再評価大百科[005]風呂敷を再評価する
── 吉田貴之 ──

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2020年7月から、プラスチック製買物袋、いわゆるレジ袋の有料化がはじまりました。それ以前からレジ袋の利用を減らそうとする動きは見られており、マイバッグを持つ人が徐々に増える傾向にありました。同時期に注目を集めたものの、マイバッグほどの盛り上がりがなかったのが、今回再評価する「風呂敷」です。





◇マイバッグとしての評価

風呂敷がマイバッグほどヒットしなかったのは、いくつか原因が考えられますが、一番の理由は「風呂敷を使うという発想がなかった」ことではないでしょうか。メディアでもマイバッグを取り上げる折に、ちょっとした変わり種として少しだけ紹介される程度にとどまっているようです。しかし、どちらかというとメジャーになるべきは風呂敷なのでは、と思うほどよいところがたくさんあります。

◇風呂敷の良いところ:コンパクト

素材にもよりますが、多くの風呂敷は小さくたたむことが出来ます。これはマイバッグも同じではあるのですが、風呂敷は「薄く」することができるというメリットがあります。4つ折りくらいにしてしまうと、かばんの中に入れたときに存在感がなくなるほど薄く収めることが出来ます。

◇風呂敷の良いところ:デザインが秀逸

風呂敷は、平たく言うと大きな布です。風呂敷のデザインは多彩で、特に唐草や青海波、市松や亀甲などの、伝統的な和柄を採用したものには洗練されたデザインのものが多く見られます。伝統的な和柄は、モダンでありながら、日本人にもよく似合う秀逸なデザインとなっています。一方でマイバッグは、少し流行してしまったせいもあり、イマイチなデザインのものが多いような気がします。

◇風呂敷の良いところ:大きさや用途が多様

風呂敷にはいくつかの定形があり、荷物の量によってサイズを選ぶことが出来ます。同時に、荷物に対して大きめの風呂敷であっったとしても、結んだり畳んだりすることでサイズを調整することができるので、様々な大きさや形の荷物に対応することが出来ます。また、一般的な袋では対応できないような変わった形のもの、例えば瓶や壺、判型の違う複数の本などをうまく包みこみ、運びやすくしてくれるのも風呂敷の優れた点です。

◇風呂敷の良いところ:予想外の用途

荷物を運ぶ用途「以外」でも、風呂敷が活躍するシーンはたくさんあります。思いつくものを列挙すると、レジャーマットとして、防寒具として、雨具として、包装紙として、防塵カバーとして、などです。繰り返しになりますが、風呂敷はいわば大きめの布なので、汎用性が非常に高いのは間違いありません。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。