プロダクトデザイナーなど、モノづくりに関わる作家が集まる展示即売会のための作品を作ってます。
「MAKERS LINK Special Outlet 2015」
12月12日(土)〜12月13日(日) アーツ千代田 3331 ギャラリーB105
詳しくは↓
http://www.yoshii.com/dgcr/ML2015/MAKERSLINK-3.pdf

●原型用データを分割
今まで、フィギュアを自分で型取り・複製する場合は、作業がなるべくラクになるようにと完全一体型にしてきた。ところが、昨年から織田隆治さんに何度かフィギュア制作をお願いしてるうちに、織田さんの「細かくパーツ分けしてそれぞれ塗装して組み立てる」方式が効率よさそうに思えてきた。
塗装がとにかく面倒で時間がかかるのだ。塗装がラクになるのならと、今回は織田さん式で全部やってみることにした。


中空になるように中身を繰り抜き、パーツごとに切り分けた。この作業は何度かやったことあるし、見た目ほど大変じゃないけど、丸一日くらいかかる。
で、rinkakでポリアミド(ナイロン)で3Dプリント外注。台まで含んで高さ17cmくらいだけど、中空の薄皮状態なので、サイズの割に安い。っても、3万円くらいするけど。
https://www.rinkak.com/jp/materials
●3Dプリントが上がってきた
最大一か月かかる可能性もあったけど、どちらも二週間以内に届いた。けっこう早かった。
なのに、ああああ! バカだ〜僕。分割したパーツにちょっと隙間を空けようと、それぞれ上下左右前後に少しずらしてあったのだが、ずらし方が足りなかった。顔のパーツとボディのパーツが接してる部分があったのだ。気づかなかった。融合しちゃってる orz

容積で出力料金が出るので、いくらかかるかな〜? ってとりあえずアップロードしたものを最終確認しないままポチッとしたのだった。
まあ、顔パーツの糊しろ部分なので、外から見える部分に影響は少なそう。カッターでほじくって切り離してパテで修正すればいいのだが、数時間以上かかるなこりゃ。超音波カッターがほしい〜。
ところが、ポリアミドはけっこう堅くてカッターでは歯がたたない。しばらく粘ったけどギブアップ。いいやもう、どうせ出力し直しなんだからってことで、バリバリと引きちぎってみたところ、うまいことちぎれた。

もうひとつは問題なく出力完了。

あらためて見てみると、現状3mmくらいの厚みだけど、丈夫だから2mmでもぜんぜん平気っぽいな。厚み半分で体積半分なら、出力代も半分にできるのだ。
●下地の処理
調べてみると、ポリアミドはポリエチレンなどと同じく塗装がむずかしいらしい。サンドペーパーを粗くかけて、ガサガサ状態で塗れば大丈夫でしょう。
無臭制作の一貫で、サーフェイサーの代わりにアクリジョンで下地塗りしてみた。べっとり分厚く塗るのには都合がいい。ドライブースで乾かして削ってみると、多少弾力があるものの普通に削れる。
ただ、電動サンダーで急激に磨くと、摩擦熱のためなのか撚れて消しゴムのカス状にヤバい削れ方をする。細目のサンドペーパーでゆっくり磨くしかしょうがない。

片方はアクリジョンを使わず、普通にラッカーサーフェイサーを使った。原型完成状態まで来た。ここまでふたつで延べ三日くらいだから、かなりマシ。

しかし、今までは完全一体型ばかりだったから、パーツの多さには閉口する。目とか口のパーツはドライブースの底に落っこちそうでヤバいので、ハレパネを切ったものにくっつけて扱ってる。
●ポリアミドの弱点
ポリアミドって粉体焼結とかいう方式なんだけど、出力物の奥まったところに固まってる粉を落とすのがかなりたいへん。爪楊枝とかでほじったり歯ブラシでガシガシやったりしても落としきれない。
やっぱ硬すぎてなかなか削りがはかどらない。ナイロンだけあって、サンドペーパーで削ると繊維状に毛羽立っちゃうのが困りもの。上塗りして削るとまた繊維が出てくる。
多孔質っていうのか、水が染みこむ。洗うとなかなか乾かない。塗料も染みこむから一回目は目止めな感じ。あ、水洗いした後の重量のちがいを計っておけばどのくらい染みこむかわかったのに。染みこむからこそ染料で着色できる利点もあるんだけど。
http://inter-culture.jp/Buy/products/detail.php?product_id=322
●複製材料が届いた
織田さんに教えてもらったものばっかしw

AXSONファインキャストという高級レジンキャストは収縮が少なく、臭いがほとんどしないってことで試してみる。造形村シリコンは透明で気泡の具合が見えるのと、硬化時間が長いのでやはり気泡の抜けがいいってことで。
ラベル見たら、硬化に24時間って! 今まで使ってたビージェイのシリコンは6時間くらいで裏返して反対側流し込めたのに……型取りに最低でも二日必要ってことか。右の容器はシリコンの脱泡用の真空保存容器とポンプ。
●またモノが増える……
何が悲しいって、普段から一生懸命モノ減らしして、使わない材料や道具を涙をのんで処分してるのに、何か作ろうとすると一気にモノが増えてしまう。三年前に部屋から材料や道具を一掃して(実家に持って行っただけだけど)すっきりしたんだけど、また逆戻り。
普段は材料も道具も持たず、作る時に新しく買って、作り終わったら全部捨てて、ってのでいいかもね。それか、全部外注かw
●今回のテーマは見切り
パーティングライン(型の合わせ目)やパーツのつなぎ目など、複製・接着してパテを盛って削る予定の部分の周辺は、原型状態でいくら丁寧に仕上げても関係なしw
今回はそのへんの「見切り」をやってみてる。以前はそのへんの加減がわからず、無駄に時間を費やしてたから。
【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/
iPad ProとPencilが手に入らない限り、フィギュア制作話が続きますので……。
すいませんw
・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500
・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii
・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii
・ハイウェイ島の大冒険
http://kids.e-nexco.co.jp
・App Store「REAL STEELPAN」
https://itunes.apple.com/jp/app/real-steelpan/id398902899?mt=8