crossroads[66]「Most likely to Succeed」を観て
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。

16日の日曜日、CoderDojo梅田の参加者を対象に「Most likely to Succeed」という映画の、上映会を開催しました。

この映画は「人工知能(AI)やロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とは?」ということをテーマに、アメリカのサンディエゴにある「High Tech High」という、先進的な取り組みをしている公立の学校と、そこに通う生徒たちを中心にしたドキュメンタリー映画です。





この学校は、従来の学校のような科目ごとの授業はなく、授業時間を知らせるチャイムもなく、すべての学びがプロジェクトを中心に進められる「PBL(Project Based Learning)」というスタイルの学習方法を実践しています。

大学に進学するための勉強をするのではなく、ひとつのプロジェクトを通して、そこで必要なことを学んでいくというスタイルです。

これからの学校の姿として、教育関係者ではとても話題になっている映画で、私も多くの人から「観た方が良い」とすすめられ、ようやく観る機会に恵まれました。

こんなことを書くと、上から目線と言われるかもしれませんが、率直な感想として、「High Tech High」そのものに驚きはなかったです。

もちろん、世の中の学校がこんなふうになればいいと思いますし、この学校が普通になるにはまだまだ時間がかかると思います。しかし「PBL」という手法は「High Tech High」に限らず導入されているところはありますし、学校の仕組みそのものに斬新さは感じませんでした。

この学校で実践されていることは、現在の学校教育の問題点を指摘している方が、「学校のあるべき姿」として挙げている姿そのものだからです。

そんな先進的な学校に通いながらも、「テストで良い点数を取るための勉強をしたい」「まずは大学に入ることが重要」という意見を述べる生徒の声も、映画の中で登場します。

従来の教科学習にとららわれない学校で学んでいるのですから、その自由さを楽しんでいいるのかと思いきや、必ずしもそうではないのです。映画の中では先生方も「これが最終形でない」とおっしゃっていて、まだまだ試行錯誤の途中であることを語っています。

「Most likely to Succeed」は、これからの学校の在り方について、その答えを教えてくれる映画ではありませんでした。

しかし、その映画に登場する人たちは、先生も生徒もその周りの人たちも、一緒に考えながらより良い方法を探っています。そういうアクションを起こすことが必要だということを、私たちに教えてくれています。

「今の教育はダメだよね」というだけではなく、今できることを実践していく。そういう意味において、「High Tech High」は素晴らしい学校だと思いますし、学校に通う年代の子どもを持つ保護者の方は、観ておいて損はありません。

一般には流通していない映画なので、なかなか観られる機会を得られないかもしれませんが、色々な教育機関や団体が上映会を開催していますので、近くで開催されている上映会を探して一度見てみてください。

できれば、参加者同士で意見交換をしてみていただきたい映画です。
http://www.futureedu.tokyo/most-likely-to-succeed/



【若林健一 / kwaka1208】
https://croads.jp/aboutme/

子供のためのプログラミングコミュニティ「CoderDojo」
https://croads.jp/CoderDojo/