crossroads[12]オープンソースな世界
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。近畿地方では、毎年恒例の「造幣局の通り抜け」が始まり、いよいよ桜の時期も終わりに近づいてきました。

満開の桜はもちろんですが、散り初めの緑交じりの瑞々しさが好きな自分にとっては、もう少し桜の季節が続きます。

●オープンソースな政府

少し前の記事になりますが、オープンソースに関するこのような記事が出ていました。

US government commits to publish publicly financed software under Free
Software licenses
http://bit.ly/1MpE4dh




アメリカ政府の機関で使われているソフトウェア、特に今後新たに開発するものについては(すべてではないけれど)オープンソースとして公開していくという「ソースコードポリシー」の草案が提出されたそうです。

この草案に対するパブリックコメントを4月11日まで募集するということですので、このメールが配信されるタイミングでは締め切られている頃でしょうか。

この発表、色んな意味ですごいなと思ういます。例えば、国の開発するものといえば入札で受託先が決まると思うのですが、そこで創られたソフトウェアのソースコードが公開されるわけです。

しかも、ただ公開されるだけでなく、それらを自由に改変して再利用できるわけですから、一度受託した企業がその後継の仕事を請けられるかどうかわからない。

もしかすると、自分のところで開発したものをベースに、他の企業や組織が開発を行い、せっかく獲得した仕事を奪われてしまうかもしれない、そんなリスクのある仕事になるわけです。

今の日本のだとちょっと考えにくい、そんな議論が始まることすらイメージできません。

アメリカ政府には、一般の企業と同じくCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)が配置されていて、それぞれ元Microsoftや元Googleの人が役職についています。

これらの方々がこの草案にどの程度関わっていたのかはわかりませんが、その役職上大きな影響力を持っていたのは間違いありませんから、「オープンソース文化」に対する造詣が深い(と思われる)方が関わっているのであれば、このようなポリシーを掲げられるのもうなづけます。

U.S. Chief Information Officer
https://cio.gov/author/tony-scott/


U.S. CTO Twitter
https://twitter.com/uscto


●オープンソースとは何か?

ところで「オープンソース」とはどういうことを指すのでしょう?

人によって解釈が異なるところがありますが、私も初めて知った頃の「無料で使えるソフトウェア」という認識から、「無保証で自己責任で利用するソフトウェア」と変遷し、現在では「ソフトウェアだけに限らない知の共有を伴う活動のすべて」という認識に至っています。

この「ソフトウェアだけに限らない知の共有を伴う活動のすべて」というのが現在の「オープンソースコミュニティ」の中での共通認識だと信じています。

つまり、オープンソースというのはエンジニアだけのものではなく、非エンジニアでも、その精神を受け継いだ活動は可能なのです。

今回のアメリカ政府の提案、現在は草案レベルですが具体的に実行される段階になった暁には、政府機関のソフトウェアだけでなく、より多くの知を共有する行動として認識され浸透していけば、世界はよりよいものになるのではないかな。

今でもアメリカが世界のリーダーなのであれば、世界にオープンソース文化を広める役割を負ってもらえれば、と遠く離れた島国の一角で願っています。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


CoderDojo奈良
http://coderdojo-nara.org/