まにまにころころ[51]風邪は万病の元
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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こんにちわん、コロこと川合です。軍師官兵衛、少しずつ時代が動いてきた。前回にご紹介した吉川英治『黒田官兵衛』は、ちょうど昨日放送分のあたり、小寺家が織田と毛利のどちらに付くか、というところから話が始まります。

いよいよ盛り上がってきますね。まだまだ先が長いので、水増しエピソードが入ってくるんじゃないかという不安もありますけども。官兵衛と言えば、一年もの間、牢に囚われの身となることが有名ですが、そこをどう描くのかもまた楽しみです。岡田准一がどのようにやつれた姿を演じてくれるのかも楽しみ。イケメンは一年牢に囚われてても、きっとイケメン!(笑)

余談ですが、たまたま一緒に観ていた父が岡田准一を見て、真田広之っぽいと評していました。身長がちょっと惜しいところも、と。

そういえば、番組内の語りが、今回から元NHKアナウンサーの広瀬修子さんに変わってましたね。違和感なく、いい感じでした。


◎──後藤又兵衛

さて今回からと言えば、黒田家に後藤又兵衛が登場。母里太兵衛や栗山善助と並んで後に黒田八虎と称される人です。もっとも今回はまだ子役。親を亡くし親戚をたらい回しにされていたところを、官兵衛が引き取ってきました。作中、官兵衛の息子の松寿丸(長政)と仲良くなっていましたが、歴史的には後々、二人の不仲説がでてきます。官兵衛の没後に黒田家を出ていますしね。

そんな又兵衛ですが、今回、松寿丸に怪我をさせた事をとがめられ、雨の中へ飛び出した結果、風邪をひいてしまいました。ここまでずっと軍師官兵衛の話を書いてきましたが、今日のまにころ、テーマは「風邪」です。(笑)

◎──雨にうたれると風邪をひくのか?

又兵衛に限らず、昔から雨に濡れて風邪をひくエピソードってよく聞きますが、本当に雨は風邪の原因になるのか。体が冷えると風邪をひくのか。大雪が降る東京に大阪からセミナーを受けに行くと風邪をひいてしまうのか。実のところ、直接の因果関係はないとも言われています。

風邪の原因の多くはウィルス感染によるもの、冷えたから風邪をひく、というわけではない、というのはその点を指摘してのこと。ただ、体温が免疫力には影響するらしいとは言われていて、冷えると免疫力が低下して、結果的に風邪をひきやすくはなるようで。じゃあ「冷えたら風邪ひく」でええやん。(笑)

ほか、寒い季節に風邪が流行りやすいのは、大勢が室内にこもることが多く、感染しやすい状況が生まれるから、ということらしいです。

◎──そもそも風邪って何?

風邪とは何か、というのは医学界でも定義がまちまちなようです。この季節、インフルエンザを指して「インフルエンザは風邪じゃない」という話も、よく耳にしますが、「風邪」というのは症状の名前、「インフルエンザ」は病名と、概念が違うので比べてどうこう言う話じゃないんですね。

風邪って何、という答えは結局、風邪薬の箱に書いてある、せき、のどの痛み、頭痛、鼻づまり、熱、だるさ、悪寒、下痢、嘔吐など、あれらの総称ってことでよさそうです。

◎──風邪は万病の元?

風邪は万病の元、という言い方をよくしますが、これも、先ほどの「風邪とは症状名」と考えればしっくりきます。風邪から様々な病気へと発展するのではなくて、様々な病気の初期症状がいわゆる風邪っぽい、ってことなんですね。

ただ、軽い風邪(の症状を引き起こす病気)から、重い病気に発展することはありそうです。抵抗力の弱った体に、重い病気の原因が襲ってきた場合など。なんにしても用心するに越したことはありません。

◎──風邪は人にうつせば治るのか?

常識的に考えてありえないと誰もが思っている通り、そんなはずはありません。でも、そう見えることはあります。例えば、感染から発症までの潜伏期間が3日の病気があったとして、うつされるような状況にあった人、例えば看病してた人に伝染した場合、元の患者が3日目には回復、うつされた人は3日目に発症と、回復と発症のタイミングが合致すると、そう見えますよね。

ま、重い病気はともかく、微熱程度のものなら、恋人同士でうつしあい、看病しあい、交互にうつして治すコントでもやってればいいんじゃないですかね、冬の間ずっと。

◎──風邪薬は効くのか?

これは何をもって「効く」と考えるかによりますが、基本的に風邪薬の役割は、症状の緩和であって治癒ではありません。症状の緩和には効きますが、病気を治癒させるものではないため、服用して症状が治まったからと無理をすると、当然のように悪化することになります。病気を治すのは体の治癒力です。

また注意点として、風邪薬や頭痛薬によく含まれているアセトアミノフェンは、アルコールと共に摂取することで、肝臓に甚大な毒性をもたらす可能性があり大変危険です。どのくらい危険かというと、それを利用した殺人事件が起こるほど。

常に飲んでいるようなドランカーはもちろん、特に気をつけたいのは、うっかり飲んでしまう人。寒気がするからとか、風邪には卵酒が効くって田舎のばっちゃが言ってた、なんて理由でお酒を飲むことってありますよね。気をつけてください。

◎──風邪をひいたら入浴はひかえる?

すっかり風邪トリビアと化してきましたが、この調子でどんどん続けますね。風邪をひいたら入浴をひかえた方がいいのか。この話になると「何言ってる、風邪には風呂じゃないか」という派閥が登場したりします。入浴しない派と、入浴する派、真っ二つというには入浴しない派が日本では優勢ですが、意見が分かれるところです。

入浴しない派の理由としては、体力が消耗する、湯冷めの危険性がある。入浴する派の理由としては、体を清潔に保つ、体温を高める、というあたりが主な理由です。どちらも一理ありますので結論としては、体力があまり消耗しない程度の短時間の入浴をし、その際には湯冷めしないように脱衣所や室内の温度に注意し、入浴後は体をすぐに拭き、髪もしっかり乾かして、温かい格好を、といったところが理想でしょうか。

海外には風邪をひいたら氷風呂に入るという国もあるそうですが、言えるのは、その国に生まれなくて良かったーってくらいでしょうか。(笑)

解熱が目的なのは分かりますが、他に方法はないのかと……

◎──風邪にはビタミンCが効く?

ビタミンCが風邪に効くかどうかは、まだはっきりと分かっていません。効く派、効かない派、人によっては効く派、調べた限りでは様々です。ここでの「効く」というのは、要するに免疫を高める効果があるかどうかですが、結論としては、「分かりません」でした。個人的には効く気がして、風邪ひいたらビタミンCのサプリを飲むんですが、一緒に他にも飲むので分かりません。

ちなみに「ビタミン」というのは、体に必要な有機物のうち、炭水化物・脂質・タンパク質以外のもので、AとかCというのは機能によって分類されています。ビタミンCという物質があるわけではなく、ある物質がビタミンなのかどうかは、その生物によって異なります。ヒトにとってのビタミンCは、アスコルビン酸のL体です。アスコルビン酸は食品添加物として酸化防止剤にも使われます。

またビタミンは許容上限摂取量を越えての過剰摂取は体に毒なので注意。

参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」
< http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0529-4.html
>

なお、ビタミンに対し、体に必要な無機物は「ミネラル」です。

◎──葛根湯は効くのか?

頭痛、鼻詰まりには効く、咳やのどの痛みには余り効かないと言われています。漢方の生薬は西洋医学の薬と違って体に優しい、なんて話をありがたそうに語る東洋医学信者をたまに見かけますが、結局のところ、生薬だろうが化学による生成物だろうが、効能なんて化学物質の作用ですよね。東洋医学も西洋医学もないと思うんですが、違うのでしょうか?

そう言いつつ、私は東洋の神秘にはきっと化学物質以外の差異があると思っているのですけれども。(笑)

ただ自然由来はなんでも良いものだ、自然由来バンザイ、化学なんて体に悪いにきまってる、なんていう人がいるようで。似非科学信者というか。そういう人はトリカブトの根やフグの肝でも食ってればいいのに、と思うほどに嫌いです。あの食品は石油でできてる、化学物質だ、自然じゃない、体に悪いとか。石油が天然資源だってことも知らない人が、化学だなんだと何言ってるのやら。

……似非科学への嫌悪感は尽きないので、またそのうち改めて。話を葛根湯に戻すと、特定の症状に対しては一定の効能があるものの、藪医者を指す言葉に「葛根湯医者」という表現があるように、なんでもかんでも葛根湯で治るものではありません。

「葛根湯医者」というのは落語のネタで、「頭が痛いって? そうかいそうかい、葛根湯をおあがりよ。次は胃痛? よし葛根湯をおあがり。なに、筋肉痛かい? 葛根湯をおあがり。次は……なんだい患者の付き添いかい、退屈だろう、葛根湯でもおあがりよ」という話です。

まあ、分かりやすい笑い話なんですが、現代にも、風邪っぽいと言えば、とりあえず何でも抗生物質を処方する「抗生物質医者」がいるとのことなので注意です。

◎──抗生物質は効かないの?

抗生物質は、基本的には細菌の増殖を抑えるためのもので、細菌には効きますが、ウィルスには効きません。また注意しないといけないのは、最近の細菌は進化して抗生物質が効かないものが出てきていること。また抗生物質は、悪い細菌だけに効果があるわけではないので、体内で良い働きをしている常在菌に影響が出ることにも注意が必要です。

でも、病院で処方されたら、とりあえず飲んでおけばいいと思いますけどね。細菌性の病気には効くので。そもそも、その症状を引き起こしている病気が、細菌性かウィルス性か、即断できることなんてなかなかないと思います。インフルエンザは判定方法がかなり確立していますけれども。

だから、とりあえず抗生物質を処方されたりするんですよ。効くかもしれないから。効けばラッキー、程度でも。それを非難はできません。

◎──結局、風邪をひいたらどうすればいいの?

その風邪がいわゆる「ただの風邪」であるのか、そうでないのかによりますが、症状が軽度であれば、自らの治癒力を信じて自宅療養を。たいてい薬で治りはしませんし、弱った体に病院の待合室はとっても危険です。症状が重い場合は、インフルエンザをはじめ、重い病気の可能性がありますので、信頼できる病院で診察や検査を受けましょう。

症状の軽い・重いの目安ですが、発熱の度合い(38℃を越すような高熱か)、鼻水の色味(混濁していないか)、頭や喉の痛みの程度、咳の辛さ具合など、その辺りを目安にしつつ、迷ったら病院へ。待合室の恐怖に備えて、マスクを忘れずに。マスクも効果は色々言われますが、ないより断然マシです。

軽い風邪だと思っていたら、重病だった! なんてこともあるので、不安なら、病院を選択するのが無難です。医者にかかった安心感がプラセボ効果を生む、ということもありますし、毎月高い保険料を払っているおかげで、市販薬より薬が安く済むことが多いです。

◎──自宅療養のポイント

自宅療養のポイントは「栄養と休養」に尽きます。自身の自然治癒力がチカラを存分に発揮できるようにしてあげるわけです。清潔にして、ちゃんと食事をして、暖かくして、たっぷり眠りましょう。胃腸が弱っている可能性があるので食事は消化の良いものを。定番のおかゆや、鍋焼きうどんはいかがでしょう。

◎──風邪の予防

そもそも風邪をひかなければ、それに越したことはないです。予防も基本は、「栄養と休養」ですが、手洗い、うがい、マスクの着用も効果があるようです。

手洗いは、外出先で手に付着したウィルスなどが、食器や、家具、寝具に付着しないように、また手から口に進入しないように、帰宅後すぐにしっかりと。

うがいは、口内やのどに付着したウィルスや細菌を排出するため。また、粘膜に水分を与えることでそれらの増殖を防ぐため。水、またはお茶でのうがいを。実験の結果、お茶のほうが効果が高いそうです。なお、うがい薬は、逆に効果を下げてしまうという驚きの調査結果もあるようです。

マスクは、外からの飛沫感染を防ぐほか、内側が高温多湿に保たれることで、予防に効果があるようです。私はなんか息苦しくて嫌いなんですけど。

◎──風邪に注意しましょう

以上、長々と書いてみましたが、風邪についてはよく分からないことが多く、上記のあれこれも「今のところ、そう言われている」といった程度がほとんどです。そんな状況で注意しようもなにもあったもんじゃないですが、栄養不足、睡眠不足による免疫力の低下が風邪のきっかけになることは間違いありません。毎日しっかり栄養とって、しっかり眠りましょう。

最後になりましたが、森和恵さん、風邪でダウンとか、どうぞお大事に……

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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