わが逃走[203]尾道散歩のすすめ
── 齋藤 浩 ──

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何度も訪れている尾道が、ついに『ブラタモリ』に登場!
大好きなタモさんが大好きな尾道に!!
と期待しすぎてしまったオレであります。

冷静に尾道文化の成り立ちを紹介する良い番組ではありましたが、映像の背景が国道沿いや駐車場などが多く、尾道独自の海と山と路地の魅力、その美しさについてはいまいち伝わらない構成だったかなあ。

実は私もこの3月に尾道を訪れ、例によって階段とか階段とか階段の写真を飽きもせず撮影してきたのでございますが、まあ、これからもずっと飽きるなんてことは、まずないだろうなあ。

いくら歩いても歩きたりない、何十回訪れても迷子になれる魅惑の迷路、尾道。

今回はその散歩専用路地集合体としての魅力を、ほどよくやんわりと紹介したいと思います。

過去に何度も同じようなことを書いたけどね。これからも似たようなことを書き続けることでしょうね。





東西にJR山陽本線が走っており、その手前が海。奥が山。

尾道は町中が路地だらけで、とくに山手には寺や神社が散在し、周囲には小さな家々が斜面に貼り付くようにぎっしりと並んでいる。

それらを無数の細道(ホントに細い)が毛細血管のように結んでいるのだ。

当然ながら自動車は入れない。なので、気楽に自分のペースで、ぼーっと散歩することができる。

尾道駅前。海は画面右側すぐそこ。
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この個性的な木造建築は壊され、ありがちな四角いビルに生まれ変わります。現在工事が進行中とのこと。すでに駅前の町並みは再開発されてるので、むしろこの駅舎がよく今まで残ったものだ、とも思う。

それにしても、尾道にとって観光収入はそれなりのものであるはずなのに、その魅力の源である町並みをわざわざなくそうとする、エライ人の意図がわからない。

あまり考えていると寂しくなるので、とっとと踏切を渡って山の手を歩くこととする。

線路を渡って階段を上る。どの踏切からも、渡った先は階段である。つまり、山と海の間のごく狭い平地に線路が通っているから。
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ほんとに、面白いほど階段。
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階段を上って、振り返るとこんな景色だ。この10年でずいぶん疎らになってきたとはいえ、傾斜地の瓦屋根はいくら眺めていても楽しい。
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並列階段や交差階段など、個性的な物件多数。上りと下りとでは同じ道なのにまったく景色が違う。時間帯によっても季節によっても表情がかわる。

こんなに散歩のしがいのある町もめずらしかろう。
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路地から見上げると家々が密集。
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板塀か壊れていたので、覗いてみると、朽ちかけたガウディの壁(贋作)を発見。完成当時はどんなだったんだろう。
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幼稚園の運動場の壁に道の字発見。景色も楽しいし、部分も楽しい。
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ねこも元気だ。お友達になりました。フウコというそうです。
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というわけで、何度でも言おう。尾道はイイぞ〜。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。