腕時計百科事典[66]貴重な腕時計はどこにあるのか/吉田貴之

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現在は1,000円も出せば、十分な性能と耐久性を持つ腕時計を手に入れられるようになりました。しかし、腕時計の登場からかなりの期間、腕時計といえば高級品の代名詞でした。今でも当時の名品は、数十万円の価格で取引されています。

▽腕時計の価値

腕時計、特に機械式腕時計は、古くなったからといって価値がゼロになってしまうことはほとんどなく、逆に希少価値のため市場での価格が上昇することもあります。

また、すべての商品で同じことがいえますが、ある場所では無価値であっても、別の場所では価値が発生することもあります。





▽機械式時計ブーム

1980年代の終わりから1990年代にかけて、スイスの時計業界が腕時計の価値を再定義し、ブランドを再興しようとしていました。

その波に歩調を合わせるように、日本では古い機械式時計のブームが起こります。景気が良かった当時、ちょうど古着やアンティーク、ビンテージに目が向くタイミングだったのかもしれません。

▽日本への集中

このとき、世界各地の古い機械式時計が日本に集められました。すでに海外でもクォーツ時計が普及しており、電池交換ができない一部の地域を除くと、機械式腕時計は無用の長物となっていたのです。それらを二束三文で買い集め、日本で高額で販売することができました。

▽日本からの流出

2000年代になると、インターネットの普及とともに、アンティーク時計やビンテージ時計の相場が共有されるようになりました。

あわせて、eBayなどCtoCサービスが認知されるようになり、日本に集まっていた腕時計の海外流出が始まります。経済成長著しい中国や東南アジア、ロシアなどに流れたそうです。

▽貴重な腕時計は海外に

その後、さらに成長を続ける中国を中心に、世界の腕時計の価格が決まるようになり、1990年代の2倍や3倍での価格で取引されています。現在では、貴重な腕時計のほとんどは海外にある、と思って間違いなさそうです。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。