こんにちは、若林です。
前回、"MaaS"の話題を取り上げところ、思った以上にそれが知られていないことがわかりました。前回の記事は、あくまでも自分が遭遇した、交通トラブルの中で考えたことだけを書いたもので、それがMaaSのすべてではありません。
というわけで、今回はMaaSで車社会がどう変わるのかについて紹介してみたいと思います。
■MaaS(Mobility as a Service)とは
もう一度簡単におさらいしておくと、MaaSとは「Mobility as a Service」の頭文字で、複数の交通を利用する移動を、ひとつのサービスとして提供するという考え方のシステムです。
MaaSが実現されれば、奈良の自宅から東京ディズニーランドに行くことを考えた場合、自宅から駅への移動、新幹線や飛行機などへの乗り換え、東京到着後の東京ディズニーランドまでの移動など、これまでは各区間ごとにルートを考え、必要に応じてチケットを予約し支払っていました。
これを、ひとつのパッケージ旅行のように扱えるようになります。
■MaaSが車社会に与えるインパクト
前回は料金面の話を中心に書きましたが、変わるのは料金とその支払い方だけではありません。MaaSが目指す世界は移動そのものがもっと便利になり、その大きな効果のひとつとして、マイカーの利用が減るという面に大きく現れます。
日本は鉄道が発達していて、事故がない限り分単位で正確に運行されているため、鉄道だけでの移動を考えれば、今も乗り換え案内アプリで出発地から目的地までの最適な乗り換え経路を、スマートフォンで調べてその通りに移動できます。
問題は自宅から駅まで、駅から目的地までの移動。
バスがあればいいのですが、バスが運行されていない地域もありますし(まさに私の住んでいるエリアがそうです)運行されていても本数が少なく、必要な時に乗れないことも多い。
タクシー料金は比較的高い印象がありますし、こちらもいつでも乗れるというわけではありません。
そうすると、やっぱりマイカーが便利だ、マイカーがないと困る、となるわけです。しかし、マイカーは維持コストが高い。購入時にかかる費用はもちろん、税金、駐車場代、メンテナンス費用などもかかります。
車種によって差はありますが、その維持コストは一年間で40〜60万円(購入にかかる費用を含む)と言われています。仮に60万円と考えた場合、一か月に5万円の出費が発生しているということになります。
もしUberのようにオンデマンドで利用できる車のサービスが充実し、利用料金も安くなって公共交通機関を含めた利用料金が月額5万円以内になるのであれば、車を持つ必要がなくなります。
これが、MaaSの導入により生まれるもっとも大きな効果です。
田舎では一家で何台かを所有しているケースも珍しくはありません、場合によっては、ひとり一台を所有しているケースもあります。
駐車場を借りていればもちろん、自宅の敷地内のガレージであったとしても、車を置くスペースを確保している以上はコストがかかっているわけで、それをなくしたり、別の用途に転用することでコストを削減できるばかりか、プラスに転じさせる可能性もあります。
「自分の車を駐車する」という概念がなくなれば、駐車料金を気にすることなく買い物ができるようになったり、空いている駐車場を探すという時間のロスをなくせます。
車で飲みに行った帰りに利用する、「代行運転」というビジネスもなくなりUberのようなオンデマンドの移動サービスに変わるでしょう。
街中の駐車場のいくつかは、カーシェアリングの拠点として転用されていくでしょうけれど、車の絶対数が減るので、いくつかは別の用途になり新しい土地の使い方が生まれるかもしれません。
タクシーやUberのようなサービスを、日常の移動手段としてつかえるようになれば、車の運転をプロに任せることができるので、事故が減る効果も期待できます。
自分で運転できない高齢者の方の、移動の自由度が上がりますね。人生100年と言われる時代ですから、これはとても重要なことです。
ここまであえて触れませんでしたが、ここに車の運転を人間がやらなくていい「自動運転車」が入ってくるとどうなるでしょう? さらに色んな変化が生まれてきます。
MaaSのある世界こそが、自動運転車の活きる世界だと私は思います。
どうですか、技術が進んで生活が便利になったと感じられる今でも、まだ世界は変わっていく可能性があることを感じませんか?
このレベルに達するには、多くの解決しなければならない課題が多いとは思います。それらの課題を解決するためには、一部の専門家だけが頑張ればいいのではなく、私たちひとりひとりがその本質的な意味を理解することも必要です。
そのヒントは、日々のニュースの中にもあります。
最近の交通関連の新しいニュースは、MaaSにつながるものがほとんどです。それらが移動を自由にすることと、どうつながるのかを考えてみると、未来の姿が見えてきますよ。
私たちの生活に直接関係する、交通の変化に注目してみてください。
【若林健一 / kwaka1208】
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