こんにちは、若林です。
7月26日、私自身はじめての訳本「mBotでものづくりをはじめよう」を発刊することになりました。
「mBotでものづくりをはじめよう」
https://www.amazon.co.jp/dp/4873118794/
この本は、中国は深センにある子供向けプログラミングデバイスメーカー、Makeblock社が開発・販売しているmBotを使って、ものづくりをはじめようというテーマの本です。
mBotは、Arduino互換のマイコンボードを子供でも扱いやすくし(正確にいうと、子供の手荒な扱いでも大丈夫なように)、純正の部品や一般的に入手可能な部品や材料を使って、自由な形のロボットや機械を作れるようにしたものす。
標準キットは前面が顔のようになった車型のロボットで、ほとんどの方は車型ロボットのまま、中のプログラムだけを書き換えて使わっているケースが多いようです。
https://www.makeblock.com/steam-kits/mbot
しかし、この本を読めばmBotを骨の髄まで使いこむことができる、そんな仕上がりになっています。原著の「mBot for Makers」は、Amazonのコメント欄でとても評価の高い本ですので、私たちの訳本もぜひ期待してください。
「mBot for Makers」
https://www.amazon.co.jp/dp/1680452967/
●校了までの長い道のり
翻訳に着手したのは昨年の秋(10月ぐらい)で、発刊が7月26日ですので、およそ10か月かかったことになります。
もともとは、6月発刊を目指したスケジュールだったのですが、当初はそんなにかかると思っておらず、下手したら年内には最初の原稿をあげて、年明けから校正できるんじゃないか? 遅くとも5月のMaker Faire Kyotoまでには出せるんじゃないか? そんなふうに思っていましたが、終わってみれば一か月遅れの発刊となりました。
自分が思っていた以上に時間がかかった理由はさまざまなのですが、一番大きな問題は「いかに原著のカラーを損なわずに日本語化するか」というところでした。
本の翻訳というと、相当の英語力が必要なんじゃないかと思われるかもしれませんが、実際のところ英語力はそれほど高くなくても可能だと思います。
まったく英語ができなければダメですが、今はGoogle翻訳のような精度の高い翻訳ツールもありますので、そういったツールを使えば英語力の部分は補うことができます。中には英文の読解で苦労する数か所ありましたが、ほとんどの場合、それほど苦労することはありませんでした。
問題は、日本語力。つまり、原著の文章の意味を読み取って理解したあと、それを日本語でどのように表現するか、ここが一番難しかったです。
海外の本(訳本でも原著でも)を読んだことがある方ならわかるかもしれませんが、独特な言い回しとかジョーク、気を利かせたつもりの一言(でも、日本人にはピンとこないもの)が結構でてくるのですが、それらを日本語にするのが難しい。
そのまま日本語にすると意味が通じなかったり、変な文章になってしまったり、最終的には読みやすさを優先して、バッサリ落としたところもありました。ここは少し悔しかったですね、なんとか日本語でも違和感のないようにしたかったのですけど。
また、原著の間違いの多さにも悩まされました。文章の誤り、プログラム例や写真の挿入個所などで多数の誤りがあり、そのたびに自分の理解が間違っているのか、それとも原著から間違っているのか、判断するのにも時間がかかりました。
普通であれば、世に出ている本にそれほど多くの間違いがあるとは思いませんから、原著の間違いであると断定するには、相応の労力と勇気が必要でした。「これ、日本の出版だとありえないのでは?」と思えるほど。それでも、Amazonの評価は高いのですから驚きです。
それ以外にも、最新のプログラミングツールmBlock5への対応などもあり、訳本と言いながらオリジナルで書き足し変更したところも多く、これは私たちの本であると言えるほどに愛着のある本になりました。
翻訳の甘さが残る部分もあるかとは思いますが、本の内容はとても素晴らしいものです。
もうすぐ夏休みですし、mBotは比較的入手しやすい価格のロボットですので、ぜひ本書と共に手にとっていただき、Makerへの一歩を踏み出していただければ嬉しいです。
【若林健一 / kwaka1208】
https://croads.jp/aboutme/
子供のためのプログラミングコミュニティ「CoderDojo」
https://croads.jp/CoderDojo/