グラフィック薄氷大魔王[669]ゲームビジュアルの原画
── 吉井 宏 ──

投稿:  著者:



「行方不明のキービジュアル原画を救え! バンナム社員が立ち上がった“ゲームの顔”の発掘と保存」
https://bit.ly/2QRbNS1


同じ講演をまとめた別記事。

『[CEDEC 2020]キービジュアルの原画は……えっ、捨てた!? 手書き原画の発掘と保存,そして価値を伝えるバンダイナムコのセッションをレポート』
https://bit.ly/3h61rZt


記事を見て、上京直後の1991年にバスケットのゲームのイラストを描いたことを思い出した。サミー工業の「ダンクスター」というゲーム。





キャンバスボードにリキテックスで描いた原画は、ちゃんと返却された(当時お世話になったスタジオハードの関連会社、超音速さんからの仕事でした)。

原画
http://www.yoshii.com/dgcr/dunkstar-IMG_2729

チラシ
http://www.yoshii.com/dgcr/dunkstar1991-flier

イラストがチラシや広告になったのは知ってるけど、ファミコンとネオジオとPCエンジンの区別もつかない僕的には、そのゲームがどんなものだったかほぼ不明。検索したところ……。

衝撃の事実が!!!

発売されなかったんだそう!! 知らんかった。29年ぶりに判明w


1991年1月頃にやった仕事だった。東京に出てきて4か月、説明パースや図の仕事や前事務所からの継続仕事を除けば、初めて僕的に本領発揮できるイラスト仕事だった。

ちょうど遊びに来た地元の友達に「上半身脱いでポーズ取ってくれ」って資料写真まで撮って、フルパワーで描いたのになあ。

その約一年後、テニスゲームのイラストを描いた。ハドソンの「パワーテニス」。こちらは無事リリースされたらしい。Macを入れて4〜5か月、Painterで描き始めて2か月くらい。仕事に使ったごく最初期のもの。
http://www.yoshii.com/dgcr/powertennis1992

パッケージ、こういう風だったんだ。画像Bのイラスト、僕が描いたのかなあ。記憶ないし画像データもないけど、表現や色の感じから、僕が描いたような気もする。
https://bit.ly/3h3nCPR


ロゴも作りかけたらしく、ボツ案のAIデータを発見。しかし、最終的には元々あったロゴが使われたような気がする。
http://www.yoshii.com/dgcr/powertennis_logo

ついでに思い出した件。「桃太郎伝説」の派生ゲームのひとつ、「桃太郎電劇」のロゴ。「桃太郎」は元ロゴを活かし、「電劇」だけ勘亭流の写植を打ってもらって、紙焼きで大きく伸ばして、ロットリングで周囲の線を描いた。
http://www.yoshii.com/dgcr/momotaroudenngeki-logo

これがそのまま正式なロゴとして使われたのか、何か間に合わせの版下だったのか、ずっと謎だった。パッケージを見ると、僕が作ったやつに見えるな。
https://amzn.to/2R0PqJX


ところで、「イラストの原画の所有権はイラストレーターにある。原画紛失はとんでもない補償額になる」的な話は、ずいぶん後にならないと知られてなかったかも。

もちろん原画の扱いは個々の契約にもよるし、当時のゲーム業界では原画ごと著作権買取りが一般的だったそう(以前、気になって関係者に問い合わせたことある)。

昔、某所のロッカーに大量の未返却原画が、グチャグチャビリビリに詰め込まれてたの見たことある。請求があれば返却しなくもないけど、基本的には使用済み版下みたいなものだったんだろう。マンガ原画も似たような扱いだったと聞く。

僕はデザイン事務所時代から原画にこだわりがあったので、しつこく言って返却してもらってた。原画を送るのが不安で、自腹で複写してポジを納品したことまである。アナログ時代の原画はスーツケース一個分くらい残ってる。デジタルになってからは、原画の扱いについては無関心になってたなあ。

アニメでも、原画や大量の関連資料が廃棄されてることが話題になったりする。今は資源ゴミか産業廃棄物にしか見えない資料でも、半世紀後に文化的に貴重な資産になるかもしれない。

マンガ博物館構想とかあったけど、国立の巨大倉庫を作って、会社や個人で処分に困る資料や原画はそこへ送ればいいみたいにしたらどうかな?(すぐ閲覧できちゃマズイものもあるだろうから、「30年間は封印」とか条件つけてもいいし)。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


日曜21時は「半沢直樹」、深夜0時10分からは「未来少年コナン」デジタルリマスター版。両方ともめちゃくちゃ楽しみにしてるのだが、実は決まった時間にテレビの前にスタンバイするのが苦手。

仕事や制作など、今やってることから離れなきゃいけないのがイヤなのだ。日曜の夜は、やりたいことと、二つのテレビ番組に心を引き裂かれて、ザワザワするw

普段見るのは夕食時間のニュースからの流れで、7〜8時台の「チコちゃんに叱られる」とか「ナニコレ珍百景」くらい。奥さんが見てるのを通りがかりに覗いたり、お茶の時間にちょっと見たりはあるけど。

今やってる「半沢直樹」の前に、能動的に毎週欠かさず見てた番組って、7年前の「リーガルハイ」(2013年の第2期)だもん。。一日に二つの番組を見る予定が決まってるのは、月曜21時「ビートたけしのTVタックル」と深夜の「鶴瓶上岡パペポTV」がやってた頃以来の約22年ぶり。

じゃあ録画して見れば? ってのもあるけど、いつでも見れるならいつまでも見ないのはよくわかってる。そもそも録画機器がない。昔のビデオデッキはあるけど、前々回の引越しの時からケーブルを接続するのが面倒で、12年以上そのままになってる。動くか不明。

◯所属してるパリのエージェントCostume3piecesの毎年恒例の展覧会、今年は新型コロナの影響で、バーチャルで開催(9月末まで)。仮想ギャラリーで33名のアーティストの作品が見れます。今回のテーマは「小屋(cabanes)」。僕は回して見れる3D作品を出してます。
https://www.costume3pieces.com/cabanes/


○吉井宏デザインのスワロフスキー

・三猿 Three Wise Monkeys
https://bit.ly/2LYOX8X


・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV