Take IT Easy![59]「Google Photos」の衝撃
── 若林健一 / kwaka1208 ──

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こんにちは、若林です。今回は、先日Googleの開発者イベントで発表された新しいサービス「Google Photos」についてふれてみたいと思います。




●Google Photosとは

「Google Photos」とは写真のデータをクラウド上に保存できるサービスで、発表直後からFacebookやTwitterで、さっそくデータを移し替えたという方が続出するほどの人気を博しています。

1)1,600万画素までの写真、もしくは1080Pまでの動画なら容量無制限で保存可能。

1600万画素以上の場合は自動的に圧縮して、無料・無制限の範囲で保存できますので、一部を除いてほとんどのスマートフォンで撮影した写真ならそのままの解像度で無制限に保存可能。ちなみに、iPhone6が800万画素、GalaxyS6が1,600万画素、Xperia Z3が2,070万画素のカメラを採用しています。

2)スマートフォンからの自動アップロード

この機能はすでに他のサービスでも実現されているので驚くものではありませんが、無料で無制限となると少し見え方が変わります。どれだけ写真を撮っても、すべてクラウド上に保存されていきますから、アップロードされたものを削除していけば、残り容量を気にせずどんどん撮り続けることができるようになります。

3)自動分類機能

写っているものを認識して、自動的に分類してくれる機能。例えば、犬が好きで犬の写真をたくさん撮っている方なら、「犬」で検索するだけで犬の写っている写真だけを抽出してくれますので、これは旅行の写真、これは犬の写真、と自分でわざわざ分類する必要がなくなります。

自動分類機能が便利なのは、ユーザーが意図しない分類での探し方できるという点。例えば、「黒」で探せば黒っぽい写真、「ビール」で探せばビールの写っている写真など、これまでに人間が行わなかった分類で探すことができるようになります。つまり、分類方法に悩むことなく、また自由に写真を探せるわけです。

4)アニメーション、コラージュ写真作成機能

アップロードした写真の中から、被写体や構図の似たものを自動的に選び出してアニメーションを作る機能や、複数の写真を組み合わせたコラージュ写真を作る「アシスタント」と呼ばれる機能が提供されています。どちらも違和感なく作成されますので、今までにない写真の楽しみ方ができそうです。

●すべての垣根を取り払ったサービス

プライバシーに対する懸念といったことを置いておくとするなら、Google Photosは費用を気にしないでいい、容量を気にしないでいい、整理することも気にしないでいい、PCのブラウザでの表示、モバイルアプリでの表示、どちらもストレスなく高速に表示され使い勝手も良好と、素晴らしいサービスと言えます。

特に、自分で写真を保存したりバックアップしない、ライトなユーザー向きのサービスと言えますし、私もそういった方に写真の保存に関する相談を受ければぜひ利用を勧めると思います。

一定の解像度を超える場合に、自動的に圧縮されるところが気になりますが、普通は1,600万画素もあれば十分な品質を保てますし(そういう意味では最近のスマートフォンカメラがオーバースペックとも思えますが)、スマートフォンの写真を楽しむだけなら、まったく問題ないといえるレベルです。

●どうして無料なのか?

なぜ、こんな素晴らしいサービスをGoogleは無料で提供するのでしょうか? Google Photosの画面には検索画面のような広告表示はありません。もちろん、Googleがこれらのサービスを、何の対価もなく無料で提供できるほど太っ腹な企業になったわけではありません。かといって、ユーザーの写真を勝手に販売しているでもありません。

ポイントは、「自動分類機能」や「アシスタント機能」を支える「画像認識技術」にあります。Google Photosで「自動分類機能」や「アシスタント機能」が実現されているのは、レベルの高い画像認識技術があるからですが、とはいえまだまだ認識できない写真がユーザーの元にあります。

ユーザーの写真をアップロードしてもらうことで、それらの写真を認識し、認識結果から現在の認識アルゴリズムに足りないものを見つけ、さらに画像認識技術の精度を高めることができる。

そして、ここで高めた技術を元に新たな技術開発やサービスの実現へ発展させることができるのです。

公式の発表では、Google Photosの画像認識や整理は「ユーザーの閲覧のためだけ」にやっているとなっていますが、ユーザーの写真を処理することで得られたデータは、なんらかの形でGoogleの基礎技術へフィードバックされることは間違いないと思います。

●知的生命体Google

こうして高められた画像認識技術は、例えば車の自動運転技術や認証技術にも応用されていき、それらの機能性を高めていく礎になります。

ユーザーに魅力的なサービスを提供しながら、そのサービスを通じて自社の技術を発展させていき、新たなサービスを生む。新たなサービスで、さらに自社の技術を高めていく。

このサイクルは、まさしく人工知能そのものであり、Google全体がひとつの巨大な知的生命体になってきたように思えます。

なんていうと、少し怖い未来みたいなイメージになってしまいますが、そんなことを気にしていても始まりませんし、今のところ写真サービスとしては最強ですので、少し使い込んでみたいと思います。


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