●Surface StudioとN-trig
Surface Studio、もう普通に売ってるのね。Cintiq 27 QHDさえ持て余し気味な僕的には無用なのだが、このスッキリ度は驚異的だなあ。めちゃくちゃカッコイイ。
https://www.microsoft.com/ja-jp/store/d/surface-studio/8X8KHLCTQX4T/
なのに、ペンの一個しかないサイドボタンが右クリック固定なため、中クリックが使えない。それでメジャーな3Dソフトは全滅。クリエーター向けと銘打ってるのに。
WACOM内蔵ならそのへん大丈夫なのだが、最近各社から続々出てくる2in1タブレットPCがだいたいN-trig製。最近知ったんだけど、N-trig社はマイクロソフトが買収してるのね。
事実上、Surface Pro的な2in1タブレットPCの標準仕様が、N-trig社ってことになってるわけだ。……納得 orz
●N-trig/WACOM両対応ペンが登場! 「WACOM Bamboo Ink」
ちょっと前の記事だけど、「ワコムの筆圧ペンがSurfaceやVAIOで使えるようになる? 近い将来、「アクティブES方式」と「Microsoft Pen」の両プロトコルに対応したデジタルペンがワコムから登場するかもしれない。」!
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1604/01/news054.html
へえ〜! 独自ドライバを入れられてサイドボタンをカスタマイズできるようになれば、Surface Studioの意味がぜんぜん変わってくるぞ。と思ったら……。
なんと、8月頭に発売されてた! 即ポチ。
https://www.wacom.com/ja-jp/products/stylus/bamboo-ink
届いたのでさっそくSurface Pro 4で試してみた。

Bamboo Inkのドライバをインストールすればカスタマイズ可能なはず。二つのサイドボタンに右クリックと中クリックを割り当てよう!
http://www.wacom.com/en-us/support/product-support/drivers
ドライバを入れてみた……あれ? 入れられない。「対応するタブレットがシステム上に見つかりません」……WACOMのユニットが入ったタブレットPCでなきゃWACOMモードのペンは使えないのか。そりゃそうだわ。
ガ〜〜ン! サイドボタンの件はまったくの空振りだった orz
N-trigのペンにWACOMの機能を盛ってくれるもんだと早合点してた。っていうか、「両対応のペン」っても、WACOM採用のタブレットPCにはWACOM製のペンが付属してるんだから、Bamboo Inkって意味あるのか?w
では、ペンとしての書き味はどうかというと、同じ筆圧で書いて、かすれが目立つのはSurfaceペン。Bamboo Inkでは弱い筆圧でもかすれずに描ける。そこはさすが。たぶん筆圧不足の空振りが少なくなり、普段の操作でもストレス減るんじゃないかな。

筆圧その他はSurfaceペンの設定をそのまま使う。Photoshopでの追随速度はどちらも同じ。ゆーっくり描くとヨレヨレのストロークになるのも同じ。サイドボタンの右クリックは、画面につけてないと効かないのも共通。
まあ、SurfaceペンよりBamboo Inkのほうが少し描きやすいのは確かだと思う。ほとんど使わず放置のSurface Pro 4だけど、ドローイングやラフ描き作業に使ってみようかな、くらい。
ペン先は「柔らかい」「中くらい」「硬い」の3種類が付属。「柔らかい」はとても描きやすい。

●写研の謎
「愛のあるユニークで豊かな書体」でおなじみの写研の見本帳、部屋のどこかを探せば一冊くらい出てくるかもしれない。
Facebookでシェアされてた「デジタルが全てを破壊したフォントのはなし。」
http://prettz.com/blog/?p=1884
写研フォントがないまま四半世紀以上がたった世界は、いろんな人の努力によってすでに補完されてるだろうし、「デジタルが全てを破壊」とはあまり思わない。
僕はといえば、写研がDTP参入しないので少々困ってた。1992年夏にMacを導入してしばらく、ゴナを使いたい時は写植を頼んでIllustratorでトレースしてた。特に、ロゴラインという書体は貴重だった。カタカナを全部トレースしておき、ロゴデザインのときにアレンジして使ってた。
当時、モリサワの「新ゴ」はすでに登場していたはずだが、個人で入れるには高かったのかなあ。他にもゴナっぽいものはいくつかあったと思うけど、最初はニィスで揃えた。
その後、ヒラギノ角ゴシックを見つけて「これなら納得、ゴナより美しいかも!」と主なラインナップを買った。ずいぶん後にMac標準搭載になった。
モリサワはどんどん出てきてるのに、なぜ書体の横綱の写研が出てこない? DTPの波に乗らなければ行くとこないじゃん! 大丈夫なのか?
だいたい、MacのDTPは業界としてデジタル化最後の波であって、製版や印刷の現場では10年も前からデジタル化が進んでたはず。新聞の書体だって80年代前半にはデジタル化されてたし。
以前、写研書体のOpenType化の噂もあったようだけど、今となっては思い入れがありそうな人は50歳以上だし、需要があるかどうか……。
ホントになぜ参入しなかったんだろう? 噂では「日本中の写植屋さんと心中するつもり」とか。ただ、それまでの日本語書体文化も一緒に心中ってのはどうかと。何か深い事情があるにちがいない。
(グラフィックデザイナー的仕事は90年代末にはしなくなっちゃったから、その後のフォント事情には疎い。ゴナは僕の中でも伝説化してるけど、ぜひ復活を! とは思わないし、 ナールは70年代っぽい香りが強すぎてさすがに古く感じるかなあ……)
【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/
N-trig製ばかりとか書いた後で、間もなく発売の液晶タブレットDell Canvas 27のペンはWACOMと判明。2つのサイドボタンもカスタマイズ可だそう。
Facebookにテンピュールの広告が流れてきて、思わずコメントに書いてしまったけど恥ずかしいので削除したのでした。
「♪ピュールピュール、テンピュール」
・スワロフスキーのLovlotsシリーズ「Hoot the Owl」
http://bit.ly/2ruVM9x
・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/
・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500
・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii