●LPレコードには塵がつく
高3の春、バイトして月賦で自分のステレオを買って以降、レコードは買ってくるなりカセットテープに録音してた。なので、ほとんどのレコードは一度しかかけてなく、ほぼ新品。キレイに録音できた。
でも、それ以前の古いレコードは、さすがにホコリや塵のチリチリ音や汚れや傷だらけ。念入りに湿式クリーナーで掃除しても、それほど改善しない。
で、片面の後半になると音が割れてくる。ビリビリ余計な振動を拾っちゃってる。針を観察すると、後半でホコリが盛大に溜まってる。それでかー!
たぶん、溝から太古の塵を掘り起こしてるんだろう。途中で何度か針を掃除しながら録音するとマシ。
●CDは圧倒的にいい音だ!
レコードとCD両方持ってるアルバム。iTunesにも入れてるので、聞き比べてみたところ、CDのほうが圧倒的にいい音。一か月以上かかって、苦労して録音したのがバカみたいに思えてきた。針音やプチプチノイズには趣きがあるかもしれんけど、趣きなんか消し飛ぶくらいいい音。
実家のレコードを全部録音するつもりだったけど、変更。CDや配信でリリースされてなかったり、特別なものだけにしよう。
思い出した。初CDは84〜85年頃。初代CDウォークマンとドビュッシーのピアノ曲のCDを、名古屋事務所を抜け出して買いに行った。事務所に戻り、先輩に隠れてラジカセに繋いで、ボリュームを上げておき、スタート。
一曲目が鳴った瞬間は今も鮮明に覚えてる。「完全に透明な背景からあふれ出す音!」って感じだった。先輩が駆けつけて「何! このいい音は?!」って。そのくらい「次元が違ういい音」だったのだ。
ここ一か月以上、LPレコード録音と調整ばかりしてたので、iTunesもCDもほぼ聴いてなかった。レコードと同じアルバムをiTunesで聴いて「いい音!」って思ったのは、CDを初めて聴いた時の感動が蘇ったってことかw
●顔パック的にレコードパック
昔、LPレコードに木工用ボンドを何度も塗っては乾かしてベリベリと剥がし、塵を除去したのを思い出した。
フィギュア塗装に使う水性マスキングゾル(木工用ボンドと同じ酢の匂いがする)を全面に塗布、よく乾燥させてから剥がす。多少は改善するものの、劇的に変わるわけじゃないみたい……ヤメ!
と思ったけど、その後再挑戦。マスキングゾルの塗布が薄かったのかもしれないと、大容量入りの木工用ボンドを買ってきて、5枚のLPの裏表にシリコンのヘラを使って分厚く二度塗りした。廊下に並べて扇風機で乾燥。
剥がしてそのままターンテーブルに載せ、すかさず録音。確かに雑音は少なくなった(気がした)。
ただし、見えないくらい微妙に残ったボンドの薄皮が雑音の原因になることもあるようで、手間の割には実りが少ないとも言える……。
結局、中性洗剤と湿式クリーナーでゴシゴシし、水ですすぎを念入りにし、シリコンヘラで水を弾き飛ばして乾燥。これが最も良い結果になるようだ。後半で針先に塵が溜まって丸くなることもない。
アナログオーディオって不確かな改善要素が無数にあるし、結果も「気のせい」程度。底なし沼に落ちる人が多いのはよくわかる。
音楽を聴くことと、音を聴くことは別。僕はiPod付属のイヤホンでぜんぜん平気なところまで修行したのに、変にアナログをいじっちゃって退化w
●レコード雑感
・数年前の「実家で30年ぶりのレコードプレーヤーの操作体験」は、焦りまくって大型作品制作中の片手間だったので、味わうほど余裕はなかった。今回は、「あ〜〜なるほど。音楽を聴くってこういう『神聖な儀式』だったんだ〜」って実感した。
・儀式→湿式レコードクリーナーでフキフキし、針のホコリもチェック。回転ボタンを押して、針をのせる。ちょっとパチパチとかノイズがあって演奏が始まる。終わるとアームを上げて、回転ボタンを押して止める。DJ用は一般のプレーヤーのような全自動じゃないのだ。
・配信やクラウド上の音楽をパソコンやスマホで聴くのが普通になった今は、CDさえ面倒。そういえば、CDの操作には儀式っぽさは含まれてなかったかも。
・「レコード盤の溝のギザギザを針が拾って電気的に増幅してスピーカーから音が出る」という音は、デジタルとは違う音ってわかる気がする。思い込みかもしれんけど、儀式を通してそう感じてしまう。
・傷などで針飛びするのはどうしようもないと思い込んでたけど、Webで調べたら修復可能とのこと。
爪楊枝で怪しい部分をゴシゴシこすってスムーズにしてやると、針飛びが直った! それでもダメな場合はカートリッジの針圧を重くしたり、最後の手段としては指でギューっと押さえることでクリア。
・録音する場合は足音や物音を立てないように注意するけど、普段はそこまで気を使わなくても大丈夫。
・ゆったりと音楽を聴くのにレコードは最高の体験とはいえ、まあ、普段やろうとは思わない。また、たとえばレコード300枚って、相当ちゃんとした置き場所を作らなきゃいけないわけだし。ちょっと贅沢な趣味。
狭い仕事部屋で、レコードプレーヤー用に小さい机を一つ占有されてるだけでも、ガマンならないw
・A面B面と分かれているところがイイ。裏返す操作で気分が新鮮になる。飽きずに聞ける片面の長さ。20数分でひっくり返すのはいいリズム。ながら聴きすると、短すぎて慌ただしいけど。
・昔聴いた「A面最後の曲」とか「B面最初の曲」とかやたら印象強くない? ふさわしい曲がその位置にあったと思う。YMO「BGM」の「QUE/キュー」とか。
・親が買った「映画音楽大全集」とか「リーダーズダイジェストポピュラー音楽名曲集」などの十枚組みセットが、今回のクライマックスだった。
小学校高学年の頃、相当気に入って繰り返し聴いてたはずだが、数枚以外はほとんど覚えてなかった。それに、特別に思い入れのある曲以外、ほとんどがダサく聞こえて残念。
・小学校高学年で最もカッコイイと思っていた音楽は「荒野の七人」のテーマ曲(非サントラ音源)だったもんw 2つ3つ上の近所の中学生に「これいいでしょ!」と聴かせてたことがある……恥ずかしい〜w
たぶん彼らはすでにロックなど聴いてたはず。っていうか、「荒野の七人」は別にダサくないけど、「小学生がドヤ顔で」が恥ずかしい。
・考えてみれば、レコードや本から内容を取り出して保存するのってすごいこ
とだな。
【吉井 宏/イラストレーター】
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WWDC 2018で新しいMacBook Proが出なくて拍子抜け。そういえばMac Proは本当に今年中に出るのか? とかおいといて、気になる件。
新MacOS MojaveからOpenGLとOpenCLが非推奨になるらしい。Apple独自のMetalという仕組みへの移行を促してる? 後になってMetalのほうがぜんぜん性能よかった! になったとしても、移行期には困ったり混乱したりするのかも。
僕的にはGPU非搭載のMacBook Pro 13でさえ、MODOの作業が重くてダメとかぜんぜん感じないので,あんまり関係ないのかもしれんけど。
しばらく大丈夫そうでも、本当に3DがMacで作業できないことになったら、2Dメインに戻るだろうなw
追記。Metalはとても優れたものだそうです。今までダメダメだったMacの3DCG環境が劇的によくなる可能性も。
・スワロフスキー「招き猫」と「HOOT HAPPY BIRTHDAY」も出ました。
https://bit.ly/2qWbmZh
・rinkakインタビュー『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii