昭和から平成にかけて、年末年始といえばテレビで長編時代劇、という時代がありました。年末年始に限らず、ゴールデンタイムに時代劇が放送されていたのです。しかし、現在では新作として制作される時代劇はかなり少なくなっており、地上波や衛星放送での再放送や、インターネットを経由したオンデマンドでの視聴が中心になっています。そんな時代劇を再評価します。
◇時代劇とは
そもそも時代劇とは何でしょうか。実は明確な定義はないようです。「時代劇」ときいて、ぱっと頭に浮かぶのはちょんまげを結った侍の姿ですが、これはあながち間違いではなく、江戸時代を舞台にした時代劇が最も多く制作されているようです。昨今では昭和を舞台にしたドラマもちらほらみかけます。多くの若者にとって「昭和」はすでに学校で習う歴史の一部であり、「時代劇」の範疇に収まるものなのかもしれません。
◇時代劇の良いところ
ここでは前述の「江戸時代を舞台とした時代劇」に焦点を当てて、時代劇の良いところを挙げていこうと思います。時代劇の魅力はいろいろありますが、なによりも「シンプルなストーリー」が最大の魅力なのではないでしょうか。勧善懲悪を中心に据え、ライトな会話とちょっとしたコメディ、正義が勝つ結末、洗練された剣戟などなど、深く考えなくても楽しむことができるコンテンツであることが多いのです。驚きのどんでん返しとか複雑に入り組んだ脚本とか、そのあたりがまったくなくてもエンターテインメントとして愛されていました。
◇文化や風俗を学べる
大抵の時代劇には「時代考証」という手法が取り入れられており、言葉や衣装、道具、建築、文化などが題材としている時代にふさわしいかどうかをチェックしています。当然、現代のものとは大きく異なるのですが、繰り返し時代劇を見ることでそれらを自然と学ぶことができます。英語がわからない方でも、時代劇で使われる難しい言葉は理解できる、という場合も多いのではないでしょうか。
◇クオリティが高い
時代劇は人気コンテンツであったため、当時の有能なスタッフによって制作されています。監督や脚本家はいうまでもありませんが、カメラマンや照明スタッフ、衣装スタッフまで、いわゆる「一流の仕事」を垣間見ることができます。
◇映像や音声に味がある
当然ではありますが、昭和以前に作成されたテレビ番組や映画は、映像や音声の質が現代ほどよくありません。照明が暗かったり、マイクの数が少なかったり、フィルムで撮影したりしているからでしょう。しかし、時代物の作品を描くにはその映像や音声が「味」になっており、その時代の雰囲気を演出する一助となっています。
◇新作もおもしろい
黄金期に作られた時代劇のクオリティが高いのは前述したとおりですが、現代作られる新作の時代劇も数は少ないものの秀逸なものもあります。旧来の時代劇らしいシンプルなストーリーでは視聴者が満足しないので、良い脚本をつくったり見つけたりするのに苦労をしているのでは、と推量します。一方で、CG技術の向上や撮影用ドローンの利用が可能となったことで、表現の幅も広がっており、新作には新作の楽しみ方があるようにも思います。
【吉田貴之】info@nowebnolife.com
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。