crossroads[77]私たちの生きた時代
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。

日曜日に、シャープ時代に私が在籍したPOS/レジスタ開発部門のOB会に参加してきました。総勢25名の参加者のうち、私を含む3名を除いて全員60代以上。

アルバイト程度の仕事をしておられる方はいらっしゃいますが、基本的には現役を退いておられます。

自分が高校を出てシャープに入社し、最初に配属された部署のみなさんで、私も51歳(今週の日曜日で52歳)になりますが、この方々の前ではいつまで経っても、18歳の危なっかしい若造でしかありません。

私が就職した1986年はバブルの真っ只中、ご一緒したみなさんは高度成長期に働いてきた方々。みんな元気な日本を知っている方ばかりです。





私が20代の頃は職場にも余裕がありました。それは暇だったという意味ではありません。開発の忙しい時期には毎日のように夜中の1時、2時に帰ることがありましたし、そこまでではなくても22時に帰ることたくさんありました。

もちろんそれらは大変でつらいことでしたが、今言われるような「ブラック企業」というイメージはありませんでした。

なぜなら私たちにはある程度の自由がありましたし、会社のルールで決められているわけではなかったけれど、裁量に任される部分も多くありました。

指示されたわけじゃないけれど、ツールを作ったり環境を整えて提案することもできたし、仕事の合間にみんなで喋ったり、ゲームをしていることもありました。

でも、当たり前ですが仕事もちゃんとしていて、それでバランスが取れていたし、そのバランスを自分で取ることができました。とても良い時代だったなと思います。

私たちの頃に比べると今の20代、30代の人たちを見ていると余裕がないと感じます。今働いている人に余裕がないので、新しく入った人たちも会社は楽しくないところ、仕事はつらいことになってしまっています。

そんな彼らに、「働くことを楽しめ」といっても無理なんです。誰もそんな経験をしていないのですから。

それに加えて「ワークライフバランス」や「働き方改革」と言う名のもとに、一方的な「時短」を実現しようという動きがあります。

お役所的には社会全体の「みかけ上の」労働時間が短くなれば、豊かな人生を送れていることになるのかもしれませんが、人間の生活なんてそんな単純なものではないですよね。

ただでさえ楽しくない会社なのに、さらに労働時間を短くするというタスクが与えられる。一体、どこに、自分の人生を主体的に生きる可能性があるのでしょうか。

OB会ではほぼ全員が白髪ではありましたが、みんなかつて一緒に仕事したことを楽しく話していました。私も当時のことを思い出して、自然と感謝の言葉がでました(当時は嫌いだったかもしれないけど)。

今、こんな時代になってしまったのも、その責任の一端は私たちにあります。日本が元気だった時代、そんな昔話はいらないと言われるかもしれないけれど、確実に良かった時代はあったし、同じ経験を今の若い人たちにも味わってもらいたい。

そのためには、そんな時代を知っている私たちがもう少し頑張らないといけないのです。

もう少し、頑張ってみます。


【若林健一 / kwaka1208】
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