こんにちは、若林です。10月4日から7日まで、千葉の幕張メッセで開催されていた「CEATEC JAPAN 2016」に出展してきました。
●CEATECとは
CEATECとは、もともと家電系展示会の「エレクトロニクスショー」と、コンピュータ・通信系の展示会だった「データショウ(後のCOM JAPAN)」を統合し、2000年に始まった日本最大の電機・通信関連の展示会です。
海外でいうと、アメリカの「CES」とかドイツの「IFA」に相当しますが、規模は「CES」や「IFA」の方が大きいでしょうね。
CEATEC JAPAN 2016
http://www.ceatec.com/ja/
家電関連の展示があることと、位置づけがアメリカの「CES」に近いので、「CEATEC」の「CE」は「Consumer Electronics」の略だと思っていましたが、「CEATEC」は「Combined Exhibition of Advanced Technologies」の略だったのです。
●ブロックでつなぎ合わせる電子工作キットを出展
今回は、株式会社アーテックとして、プログラミング学習教材をメインに出展しました。Arduino互換マイコンボード「Studuino」と、電子部品をアーテックブロックというオリジナルのブロックでつなぎ合わせられる、電子工作キットです。
従来の電子工作キットは、半田付け部分がむき出しのマイコンボードに、電子部品を繋げるだけのものでした。
しかし、アーテックの製品ではマイコンボードや電子部品に、ブロックと同じ形状の外装を施してあり、ブロックを直接つなげられるようにすることで、筐体をブロックで作れるようになっています。
つまり、従来ならプラスティックや木などで、頑張って作らなければならなかった筐体部分を、ブロックの組み合わせだけで作れるようになっているのです。
ブロックなので作り直しが簡単、電子部品の配置を変えたい時もブロックを挿し直すだけでよいというのが特長です。
アーテックは元々学習教材のメーカーで、主な取り扱い商品は粘土や美術・図工用品のような、コンピュータとは無関係な商品です。
そんなアーテックがCEATECに出展したのは、アーテック唯一のIT関連製品である「Studuino」をより多くの「メイカーズ(ものづくりが好きな人たち)」にも知ってもらおうと考えたためです。
他のブースでは、人間と対話するコミュニケーションロボット、自動運転搭載の最新電気自動車、最先端のウェアラブルデバイスなど、技術の粋(すい)を集めた製品ばかりの中で、プラスティック製のブロックで出来たロボットを展示するブースは、かなり異彩を放っていたと思います。
●一般消費者にも知ってもらうのが目的
私自身も、ITの最先端の展示が多い展示会の中で、アーテックブースに関心を持ってくれる方がどれぐらいいるだろうかと思っていたのですが、異質さが功を奏したのか、想像した以上に多くの方がブースを訪れてくれました。
そして、ブースを訪れてくれた方からは、このような反響をもらえました。
「最近の子供はこういうもので勉強できるようになったのか、自分たちの時代とは違うな」
「自分の子どもにやらせたい」
「プログラミング教室を始めたいと思っていたが、自分がイメージした通りの教材を見つけた」
一方で「これって、商品化されてるんですか?」といった反応も多く、認知が低いということもよくわかりました。
どちらかというとパソコン教室などの教育事業者向けですし、一般消費者向けの広告はあまりやっていないので、仕方ないところではあります。
そういった方に知ってもらうのが、今回の出展の目的ですので、その反応もまた出展に意義があったことを示すものだと、これもポジティブに受け止めています。
●自社内部への意義ある効果
展示会ですから外部への発信ができたことは成果として当然ですが、もうひとつ、自社内への効果もありました。
今回、私と一緒にブースに立ったのは法人担当営業のメンバー。営業職のほとんどがルート営業である中で、唯一、新規顧客を開拓することがメインのメンバー。しかも、全員二十代という若さです。
彼らがこれまで出展してきた展示会は、具体的な商談をするものであったのに対して、CEATECはエンジニアや企画担当者などの来場者が多く、そのほとんどが情報収集目当てなので、具体的な商談になりそうな話はほとんどありません。
そんなことから「どう対応していいかわからない」「具体的な商談につながらないので不安だ」という声も出ていましたが、なんとか四日間の三日目にはペースをつかみ、来場者への対応に余裕が生まれ始めました。
関心をもってくれた方の多くは、エンジニアのみなさん。おそらく、これまでほとんど接点がなかった方ばかりだったと思います。
ところが、その多くはポジティブな反応を示してくれましたし、自分たちの知らないところに多くの関心をもってくれる方がいることを、若い営業職に気づいて貰えたのなら、それも今回の出展の意義であったなと感じています。
今回の出展でとても印象的だったことのひとつに、営業メンバー(女性)の「CEATECって最先端の展示会なに、うちのブロックが動くのをみて驚くのはなぜなんですか? 全然最先端でもないのに」という言葉。むろ自分にはその観点がなかったので、新鮮に感じました。
アーテックの製品は学習教材向けで、低コストで作られていますし、最先端の技術が採用されたものではないとは確かです。
しかし、その根底にあるものは同じ。そういった部分を理解している方々には、「おもちゃみたいなブロックのくせにすごいな」と思ってもらえて、「ものづくりを学ぶことができるもの」というポジションを認めてもらえたのではないかと思います。
今回展示した製品は、私自身が開発に関わったものではありませんが、そういった反応をもらえたことは、自分が開発に関わったものと同様に嬉しかったし、自分が開発したかのように紹介することができたことも、自分にとっては成果のひとつです。
ものづくりに関わる人間は、その製品に愛情を感じることが必須ですから。
●リアルでのコミュニケーションの重要性を再認識
私も四日間の出展中で、多くの方とコミュニケーションを取ることができました。エンジニアの方、通信事業者の方、出版社の方、メディアの方、そして一個人として関心を持ってくれた方。それぞれが異なる視点での関心に対して、自分なりの考え方を伝えることができました。
自分が考えていなかったこと、想定していなかったことを投げかけられた時に、それを自分なりに解釈して回答することで、これまで自分の中で抽象的であったことが、一気に具体化されていくのが感じられました。
ひとりであれこれ考えていても進まないことが、他の人の会話の中で解決していくということはよくあることですが、そういった現象がこの四日間で爆発的に起きた感じがします。
今回の出展で、自社製品に対する想いとか、子ども向けプログラミング教育に対する考え方などが、より明確になってきたのが自分自身にとっての成果です。この想いが新鮮なうちに、具体的なアクションを起こしていきたいと思います。やはり、リアルでのコミュニケーションは重要ですね。
【若林健一 / kwaka1208】
http://kwaka1208.net/aboutme/
CoderDojo奈良・生駒の開催予定
http://coderdojo-nara-ikoma.github.io/
奈良:10月16日(日)午後
生駒:現在調整中