーファームについて書いてたら、アドバイスしてくれる人が多い! こんなすごいサービスがあるのを知らなかったのは僕だけだった。
補足。ネットを通して無尽蔵のパワーとはいえ、3Dの作業はプレビュー表示の速さやグラフィックの性能にも依存するので、最低のパソコンで十分ってわけじゃないです。あと、レンダーファームとファイルをやりとりしてる最中はMacBook Proのファンがシューシュー回りっぱなしになるくらい負荷がかかる。それなりの環境は必要。
【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
>
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
>
「インスタントコーヒーはまず水で溶かすと10倍おいしい」だそう。試してみたくなって、インスタントコーヒー買ってきてやってみた。水で溶かしたのとお湯で普通に溶かしたものを別々に用意した。味は......「どちらも同じ」でした! 買ってきたのはセブンイレブンの「いつものコーヒー」。製造業者UCCでフリーズドライ法の製品。スプレードライ法ならその方法でおいしくなるのかもしれんけどね。
・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
< https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
>
・ハイウェイ島の大冒険 < http://kids.e-nexco.co.jp
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・INTER-CULTUREさんの3Dプリント作品販売
< http://inter-culture.jp/Buy/products/list.php?category_id=63
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