わが逃走[187]夏の構造美の巻
── 齋藤 浩 ──

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夏が嫌いだという話は前回書いたけど、あれから二週間も経つのに一向に涼しくならない。従って汗をかく。とくに私はそういう体質につき、困る。

更年期障害なのでは? という意見も多いのだが、子供の頃からこんな調子なのでなあ。

そこで今回は夏の思い出として、この夏に出会った構造美を紹介したいと思う。『思い出』と言い切ってしまえば夏が終わるのではないか、という願望が多分にある。

というか、早く秋になってくれ。タノム。もう暑いのはイヤだ!!!

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6月、信州の鉄橋

信州でしかもまだ6月。それなりに涼しいし空気もきれいだ。なので落ち着いて撮影してたっぽい。

20年前から気になっていた、オーソドックスなワーレントラス橋。隣では新しい橋の工事が完成しつつあり、この橋の行く末が気になるところ。




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7月、集合住宅の階段

共用庭(草ぼうぼうランド)へと通ずる階段。雑草に混じってぶどう(ただし観賞用)もやたら実っていた。

梅雨明け前なので湿度は高かったが、暑くて死ぬ〜というほどではなかったので、冷静にシャッターを切っていたっぽい。

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7月、中野区の坂

7月も末にもなると、歩いているだけで顔から汗がボタボタと落ちる。

子供の頃からこれがデフォルトなのだが、端からみると病気のヒトと間違えられそうかもと、最近ようやく気づいた。

ファインダーを覗く目に汗が入った。

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8月、世田谷の踏切

向かって左側の線路沿いは幅三尺ほどの小路になっていて、ここも草ぼうぼうランドであったが、今年になって急に舗装されて、雑草が一本も生えなくなってしまった。

風情と反射熱の影響で夏バテがすすみ、やはりファインダーを覗く目に汗が入った。

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8月、栃木の川

お盆直前に取材ででかけた栃木県のとある町にて。友人いわく『尻がいっぱい』。ちょうど昼時、天気は快晴で、肌が焼けるようだった。

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8月、とある酒蔵にて

ホースの巻きっぷりというものが気になって仕方がない。こういう何でもないものに所有者の個性が表れると思う。

まあそれを知ったからといってどうなるわけでもないのだが、旅先で巻かれたホースを見ると、つい撮影したくなってしまうオレであります。栃木の夕方はわりと涼しい。

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8月、新宿区の壁

この日も暑かった。汗をかくのがわかっていたので、水をかぶって濡れたような柄のTシャツを最初から着て出かけたことを思い出した。

8月も下旬にもなるとかなりバテてきて、「もうダメだ、呼び声が聞こえる」などと訳のわからん寝言とともに、大量の寝汗をかいていた。

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9月、金沢の階段

ついに9月だ。9月といえば秋。ようやく待ちに待った秋がやってきたんだ!しかし金沢は暑かった。そしてものすごい湿気。降ったりやんだりの天気の中、個性的な階段を発見して喜ぶ。

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9月、金沢の滑り止め集中地点

傘をさしながら散歩をしていると、いきなり強い陽射しが襲ってくるというフシギな天気の中、フシギな物件に出会う。

靴がすり減っていて、しかも路面が濡れているもので、滑り止めの有難さをひしひしと感じた瞬間。とくにオシッコを我慢しながら歩いていると、うっかり尻餅をついた瞬間タイヘンなことになってしまう危険性があると言えましょう。

ええ、そのくらい逼迫した状況でした。なぜか金沢に来るとオシッコを我慢することが多い。

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9月、金沢の洋館

わりと普通の道を歩いているにもかかわらず、二十面相のアジトのようなかっこよすぎる建築に出会う。普通の街角に突然これだもの、やはり加賀百万石はスゴイなあ。

てな感じに夏の思い出を語りました。
早く秋の風情にひたりたいです。
ふとんかけて寝たいです。

といったわけで、みなさまもご自愛くださいませ。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。