こんにちは、若林です。
5月14日(土)はビジュアルプログラミング言語「Scratch」のお祭りの日「Scratch Day」ということで、この日を中心に5月の初めから6月にかけて、世界各地で「Scratch Day」イベントが開催されています。
Scratchというと「子ども向け」のイメージを持つ方も多いのですが、実はプログラミングをやったことがない大人が、初めてやるにはちょうど良い教材なのです。
「やってみたい」という大人の声をよく聞きますので、今回はScratchでプログラミングを楽しむための、基本的なことをお話してみたいと思います。
●Scratchが動作する環境
Scratchでプログラミングするには、Mac/Windows/LinuxのいずれかのPCが必要です。
タブレット用のアプリとして、「ピョンキー」や「Scratch Jr.」といったアプリも出ていますので、タブレットでもできるのですが、機能や画面の大きさ、操作性がPC版と比べて劣るため、PCをお持ちの方であればPCを使われた方が良いでしょう。
もし小さなお子さんがやってみるということであれば、Scratchの機能限定版でタッチ操作ができる「Scratch Jr.」がお勧めです。
ピョンキー iOS版のみ
http://www.softumeya.com/pyonkee/ja/
Scratch Jr. iOS版
https://itunes.apple.com/jp/app/scratchjr/id895485086
Scratch Jr. Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=org.scratchjr.android
さらに、PCでScratchを動かすにはブラウザでScrachのWebサイトにアクセスして動かす方法と、アプリをダウンロードして動かす方法の二種類があります。
ブラウザで動かすScratch
https://scratch.mit.edu/
アプリ(オフラインエディター)をインストールして動かす
https://scratch.mit.edu/scratch2download/
ブラウザ上で動かす場合は、PCがネットに接続されていなければなりません。アプリのインストールが不要なことと、アカウントを作れば作品が自動的にクラウド上に保存されますので、ネットが使える環境なのであればブラウザ(ChromeやFirefoxなど)で動かされることをお勧めします。
●Scratchアカウントを作る
Scratchアカウントは必須ではありませんが、先に書いた通りアカウントを登録してブラウザでプログラミングしていれば、作品のデータが自動的にクラウドに保存されるため、保存し忘れや作っている途中のトラブルが起った時の被害が最小限にできます。
面倒でもScratchアカウントは作っておいた方がいいでしょう。
CoderDojo西宮 / 梅田のサイトに詳細な作り方の説明がありましたので、こちらを参考になさってください。
子供向けプログラミング言語学習環境Scratch(スクラッチ)のアカウントの作り方
http://coderdojo-nishinomiya.info/create-scratch-account/
●簡単なプログラミングの例
では、簡単なプログラム作成を進めてみましょう。
Scratchのサイトにアクセスし、
https://scratch.mit.edu/
画面の上のメニューから「作る」を選択すると、プログラム作成画面が表示されます。
左側のネコのキャラクタの表示されている白い四角が、作ったプログラムの実行結果が表示される部分、右側のグレーの領域がプログラムを書く部分となります。
Scratchでは、プログラミングに必要な命令がパズルのピースのような形の部品になっていて、各部品の凹凸で繋がるようになっています。
各部品は「動き」「見た目」「音」「ペン」「データ」「イベント」「制御」「調べる」「演算」「その他」に分類されていて、Scratchの画面中央にあるそれぞれの言葉をクリックすると、各分類ごとの部品の一覧が表示されるようになっています。
では、簡単なプログラムを作ってみましょう。
まず、「イベント」から「緑の旗がクリックされた時」、「制御」から「ずっと」、「動き」から「10歩動かす」の3つの部品を取り出してください。
部品は、画面右側のエリアにドラッグ&ドロップすることで取り出すことができます。間違った部品を取り出したり、プログラムを作っていく中で不要な部品が出てきた場合は、部品の一覧が表示されている場所へ、逆にドラッグ&ドロップすることで部品を戻すこともできます。
この時、戻す部品と表示されている部品一覧の分類は違っていても構いません。
次にそれぞれの部品を組み合わせていきます。
「10歩動かす」をドラッグ&ドロップで「ずっと」の中にいれてください。
「10歩動かす」の部品の上にあるへこみと、「ずっと」の内側にあるでっぱりが繋がってひとつの部品になりました。
この繋がった部品をさらに「緑の旗がクリックされた時」の下につないてみてください。
ここでもへこみの部分とでっぱりの部分が、磁石で引き寄せられるかのようにくっついたと思います。
このように、Scratchでは部品を組み合わせてプログラムを作っていきます。
できたプログラムを上から順に読んでみてください、「緑の旗がクリックされた時、ずっと、10歩動かす」と読めますね。
このようにScratchでは作ったプログラムを読み上げるとひとつの文章になり、自分が作ったプログラムがどのように動くかがわかるようになっています。こういった点もScratchの分かりやすいポイントです。
部品が組み合わさったら「緑の旗」をクリックしてみてください。画面上の猫が画面右端に向かって動きだしましたね。
このようにして、Scratchでは部品を組み合わせてプログラミングしていくのです。
●Scratch作った作品の例
Scratchでどんなプログラムを作ることができるかということで、中学二年生の男の子が作った作品を紹介します。
シューティングゲーム2
https://scratch.mit.edu/projects/107736348/
この作品は、5月14日の「Scratch Day 2016 in Nara」の中で発表してくれたものですが、一日数時間の作業で着想から約3週間で完成させたそうです。
アニメーション映画のようなオープニングから、ラスボスを倒した時のエンディングまで凝った作りこみが、とても中学生がひとりで作ったとは思えないレベルに仕上がっています。
また、一見複雑に見える敵や自分のキャラクタの格闘するような動きも、実はとてもシンプルなプログラムで実現されています。
ここまで作り込むには、プログラミング以外の能力も必要になってきますが、Scratchでも頑張ればこんなプログラムが作れますし、中学二年生でもこれだけのプログラムを作れるというのがわかっていただけたのではないでしょうか。
●おすすめの書籍
Scratchで簡単にプログラムが作れるとはいえ、ゼロから独学では大変なので、本を参考にされるのがいいでしょう。
Scratchの本もたくさん出版されていますが、わかりやすさでは「わくプロ」が一番だと思います。先日シリーズ第二弾が発売されていますが、どちらも初心者に優しい内容になっていますので、お勧めです。
小学生からはじめるわくわくプログラミング
http://www.amazon.co.jp/dp/4822285154/dgcrcom-22/
小学生からはじめるわくわくプログラミング2
http://www.amazon.co.jp/dp/4822295826/dgcrcom-22/
●見るだけ遊ぶだけでなく作る楽しさを
Scratchは誰でも使える無料のプログラミング環境です。Scratchができたからといって他のプログラミングが言語ができるようになる、というわけではありませんが、少なくとも作ることの楽しさは実感できると思います。YouTubeを観たり、アプリで遊ぶだけじゃなく、自分で作る楽しさを実感してみて下さい。
【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/
Twitter: https://twitter.com/kwaka1208
CoderDojo奈良 / 生駒
http://coderdojo-nara.org/
いよいよ、奈良県で2つ目のDojo、CoderDojo生駒が5月21日スタートします!