再評価大百科[006]剃刀を再評価する
── 吉田貴之 ──

投稿:  著者:



男性の毎日の日課といえば「ひげ剃り」です。ひげ剃りはなかなか面倒で、長期の休みになると、ついつい無精髭のまま過ごしてしまう人も多いのではないでしょうか。一方で、髭がほとんど生えない人もいれば、一日に何度もひげ剃りをしなければいけない人もいるので、すべての男性に共通する悩みではないのも厄介なところです。





◇電動シェーバー

ひげ剃りの道具といえば「電動シェーバー」が一般的です。電動シェーバーを選ぶポイントは3つです。ひとつは刃の運動方法です。往復式か回転式か、ロータリー式かの中から選びます。それぞれ長所があるので、肌質や髭の濃さにあわせて選びます。

次に、刃の枚数は何枚かを選びます。刃が多いほうが、肌への負担が少ないとされています。またそのメンテナンス方法が自動か手動かを選びます。ひげ剃り以上に面倒な電動シェーバーの清掃が自動でできるのは、コストがかかるとはいえQOLを大きく向上させてくれます。

◇どちらを使うか

このように、高機能化がすすみ便利に進化した電動シェーバーですが、これを使わず、剃刀をメインで使用している人も多いのではないでしょうか。調べてみると、男性のうち、電動シェーバーを利用する人が7割強いて、剃刀を利用する人も7割強いる、という調査結果があります。

残りの3割弱の方はいわゆる「髭が薄いか生えない人」ではないかと推量します。つまり、電動シェーバーと剃刀とは排他的な関係にあるわけではなく、両方使う人が多いようです。

◇剃刀の使い方

しかし、電動シェーバーは高頻度で使う方が多い一方で、剃刀を毎日使う人となるとその数は3分の2くらいになってしまいます。おそらく、剃刀を使うことで生じる肌へのダメージを気にしているのではないでしょうか。

確かに、電動シェーバーと比べると、剃刀はより深く剃ることができますが、肌への負担も大きいように感じます。また、使用頻度が低いので、長く同じ替刃を使ったり、昔購入した本体をそのまま使い続けている方も多そうです。

◇ピンとキリと

現在市販されている剃刀で、一番ローグレードなものは、ホテルなどでアメニティとして設置されている剃刀でしょう。刃の数が少なく、ガード機能などもないので、使うのに慎重を要する剃刀です。一方で、一番ハイグレードなものは、各メーカーがフラッグシップモデルとしている剃刀です。前述のローグレードなものと比べると、使い心地はまさに天と地ほどの差があります。

◇ハイグレードな剃刀の特徴

ハイグレードな剃刀は「刃が薄い」「髭の方向を整える」「潤滑剤がついている」「滑りガードがついている」「刃の数が多い」「振動や温熱機能がある」などの特徴があります。いずれも、初見では「そんなに意味がある機能なの?」と思ってしまう機能ですが、一度使うと他のものが使えないほどの優れた機能であることがわかります。

刃の薄さはそのまま切れ味に直結しています。少ない回数で髭を剃りきると、肌への負担は少なくなります。刃の数が多いことや、髭の方向を整えることも、なるべく少ない回数で剃り切ることに寄与しています。滑りガードは、剃刀で一番避けたい「横滑り」を防いでくれるため、安心して使うことが出来ます。

昨今のハイグレードな剃刀で一番インパクトのある機能は「振動機能」です。電池とモーターだけで実現しているかんたんな仕組みなのですが、これがあるだけで剃毛がかなりスムーズになります。

◇進化した剃刀

このように、この20年くらいで剃刀は大きく進化しています。進化の方向を振り返ると、電動シェーバーの進化に引っ張られている部分もありそうです。電動シェーバーが高機能になっても、剃刀の利用者が減らないのは、剃刀の進化によるところが大きいように思います。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/

腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。